生き恥花嫁衣装with糸師兄弟
175氏より幽霊屋敷と近隣住民から噂されるオンボロ一軒家の寂れた地下室。
そこでは2人の冴え冴えと凛々しくも可憐で愛くるしい少年たちが、眩暈がするほどの物量の大人のオモチャに囲まれていた。
壁沿いに天井へと及ぶまで高く複雑に積み上げられたそれらは、歯車めいて緻密で、いっそ芸術作品の様相さえ呈している。
床には子供サイズのコスプレ衣装も散乱しており、オーダーメイドだろう高品質のものから激安の殿堂で買い求められそうな粗悪品まで様々だ。共通点を挙げれば、どれもが白無垢やウェディングドレスなどの花嫁衣装をモチーフにしたデザインだった。
先程まで少年たちが着ていた学校の制服はズタズタに切り裂かれ、なれ果ての布地はゴミ袋に押し込められている。代わりに袖を通しているのは、悪い冗談みたいに露出が多い下着じみたデザインのウエディングドレス。否、もはやこれはウエディングランジェリーと形容すべきだ。
小児愛好家は大喜びするであろうふざけた格好をさせられた少年たちの前で、神父のコスプレをした中年男性が聖書を手に口を開く。
「えー。それでは只今より、私のかわいい息子たちとうつくしい花嫁との結婚式を始めたいと思います」
息子が単数形なら気持ち悪い言い回しで3P開始を宣言されたと解釈できるが、複数形、かつ息子と言った時に周りのアダルトグッズに目配せをしたことから、この中年男の変態性は『愛用のアダルトグッズを息子と呼び、それを年端も行かない少年の花嫁と結婚させようとしている』ことにあると冴は理解した。
今までだって「ボクちゃんのチンポのお嫁さんになって♡」だの「おじさんのおちんぽ様に誓いのキッスをしてちんぽ妻になろうね♡」だの「俺だけの雌ま⚪︎こになろうな♡」だのと散々に吐き気を催すプロポーズを受けてきたが、大人のオモチャと結婚させようとする手合いは初めてだ。
しかも弟まで一緒に誘拐されてしまった。可哀想に顔を真っ青にして涙さえ浮かべている凛を見て、冴は唇を噛んだ。いつもならハイエースやスモーク車が寄って来た時点で嫌な予感がして弟を逃してやれるのに、今日は朝から熱っぽいのを我慢していたせいか勘が鈍って働かなかった。
このままでは、新郎新婦の誓いのキスだとかほざいてアダルトグッズを口に突っ込まれ兄弟仲良くしゃぶるハメになる。