現パロ 学パロの十年後 番外編2
※会話劇。なんでも許せる方だけどうぞ。
新田殿のお見合いの話。細かいことを気にしてはいけない
弟(義助)が出てくるのでご注意を
とある冬の日、某ホテルのラウンジ
師直『ここのラウンジは中々良いな。人が少なくて静かだし、コーヒーも美味い。
打ち合わせに使うのに良いだろう』
師直『…!?』
師直『危ない、コーヒーを吹き出すところだった…新田ではないか、しかも女連れ』
師直『これは、あれか、前に話していた見合いか?』
師直『……いやそれより、あの女の死角に座っている男…どう見ても…』
師直『前にテレビで見た新田の弟では?』
師直『一体何をやっているんだ…』
※小一時間歓談したのち、新田殿と女性はラウンジから出ていった
師直『…そばを通りがかると気づかれると思って、うっかり出そびれてしまった。
何杯コーヒーを飲んでいるんだ、俺は』
義貞「会うのは久しぶりだな、師直」
師直「!? お、お前、どうした、いや、その…」
義貞「最初から居るのに気づいていたんだが、挨拶をしなくて悪かったな」
師直「(くそ、目がいいな本当に)お前、今の女は…」
義貞「ああ、見合い相手だ。外まで送って戻ってきた」
師直「そうか…」
義貞「あ、紹介するな、俺の弟の義助」
義助「こんにちは、高師直さんですよね。いつも兄がお世話になっています」
師直「こんにちは…(やはり賢そうに見える)」
義貞「何故かこいつ、いつも見合いについて来たがるんだ」
義助「俺の義姉になる人なんだから、どんな人か確認するのは当然だろ」
師直「(後ろで会話を聞いていたのか)」
義助「そうだ、兄者。あれ聞いてみてよ、味噌汁の」
義貞「え、ああ。師直、ちょっと聞いてもいいか?」
師直「なんだ?」
義貞「普段二人分味噌汁を作る時、何の味噌を使って、どのくらいの量入れる?」
師直「?? なんだその質問。なんの味噌かは季節によって変えたりするが、今は
新潟の吟醸味噌を使っている。量は目分量だが少ない方だな。大さじ2も入れない」
義助「な?」
義貞「なるほど」
師直「何がなるほどなんだ…」
義貞「いや義助がな、見合い相手にコレは聞いとけ、と言うんだ」
師直「何故??」
義助「だって、兄者の相手は料理を作り慣れている人がいいんですよ。とくに和食。
普段料理をしない人は、具体的な味噌の種類と分量が出てこない」
師直「そうだろうか…?(人によるのでは)」
義助「で、兄者は薄味好みだから、味噌を基準通り入れるやつとは合わない。
どうせ兄者は自分に合わなくても何も言わないから、味の好みが初めから
合っているほうがいい」
師直「それはそうだが…」
義貞「会話の中で聞くの結構難しいんだぞ。自分の好物ですが、みたく
話すようにはしているが」
義助「料理が得意とは聞いていましたけれど、流石ですね」
師直「はあ…」
義貞「やっぱり『師直みたいな女子』はそうそう居ないな」
師直「それ本当やめろ…」
義貞「あ、邪魔して悪かったな。また今度話そう」
師直「ああ…」
義助「お邪魔しました。失礼します」
師直『…まるで断りどころを作るための質問のような…あの弟、結婚させる気あるのか…??』
義貞【結局また断った。まあ仕方がない】
師直【(やはり弟が…)今どき結婚は義務でもないからな】
義貞【そうだな、現役中はやめておくか。あまり考えることを増やしたくないし】
師直【それでいいんじゃないか…】
義助「俺は兄者が好きになった人なら止めないよ?でもなんだか義務感に動かされている
みたいだからなあ」
※この質問正解が推察すらできないので結構ひどい(新田殿は好みを明かしていない)
師直殿はパーフェクト回答です、流石完璧執事
新田殿の家は足利家の遠い親戚だけあって結構見合いが持ち込まれる
(今はお金の心配もないし)
ちなみに新田殿は見合いのときに『師直だったら』『正成だったら』と
余計なことを考えて,相手に集中していないのを弟に見抜かれている
ふたつのことを同時に考えるのは難しいから仕方ないんだ