生姜湯
12月に入り一気に寒くなったある日、あたしの代わりに買い物に行ってきてくれた旦那と子供達が寒い寒いと言って体を震わせながら家に帰ってきた。
部屋の中は暖房を付けているので暖かいが、芯まで凍えてしまった3人の体はずっとガタガタ震えている。
そんな家族のために、あたしは3人が帰ってくる前に鍋で生姜湯を作っていた。
一煮立ちしたそれをお盆の上に乗せたマグカップに注ぎ、子供達のにはハチミツをたっぷり入れてやる。
完成した生姜湯を3人に渡すと、舌を火傷しないようフーフー冷ましてからまず旦那が一口。
続いて娘が一口飲んだが、まだ熱かったようでまた息を吹きかけて冷ます。
息子は2人よりも長く冷ましてからゴクゴク一気に飲み干した。
「おいしー!」
あたしに向かって笑顔でそう言った息子の頬はほんのり赤く染まっていて、早速生姜湯の効果が出ているようだ。
「かーちゃんおかわり!」
「ママ!わたしもー!」
「俺もおかわりいいかな?」
いつの間にか旦那と娘も飲み終わっていて、空になったマグカップを差し出してきた。
「飲み過ぎると逆に暑くなって汗かいちまうぞ」
そう言って呆れながらも、熟れたトマトのように真っ赤で暖かくなった3人の笑顔を見れて、あたしの心は温まるのだった。
終わり