発明の副産物

発明の副産物


真夏の猛暑日 ミレニアムにて


「できたよ、先生」


いつものようにエンジニア部の部室に呼ばれた


どうやらまた新しい発明をしたらしい


部室に入ると空調の効いた部屋でウタハが発明品の近くで座って待っていた


「お、来た、早かったね」


"生徒を待たせるわけにはいかないからね、今度はどんな物を?"


私は完成したばかりの発明品に目をやる


「ああ、この装置は〇〇を〜〜するもので…」


ウタハは発明品の説明を始める、専門家ではない私でもわかりやすく

その技術の凄さが理解できた、そして何より、嬉しそうに自身の発明品の紹介をする

ウタハの姿は彼女の誇りである「マイスター」の称号にふさわしいものだった


「でね、ここのボタンを押すとフローラルなアロマが出てくる」


"……ロマンかい?"


「ロマンだよ」


…少しこだわりの強いところはあるが、しっかり自分のやりたいことが           わかっている証拠だろう、それに部長として安全などにはしっかり気を配っている


たまに暴走する時もあるけど、根は真面目で、頼れる生徒だ


「こんなところかな、聞いてくれてありがとう」


"大丈夫だよ、いつも面白いものを作るからね、この調子で頑張って           じゃあ、そろそろ戻るよ"


「うん、ではまた」


そういって仕事に戻ろうとした時ふと思い出した


(あ…そういえばシャーレのエアコンが調子悪かったな……                 ウタハ達なら見れたりしないかな、頼んでみよう)


"そうだ、ねぇお母さ……っ!?"


「え?」


パキッ、と空気が凍る…静かな部室、固まる身体、

一瞬、時が止まったのかとさえ思う……やってしまった


"いや間違え…あの……ごめん…"

もはや言い訳すらもできなかった


「ああいや…謝る必要はないよ、あるあると言うものだ」

フォローが辛い……頼れると思ってたのが出たか…?顔から火が出そうだ…


「それにしても…ふふっお母さん、か…悪い気はしないね」


"…アンマリイワナイデクダサイ……"


「おや、間違いは誰にでもあるし、間違われるほど

信用されているということだろう?」


"いやそれは…違…わないけど…"


「!!…そうか、まぁあまりからかうのはやめておこう

それで…なにか用があって呼んだんじゃないのかい?」


"ああ…実はね……"


カクカクシカジカ


「…うん、わかった、3日後でいいかい?」


"ありがとう、助かるよ、じゃあこれで"


「ああ、また」


────数時間後

「あれ、ウタハ先輩機嫌いいですね、何かあったんですか?」


「ん?いや、あの発明品のおかげで、良いものがみれたんだ♪」



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