立ち上がった『黒崎一護』
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「おいダルヴァ!どうなってんだよこれは!」
「見て分からんか?黒崎一護は胸を貫かれて死んだ」
井上と石田と共に天蓋へと昇った三人が目撃したのは『胸を貫かれた黒崎一護』と『いまだ健在なウルキオラ』そして『ボコボコに弾き飛ばされながら質問に答えるダルヴァ』であった
井上は一護の元へと急ぎ『拒絶』しようとしたが傷に渦巻く霊圧のせいで拒絶しきれない マツィヤの回道では心臓の復元など出来るはずもない
石田はダルヴァと共に戦おうとするが
「やめるのじゃ!儂ならともかくおぬしでは!」
『"光の雨"(リヒト・レーゲン)』
ウルキオラに果敢に挑む石田だが瞬く間に左腕を失ってしまった 血止めだなんだと言っているが人間がポンポン腕を失って大丈夫な訳がない
石田の代わりに前に出てきたマツィヤがダルヴァに問う
「ダルヴァ!治療薬は!?」
「無い!少し前に一護に使ったんじゃよ!再度作るには時間も何も足りん!
儂を盾にでも何でもよいから使って生き延びるために行動せんか!」
ダルヴァとマツィヤはウルキオラの攻撃を防御しこれ以上被害を広げない事だけはどうにか出来ていた
だがいくら待てど一護の傷は治らずウルキオラは少しずつ全体の距離を詰めこちらの動きを読みはじめている
そうして戦う二人の後ろで井上が叫んだ
その言葉に応えるように胸に穴の開いた怪物が井上の傍に立っていた
「......え...?」
「黒......崎......?」
井上と石田がそう反応する 確かに黒崎一護なのだろうが...あれは完全に
「虚じゃな...何がどうなっておる」
「霊圧からしてオレンジウニじゃねぇ...髪までサラサラヘアーだな どうなってんだ」
ダルヴァとマツィヤも反応するが即座に構えを取ったどう考えても今の一護はこちらにとっても危険だ
「──馬鹿な 生きている筈が無い その姿は何だ
お前は 誰だ」
ウルキオラの問答に一切答えずに虚は『天鎖斬月』を引き寄せ振るう
その圧に井上と石田は吹っ飛んで行った
それを見てもやはり何も答えない 挙句には叫び始めた
「どうやら 言葉が通じんらしいな」
ここから先は激しい巨大な霊圧と力のぶつかり合いが始まった
「アレについて何かわかんねぇのかよダルヴァ」
「虚化の暴走か...?黒崎一護の実力は確かに相当な物じゃと見たはおったがここまでとはな ひとまず儂には分からん」