田中那由多の休日

田中那由多の休日



 目覚まし時計の音で脳が起き始める手を動かしけたたましく鳴る機械を止めると身を起こした。


 現在の時刻は5時30分

 

 「………あ、今日何も無いんだった」


 高専の授業も無く、任務も、上層部の実験の予定も無い今日は休日だった。


 「何しようかな……とりあえず、朝ご飯食べるか」


 夜蛾先生は残念な事に今日は休日じゃなく早めの予定が有るのか高専には居ない。朝ご飯でも一緒に食べたかった……そんな事を思いながら手早く着替えて寮の私室を出て朝ご飯の支度をするために移動する。


 体育館の脇を抜け理科室を通り過ぎ家庭科室に入る家庭科室に置いてある冷蔵庫、冷凍庫を開き中を確かめ……パンを取り出す。何も無い日だが冷凍ご飯無いので今からご飯を炊くのは面倒だ。

 備え付けのレンジにパンを入れジリリとダイヤルを回し焼き始める、そして家庭科室を離れて自販機の所でコーヒー牛乳を買う牛乳が無かったのでまたまたご飯と同じく妥協である。

 

 「………冷たい」


 夏が近いからか温かい飲み物は無いコップに移して温めるのも洗い物が増えて面倒なので我慢する。ペットボトルの蓋を開けて喉を鳴らしてコーヒー牛乳を飲む喉の乾きが潤うモノでも無いが胃に液体が流れ込む。


 「ぷっ、ふぅ……」


 まだ、時刻は5時45分学校全体は静まっていて目覚めていない。


 一人の時間は好きだ、中に奴がいる事とそもそも人扱いされてない事はおいておく。


 そして、静かな一人の時間を過ごして

6時頃歯磨き等をすませて部屋に戻る。


 30分の間に近くから人の気配や動きを感じる……そういえば学生同士交流した方が良いと休日は合わせるようにしてるとか言ってたっけ?恐らく自分の友人関係を心配した夜蛾先生成りの配慮かもしれないが……どうしたものか夏油だったら最悪だアイツは嫌いだ、そしてアイツも僕が嫌いだ会わない方が良いだろう。五条ならおはよう位は言っても良いがあの最強の化け物相手に長く関わりたくはない。

 ということで無視する事にしたどうせ彼等は家入や下級生二人を誘って遊びに行くだろう自分は多分積極的には誘うはずがない夏油を的にして以降あの3人相手には取り繕わず対応している自分の事をアッチはそんなに好きじゃない筈だ。

 

 という訳で、休日を私室で学校の勉強の予習をしながら過ごしていると。


 コンコン


 「失礼します!いますか?!那由多先輩」


 「朝から声が大きいですよ、もし起きてなかったら迷惑だ」


 ………自分が相手を嫌っていても形式的には敬ったり、心配したり、手伝ったり。学生や組織内なら良くある事だそれ事態に苦労苦痛を感じることは無い。だが、どうやら自分はそういうものと相手に感じ取られずにそういう事をするのが得意らしい。


 「ハイハイ、起きてるよ灰原、七海おはよう」


 ドアを開きながら先程の声の正体たちに笑顔で挨拶をする。


 「おはようございます!」

 「おはようございます田中先輩」


 要件を聞くとあの3人とそれに歌姫先輩も含めて遊びに行くそうだ……内心ため息をつくが表にそれを漏らすことはない。了承し財布やら鞄を軽く用意して外出の準備を整える。


 「宇迦之」


 そう小声で呼ぶと一匹の九尾が部屋のサイズに合わせてベットより少し小さい位の大きさの出現する。


 「部屋の警備」


 そう、指示する。コーンと小さく無くと小さな監視カメラに変化して部屋の片隅に張り付く念の為に警戒を怠らないのは大事だ。あの男は天元の結界を素通り出来る手段を持ってると聞いたし、上層部の指示で誰かが入る可能性もある。

 こんな疑心暗鬼な性格に自分としてもどうかと思うが十二歳の頃から染み付いた臆病さや警戒心は中々消えない。


 「準備出来たから行こうか」


 二人に声をかけつ部屋から外に出る


 騒がしい時間が始まる。

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