神木ヒカルという人間4話
劇団に所属し、演技のイロハからテクニック、様々なことを教えてもらった。
情緒やコミュニケーションを上手く取れなかった時に人を観察して磨いた「状況に応じた求められる人間像の演じ分け」、これもより磨きが掛かって来たと思う。
同時に多少なりとも情緒が育って来たからか、自然な感情を演技にも乗せることが出来るようになっできたように感じている。
そして今日も今日とて、放課後と休日は劇場で練習である。
「ヒカル、良いノリ方をしているな。次の演目、出番は少ないけど出てみるか?練習ばかりより一度実践した方が良いだろうし」
「お願いします。まだまだですが実際の舞台の空気、雰囲気を感じたいです。」
「なら決まりだな。
…ヒカル、ウチの劇団は人数少ないだろ?どうやって人間補うか…分かるか?」
「…オーディションですか?」
金田一さんはチッチッチと妙に気障な仕草をする。何か嫌だな。似合わないもの見せられるのは。
「ワークショップと言ってな?演技の向上を目的として外部から参加者を招くんだ。ウチは人数少ないからな。それで出来そうな奴見つけたら参加してもらう、な感じだな」
「ほうほう、人の呼び方も色々あるのですね…」
人数合わせにはワークショップ…いつか使えるかもしれない。分からないけど。
「ああ、今回は参加を表明した女優が居て実力もあるし、多少おまえとも年齢近いから色々教えて貰ったら良い」
「何という方ですか?」
「姫川愛梨。最近売り出し中だからサイン貰うか?」