第54話

第54話


ウタ「ルフィ、私ね。本当は全然カッコよくも…強くもないんだ」

俺の胸に顔を埋めたまま、ウタは続ける

ウタ「ルフィの前では平気なフリしてたけど、お医者さんに余命宣告されたあの日から…ずっと毎晩泣いてるの」

ウタ「今まで当たり前に出来ていたことがだんだん出来なくなって、大好きだった歌もいつか歌えなくなるんじゃないかって」

ウタ「それが怖くて怖くて…酷い日には食べたもの全部トイレで戻してる」


ウタ「そんな地獄の日々の中でも心が折れなかったのは…ルフィがずっとお見舞いに来てくれてたから」

ウタ「アンタと一緒にたわいない話で笑いあってたあの時間が、私にとって唯一の心の支えだった」

ウタ「…さっき私のことを助けられなかったって言ってたね?それは違うよ」

ウタ「ルフィはもうとっくに…私のことを助けてくれてたんだよ」



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