硝子とピンクーデート本番1

硝子とピンクーデート本番1


「来て…♡硝太くん…」

今僕に押し倒された形でみなみさんがいる。

目が潤んで顔も仄かに赤い。 

普通に考えて未婚の男女、よりにもよって未成年がやるべきことじゃない状況…MI5。

マジで致す5秒前…

アレ?どうしてこうなった?

とりあえずカラオケ屋の監視カメラどうしよう?

「来ーへんの?なら、硝太くん♡ウチから行くで…?」

あ、首にみなみさんの手が絡まって…

兄さん、姉さん、お母さん…ごめんなさい。大人の階段登りそうです。

おかしいなぁ?ほんの数分前までは普通に楽しくカラオケしていたのにね?

少し今日1日のことを思い返して見よう。

この状況を打破…打破?出来る点が見つかるかもしれない。

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兄さん、姉さん協力の元

デートプランの下見を終えて一通り計画を練った7日前。

姉さんおすすめの小物やコスメを取り扱うお店の紹介、兄さんに至っては共演者の顔合わせの懇親会の後も相談に乗ってくれた結果、僕からしたら完璧な、兄さんからしたら「及第点」、姉さんからしたら「まあ良し!」なものが出来上がった。

そして予定をすり合わせてデートの日が決まった。

当日までは色々あった。

あまり話したことが無いクラスメイトの高田さんから兄さんの友人(らしい)のイケメンについて相談を受けたことから恋愛カウンセラーとか言われ始めた。

始まりは兄さんと仲良いなら僕とも仲良いか、とのことだけど阿座上くんなる人とは挨拶しかしたことが無いのでそのことを伝えた上で話をした。

『斉藤くん!阿座上くんからキャンプしないか、て言われてるけどどうしたら良いかな?』

『多分普通に友達集めてやる感じのいやらしい意味の無い本格的なキャンプだと思うよ。兄さんから聞く限り不埒な人じゃないから』

『…てことは私はその他おおぜいかぁ…』

『高田さんは可愛らしい、小動物的なところあるから阿座上くんとより仲良くなれるんじゃない?』

と返したら話すクラスメイト(女子多め)が増え、

兄さんのクラスメイトから兄さんに関する相談受けたり

『私、広瀬って言うんだけど…あ、高田の友達。高田から斉藤くんは色々相談に乗ってくれてアドバイスも丁寧、て聞いたから。えっと…星野くんと仲良くなりたいんだけど、どうしたら良いかな⁈』

『うん。僕を使ってどうこう、と考えなかった点を評価したい。

兄さんの好きなもの、興味がある分野なら教えてあげるよ。その真っ直ぐなところは兄さんと仲良くなれるとは思うよ』

『ホント⁉︎』

『付き合えるかは、分からないけどね。そればっかりは広瀬さんの頑張り次第。頑張って。応援だけはしている』

と助言してからどんどん依頼を受ける様になった。

最近は男子からも相談を受けるようになったが話が一人歩きしないか不安でもある。

不知火さんからトラブルの相談を受けて、自分の出来うる手段で解決に尽力してから呼び方が「斉藤くん」から「硝太」呼びされた。

それを受けてみなみさんの眼光がするどくなった…etc

と、愉快な1週間であった。

その間芸能プロダクションの社長が様々な事件の首謀者として逮捕されたり世間を賑あわせていたが特に関係無い。

そして本日デートの運びとなった。

色々考えたプランを実行するため

1時間早く待ち合わせ場所に到着した。

「さてさて、ルビー姉さんお手製のデートのしおり最初のページは…と」

可愛らしくポップな字で

『女の子は解決して欲しい訳じゃなくて共感・肯定して欲しいもの!!

正論吐いて刺されても知らないよ?』

…刺されたくないな。まあ僕なら大丈夫でしょ、多分。

何故か「恋愛カウンセラー」とか言われてるし…いやホントなんで?

「相談に乗ってから1人の時間減ったな…孤独じゃない、てこういうことか?よくわからないけど。

姉さん、お母さん、兄さんが見繕ってくれた服だけど厳つさ無いよなぁ…絡まれないだろうか」

ちなみに僕は普段人混みや視線が苦手なのでサングラス、ヘッドホンが必須。いつもは黒のジャケットにサングラス、ジーパン、ヘッドホン付けてウロウロしている。

姉さん曰く、普通に怖い

とのこと。おかげでカツアゲに当たったことはない。

だが今日は兄さんが選んだ差し色が黒メインカラーが白、袖が青のジャケットに、姉さんが選んだインナーの白、母さんに昔買ってもらったベージュのズボンだ。

どことなく優男?な雰囲気がある。それを伝えると

「もし私がみなみなら普段の服で来た硝太を嫌いになる」

「デートで威圧する意味は何だ?恋愛頭脳戦をしろ。恋愛マウントバトルするな」

「もっと私がファッション教えるべきだった」

とありがたーい評価をいただいた。

普段の出掛け着そんなにヤバいかな?

「まあサングラスはOK、ヘッドホンは目立ちすぎる、てことでノイズキャンセラー付のワイヤレスイヤホンに変わったけど便利なら良いや

…1人で何もしない、となると独り言が増えるな」

みなみさんとの時間が近づくまでボーっと雲を見ていた。

意外に晴れた日の雲は様々な形に見えて物語を考えるのに最適なのだ。

「ー、ーー!!」

「ー?ーー」

ノイズキャンセリングを最低限にしていたから気づいたが、何やら近くで揉め事のようだ。

「…トラブルの内容次第だけど、困っているなら助けないと」

正直赤の他人はどうでも良い、と感じている。だけど気づいてしまったらみて見ぬフリは出来ない。

「困ってる人は助けろ…お母さんに習ったことだし。

…あのーすいません、どうされましたか?」

ー🩷ーー

「…よし!可愛く決まってる!

同時に誰もウチが寿みなみ、てわからん服装になっとるな!」

今日は硝太くんとデート。遂に彼と約束を取り付けることが出来た。

ルビーと戯れあってるの見るのを楽しんでいたはずがフリルちゃんと仲良くするようになったことにチクリとどこかトゲが刺さった様に感じる思いがするようになってきた。

同時に渡したくない、という思いも。

きっかけは分からない。

ルビーと一緒にご飯食べるようになると、彼女が忘れたものを届けに現れて姉弟漫才を始める。

そのままその流れで一緒にお昼を食べるようになるとよく気が付く子だな、と思った。

姉弟漫才中でも私がつまらなぬならない様に気をつけていたり、困っていたらサッとフォローして去って行く。

そこがかっこいいと思ったのかもしれない。

「硝太くん、子犬みたいで可愛いのに男らしいとこもあるからなぁ…助けてくれたし」

当人は気にしていないかもしれないけど、しつこいナンパに絡まれた時に横から入って助けてくれた。

『すいません、彼女と待ち合わせしていたものなんです。その手離して貰えないでしょうか?離して貰えない?じゃあ勝手に離しますね』

いきなり現れて掴まれていた手を振り解いてくれて、逃がそうとしてくれた。相手は明らかに不意を突かれて目を白黒させていたがそこに更に畳みかけた。

『では、これで。近くに交番ありますから話、しますか?なんなら呼びますけど…おまわりさーん!!!』

後は人目を引いて私を逃がしてくれた。

一緒に逃げた後、何故助けてくれたのか聞くと

『困っている人が目の前にいたら見て見ぬ振りは出来ないだけです。では』

…礼を言う暇も、知り合いであることを言う隙も与えてくれなかった。

当たり前のことをただしただけ、そんな姿が格好良かった。

翌日その事をお礼すると当人は全く覚えてなかった。

『いや人助け、というか困った人いたら丁寧にするのは当然じゃない?僕は人混み苦手なんだけど欲しいものあったからそちらに意識取られてから覚えてないや。喧嘩売られたりしたら怖いから覚えてるんだけどね』ごめんね?と謝られた。

…私からしたらヒーローみたいでカッコいいと感じたことでも取るに足りない事なんだ、て思うと悔しくて…

「ようやく、勇気出せて誘えたんよ…!今日は必ず、硝太くんを…!!」

フリルちゃんには、負けない。

そう思って待ち合わせ場所に行くと、硝太くんが居ない。

「あれ…?どこやろ?」

周りを見渡していると少し人だかりが出来ている。

何かあったのだろうか?

近くの人に聞いてみよう。

「すいません、なんかあったんですか?」

「絡まれてる女の子を助けに若い兄さんが止めに入ったんだよ。そしたら兄さん強いのなんの!

大立ち回りよ!!」

…若い兄さん。嫌な予感するなぁ…

「今警察呼んで事情聴取中かな。多分すぐ終わるよ。俺たちが証人だし、手を出さず自滅させてたし」

自滅⁈

「い、意味わからん…」

「そう思う?俺も意味分からない。

相手の攻撃全部避けて同士討ちとかなんだろうね?」

香港映画かな?観たこと無いけど。

「あ、終わったみたいだね」

そう言うと見物していた立ち去り反対に硝太くんが疲れた顔でやってきた。

「あー疲れた。」

「お疲れ様やな?硝太くん」

「みなみさん…?みなみさんか!変装似合ってるよ」

「そ、そう?じゃあ行こ!」

デートが始まった。

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