番外編 このキヴォトスにおけるクトゥルフ神話の扱い

番外編 このキヴォトスにおけるクトゥルフ神話の扱い


スレ主「という訳でさっさと始めましょうか」

エンリ「前置きぐらい作りなさいよ」

スレ主「思いつかなかったから全カット」

エンリ「えぇ……自己紹介ぐらいしたら?」

スレ主「んじゃ、はい、こんな感じ」


スレ主

CoCに情緒粉砕されて沼った元ハピエン厨

比較的初心者の頃に短期間でバッドエンドを二連続で踏み完全に性癖が歪みました()

所持ルルブは6版、7版、2015、マレモン(6版)

ブルアカで一番の推しはミカ



スレ主「んで、生徒枠は先生とセナさんね……先生が生徒枠って謎だな。まあいいか、よろしくね〜」

エンリ「私が助手枠、って感じかしら?急だけどよろしくね」

先生 "えっと……よろしく"

セナ「よろしくお願いします」


クトゥルフ神話とは

スレ主「まあ、基本的に『人類の否定』ですね」

エンリ「科学、宗教、文化、既存神話──人が信じていた世界を冒涜し、破壊し、正気を失わせる……大体のストーリーに共通してることね」

スレ主「まあ、これは簡潔な説明。成立過程とかから細かく見ていこうか」



スレ主「まず、クトゥルフ神話って所謂シェアワールドなんだよね」

先生 "確か、複数の作者、作家によって世界観を作っていく創作形式だったね"

スレ主「そうそう……と言っても、シェアワールドの中ではちょっと変わってる可能性あるんだけどね。自分がシェアワールド詳しくないからなんとも言えないけど」

セナ「どういうことなんですか?」

エンリ「あー……もしかして、作者間で設定ガバガバなところ?」

スレ主「大正解、共通の公式設定ってものが無いんだよね。他作品と矛盾が発生してもオーケー、なんなら同作者の著作でも思いっきり矛盾してるからね」

エンリ「狂気山脈の場所が変わったりするし、『無限の魔王』様が存在しないこともあるのよね」

スレ主「クトゥグアも存在認められなかったことあったよねー」

エンリ「…………」

スレ主「まあ、そもそもラヴクラフト大先生と交流あった人たちが登場させた邪神をお互い交換し合って自作に登場させる遊びから生まれたものだからね」

エンリ「『このシナリオは神話生物、事象、呪文に対する独自解釈が含まれます』ってのはよく見る文言よね」

スレ主「当たり前だけど、当スレでも独自解釈は山ほど盛り込まれてますので」


スレ主「まあ、とにかく、これがメタ的な視点での理由ね。まあ、夢がない話だよね」

セナ「確かに身も蓋もない感じはしますが……」

スレ主「それじゃ、このことを世界観に沿って解釈してみるとどんな風になるのかな?」

エンリ「……人類は決してこの世界を理解することなんて出来ない」

スレ主「うんうん、私はそう思うよ。それぞれの世界で描かれたことは合ってるかもしれない、間違ってるかもしれない、部分的に合ってるかもしれない、結果だけ合ってるかもしれない……」

スレ主「でも、所詮人類はこの残酷で無慈悲な宇宙の事象を理解すること能わず。自分が理解出来る形に都合よく解釈してるに過ぎない」

エンリ「そもそも人間の常識が通じない以上、合ってる間違ってるっていう尺度自体が当てはまらないまであるからね」

スレ主「そういうことになるねー。だからこそクトゥルフ神話の要素を組み込んだ二次創作はありふれていながら長続きしない訳だけど」

エンリ「まあ、どの作者の設定を利用するかとかで煩雑になりがちだからね……あと、曖昧だからこそニワカがすぐにバレるイメージね」

スレ主「私だってニワカな部分結構あるって自覚してるよ。ついでにパワーバランスの調整が極めて面倒臭い。そのまま出すと基本蹂躙案件だぞ、かといって純粋なクトゥルフ神話サイドが劣勢なのは鳥肌たつレベルの解釈違いになる」



スレ主「さて、ここまでが成立背景ね。それじゃあコンセプト、世界観を見ていこうか」

エンリ「基本的に宇宙的恐怖、コズミックホラー、って表現されてるやつね」

先生 "宇宙的恐怖……"

セナ「コズミックホラー……?」

スレ主「ラヴクラフト大先生が示した世界観だね。『宇宙は無慈悲であり、人間中心の地球的な考えは通用しない』っていうもの」

エンリ「そしてそのコンセプトのもと、『矮小な人類が自身の常識が通じない強大な外宇宙存在に相対し、生命的な脅威、価値観を破壊される精神的な脅威に襲われる恐怖』が描かれてるのよ」

スレ主「しかも立ち向かうのが先生並に貧弱な一般人類だからね、基本的にフルボッコ。原典だとハッピーエンドの方が珍しいレベル」

エンリ「まあ、下級の神話生物レベルならまだなんとかなるけど……神格案件になったら基本詰みね」

スレ主「ランドルフ・カーターは間違いなく上振れの極致だと思ってる」



スレ主「さてさて、それじゃあ『常識』や『価値観』を破壊するって点に目を向けていこうか」

エンリ「あー……実は私よく分かってないのよね。神話的事象に関する知識が最初から備わっていたから……直面すると受け入れ難くて正気が消し飛ぶってことだけわかってる状態」

スレ主「要するに過程がよくわからないってことね、オーケーオーケー」

スレ主「さて、クトゥルフ神話が成立した場所での主流宗教ってキリスト教なんだよね。キヴォトス的に一番近いのは多分シスターフッド」

スレ主「そしてそれのルーツであるユダヤ教による世界観が信じられていたんだ。大体こんな感じ」


・世界とは全知全能の崇高なる唯一神が創造した完璧で美しいものである

・人間は美しく完全な唯一神が自身に似せて作った特別な存在であり、世界のあらゆる生物・あらゆる事象を神に代わって管理する役目を与えられた「万物の霊長」である

・原罪によって人間が楽園を追放された後も神は人間を見守っており、信仰を忘れず隣人愛や正義に基づいて正しく生きれば人間は死後に神の国へ招かれ、永遠の命と安寧を授かる


先生"特に変わったところもない、一般的な宗教のように感じるね"

セナ「ここからどのように『常識』や『価値観』の破壊に繋がるのでしょうか?」


スレ主「え?シンプルにこういった価値観に対して唾吐きかけて、冒涜し尽くすからだけど」


スレ主「そう、クトゥルフ神話では『全知全能の崇高なる唯一神』様が作るはずのないもの──醜く強大な邪神や神話生物、おぞましいアーティファクトが存在し、それらに神様に作られた『特別な存在』にして『万物の霊長』たる人類が翻弄、嘲弄される」

スレ主「更には『人類の誕生にも外宇宙の異形存在の関与があったことを示す証拠』まで出てくるんだよね。仮説じゃないんだよ?れっきとした証拠付き、ウボ=サスラっていう神格なんだけどね」

エンリ「……そういうことね。確かに神によって作られ、特別扱いされてるという面を尽く否定してるわね。何なら『人類にとって都合のいい神』の存在もね」

スレ主「イグザクトリー、なんなら神の存在が否定されちゃったから死後の幸福という救い──楽園の否定にも繋がってるんだよね」

スレ主「さて、私みたいな現代日本人は生涯における宗教の比率がそこまでじゃないからピンと来ないことが多いんだけど。一昔前、それも世界三大宗教とまで呼ばれるほど浸透してる価値観を根本から否定されるってなると……恐ろしいよね、怖いよね、絶望的で狂っちゃうよね!」

スレ主「だってさ、当たり前だと思っていたものが存在しないんだよ!いつか訪れると信じていた救済は幻だった!あなたが生きる上で支えにしていた何もかも、全てが無意味で無価値で無駄だったんだ!」


エンリ、先生、セナ「「"…………"」」」」

スレ主「……コホン、失礼、ちょっとスイッチ入っちゃった」

スレ主「とまあ、こんな感じでクトゥルフ神話の世界における『真実』は、触れた人間の信じていた世界観を冒涜し、破壊し尽くす。それによって相対してしまった人間の正気を失わせ、狂気へと陥らせる」

エンリ「……今回は宗教が例えだったけど、宗教以外にも適応されるわ。科学、文化、常識、感情、信念、正義──それら全てを翻弄し、嘲笑し、冒涜する」

スレ主「そういうこと、だから『人が理解出来る、人に近い思考』をしてる存在は軒並み狂気に陥る可能性があるね」

スレ主「どこまでも地球中心、人類中心な自惚れた考えを嘲って否定する。クトゥルフ神話において太陽神ポジションが存在しない──存在していたとしても自分が知らないくらいマイナーなのはそういうことだと思ってるよ」

エンリ「確かに太陽神って地球や人類を中心としているからこそ生まれる信仰よね……太陽神って殆どの神話において有名になるのに、クトゥルフ神話だけ存在しない、もしくは影が薄くなるのも納得ね」



スレ主「さて、前提知識はここまで。そろそろ本題に入ろうか」

先生"えっ……まだ本題じゃなかったの?"

スレ主「クトゥルフ神話って『解釈の神話』でもあるんだよねぇ。だから、その方向性をしっかりと伝えようとしたらこうなった」

エンリ「本題ってことは……いよいよキヴォトスと紐付けていくってこと?」

スレ主「その通り。ここからは当キヴォトスでの神話的事象の立ち位置、魔導書や魔術の扱い、生徒と神話生物と神話生物(複製)の戦力差、ここら辺に触れていくよ」


キヴォトスとクトゥルフ神話とCoC

スレ主「まず、この世界で主に使ってる解釈は『CoC(Call of Cthulhu)』を使用しています」

エンリ「『TRPG』という『ゲーム』として整備されてるからね。数値化されて綺麗に纏まってるし、フレーバーテキストも簡潔に纏まってるのもかなりいいわね」

スレ主「まあ、数値化されてるお陰で理論上倒せたりしちゃうからかなり弱体化してる、って捉えれるけどね」

エンリ「それでもあくまで理論上だから基本無理ゲーよ」

セナ「ゲーム……ですか?」

エンリ「そうよ。ラヴクラフトさんを中心として描かれてきたクトゥルフ神話の世界をベースとしたテーブルトークRPG。神話的事象という圧倒的理不尽に対して矮小な人間が懸命に抗っていくのが基本ね」

エンリ「人間の価値観を全て無意味になる世界だからこそ、正義とか愛とかそういったものに対して改めて真摯に向き合うことが出来る」

スレ主「そういったシナリオもあるねー。まあ、情緒も肉体も精神も希望も、一切の容赦なくぐちゃぐちゃにしてくることも多いけど」

エンリ「マルチバッドエンドの恋愛シナリオとかね」

スレ主「あれで性癖ガッツリ歪んだなぁ……まあ、自分が思う最善を選択したのでメリバのつもりですが」


先生"……もし、生徒の皆が遭遇してしまったとしたら、対処出来るのかな?"

スレ主「まあ、一般人類よりも頑丈で銃火器携帯してる生徒なら余裕……だったら良かったんだけどねー」

エンリ「うん、私も結構厳しいと思うわ……」


スレ主「まず神格連中は除外だ、見ただけで普通に詰むしダメージの通りが基本悪い」

エンリ「普通に即死とか使ってくるのよね……説明的に私たちでも即アウトよ」

スレ主「そして上位の神話生物もアウトだ、具体的には体力バカ高くて装甲が充実してるメンツ」

エンリ「物理が一点でも通るならまだマシよ。そうでないならトンチキAF及びオリジナル魔術持ち出すしか勝ち目ないわよ」


スレ主「純粋物理無効兼装甲及びリジェネ持ちかつ高命中即死火力及び永続ステータス低下攻撃使用……勝てるわけねーだろ、クソゲーだぞ」


エンリ「そもそも基本的に神話生物とまともに戦うのが論外なのよ……まあ、イッヌってここまでわかりやすく理不尽だからこそギミック採用されやすいのよね」


スレ主「まあ、そうでない神話生物だったとしても……意外と銃火器耐性持ち多いんだよねー」

エンリ「地球外の物質で出来ているから貫通する武器に耐性持ってます、ってのがかなり多いのよね」

スレ主「ゴ=ミさんも銃火器だと逆に倒せないよ、MAキックなら即爆散するけどね。というか探索者がMAキック多用するのって銃刀法とこれが理由」

エンリ「意外と通りいいのよね、MAキック」

スレ主「ついでに某プロセカ卓のピンク髪がARと火炎放射器とMAキックとヨグパン砲全部搭載してる理由も多分これ。神話生物に合わせて一番ダメージの通りがいい武器を使うため」

エンリ「いつ見ても頭おかしいと思うわ」


スレ主「まあ、言うてゴ=ミさんがゴ=ミさんである所以はバイオ装甲と電気銃がないからだし」

エンリ「ダメージに応じた長さのスタンと耐性面をほぼ完璧にするバイオ装甲使われたら流石にね……」


スレ主「あれ?画像用意したんどけどスマホからだと貼れねーや(´・ω・`)」


魔導書と魔術

スレ主「いや、なんであるんだろうね、魔導書」

エンリ「しかも、なんでよりにもよってネクロノミコン……」

先生"トリニティに行った時のエンリは凄く焦ってて、苛立っていたし……それほど危険なもの、って認識であってるんだよね?"

スレ主「いや、意外とそうでもない」

エンリ「それは基本的な話でしょ。もし何かの弾みで上振れたら本気で世界滅びるわよ」

スレ主「まあ、理論上はね。でもさ……勘違いされがちな気がするけど、魔導書って普通すぐに読めないんだよ」

セナ「……すぐに読めないと言っても、未知の言語でない限り一週間もあれば読めそうですが」


スレ主「そう思われがちではあるけどね……母国語で書かれてたとしてもすぐには読めないし、ちゃんと理由もある」

・魔導書の多くは手書きかつ古い書体で書かれてるため判読が困難

・魔女狩りや異端審問を免れるために暗号が多用されてることもある

・そもそも正気を失ってる人が書いているため内容が支離滅裂なことも多い

・ついでに自分以外の誰かが読むことを考慮されてない『メモ書き』感覚で書かれたものもある

・もし他の人のために書かれた魔導書だとしても素人向けに書かれたものでないので専門用語や専門的な考え方がなんの説明も無く書かれてる

・以前の持ち主によって注釈が添えられてる場合もあるが、違う言語や違う目的で書かれてることも多く、最悪注釈そのものが間違ってる

・なんなら古いものだと索引も用語集も目次もない、章ごとに分けられたりもしてない、ページ番号もついてない、句読点もないし、単語と単語の間のスペースすら無かったりする

・物理的に取り扱いが困難なものも存在する、具体的には崩壊寸前のため薄い手袋を嵌めたり、ページを捲るのに先に柔らかいパッドのついたピンセットを使わなければならない

・他にもページが破られてたり、落丁、乱丁、インクのしみ、酸による痛み、ページの一部が焦げてる、汚れて読めないetc……


スレ主「この悪条件の中での解読、更に魔術をかけるには一言一句正確に、僅かたりとも身振り等を間違えたらアウト……無理に決まってんだろ

エンリ「いや、まあ……私が読めたのも予め知識があって、この部分が指してるのはこれかな?って当たりがつけられたのが大きいけど……」

スレ主「エンリの神話知識はネクロノミコンを遥かに凌駕してるからね、当然っちゃ当然。根拠は7版の神話レーティング」

エンリ「本来ならある程度神話知識得てる時点で正気を維持出来ないけどね。こうやってまともに会話出来るなんてありえないのよ」

スレ主「フシギダネー」


エンリ「あ、魔術で思い出した!あのよくわからない赤いやつが出してた神話生物モドキは何なのよ!」

スレ主「ああ、ベアおばが出してた複製(ミメシス)のことね」

スレ主「いや、あれってさー、エデン条約だったり太古の教義だったりなんかしら『ベース』となるものがあれば作れそうなんだよね」

スレ主「あと根源の感情のレプリカとも呼ばれてるらしいから、魔術という『儀式』を形式だけ模倣して『狂気』の複製として生み出された、って感じ」

エンリ「えっと……とりあえずゲマトリアが所有していた技術を使ってなんか上手いこと紛い物を作り出した、ってこと?」

スレ主「そういうこと、ついでに神話的事象への理解度低い上に勘違いして見下しまくってるから……まあ、そんな認識でいるからSAN値チェックも発生しないガチ紛い物と化してる」

エンリ「ついでにネクロノミコンに書かれてること信じてないでしょ……はあ、変に狂ったりしない分マシだけど、レアケース過ぎて予想外だったわ」

スレ主「あれ信じて無いうちは正気度減らないからねー……まあ、実在すると知ってしまった時は盛大にダメージ受けるけど」


スレ主「少し話逸れたね。まあ、とにかく変に盛られてると勘違いしたお陰で弱体化してたり、シンプルに銃耐性について記述されてないお陰で銃弾の通りが良くなってたりするね」

エンリ「そこは本当に助かるわ……グールとかかなり面倒くさくなるのよね」

スレ主「それはそう、あとビヤーキーが光速で飛び回ったりもしないよ。まあ、光の速さで動く生き物とか普通信じないけど」


スレ主「まあ、とにかく神話生物のミメシスは大幅弱体化されてるし、召喚なり接触の呪文が無い神話生物だと呼び出すのにかなりコスト食うことになるだろうね」

エンリ「その感じならティンダロスの猟犬に早々襲われたりしないのはかなりありがたいかも」

スレ主「耐性関連無くても奇襲される可能性があるだけで怠いからね」


スレ主「ただ、まあ……少し引用するんだけどさ」

「繰り返し述べるが、抑え難きものを招来してはならぬ。招来されたものは汝に仇なし、汝の最強の秘法をも無力とするからだ。招来するは力なきものにせよ。強大なるものは応うる事は欲さず」

──H.P.ラヴクラフト『チャールズ・デクスター・ウォード事件』


スレ主「……まあ、調子に乗るとロクなことは起きないよ、って話ね」

エンリ「……とてもいい笑顔ね」

スレ主「そりゃあ、ね?ふふふっ」


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