②獲物

②獲物



「よし、こんなモンだな。あとは船に届けてもらうよう手配を…」

「なんでおれまで仲良くくっついていかねェといけねェんだ?ガキじゃねェんだぞ…」

「てめェがすぐ迷子になるからだろォがこのクソガキマリモ!」



ピクッ




ダッ!




「あっおい旦那!?…どうしたんだいったい——っておいクソマリモ!?」


急に後ろを確認したかと思えば、次の瞬間にはどこかに駆け出したルフィにサンジは驚き声をかけようとするも——


「…。」ダッ…


続いてゾロも駆け出したため、ウタに声をかけて自分たちも後を追おうとする。


「ウタちゃん、おれたちも……ウタちゃん?」











「ヒャア!大当たりだ!能力者は厄介だが、この手錠さえありゃあこれほどいいカモはいねえ!しかも今回はこんなにめんこいのが釣れたときた!!」


すでにスタジャンは脱がされて遠くに放り投げられ、ワンピースは強引に引きちぎられ、下着もはぎ取られてウタの豊満な胸があらわにされる。

男たちは遠慮なくその胸を我が物顔で揉みしだきはじめた。


「なんだこりゃあ!?でけえ…!」

「柔らけェ!すげェ柔らけェえ!」


左右から伸びた手は思いやりの欠片もなく力まかせに指を食い込ませ乱暴にこねくり回し、ある者は顔をうずめてその柔らかさを思う存分堪能した。

意識が朦朧として、気分も盛大に沈み、体も鉛のように重い。それなのに、愛する人以外に触れられている事実に体は悲鳴をあげて極大の不快さをダイレクトに訴えてくる。


やめ…や…だ…そこは…おまえなんかの場所じゃ…ない…!


気だるくてたまらない体を必死に動かし、手錠をかけられた両手で相手をつき飛ばそうとするも、ただ相手の胸に手を添えるだけにしか見えない。

そんな弱々しい抵抗は、男たちの歪んだ劣情を刺激し更に興奮させるスパイスにしかならなかった。


「ほおおおお!?いいぜぇー!たまらねえ!!ほれっ!ほれっ!?もっと抵抗してみせろ!オラッ!」


バシッ! バシッ! バシッ!


たやすくウタの手を払いのけ、興奮した男は何度もしつこくウタの頬をぶった。

蓄積された痛みに頬はマヒし、ジーンとした熱さを伝えてくるだけになり、キーン…と耳鳴りがし始める。直後ぬるりとした感触を覚えた。


あ…鼻血でちゃったかな……?


それとも口を切っちゃったのかな…他人事のようにウタは思う。

覇気を練ろうにも我が物顔で体をはい回る男たちの無遠慮な指の感触がおぞましく、激しい吐き気を催して練ることができない。


「すげえ!すべすべだ…!こんなのはじめてだぜ!」

「たまんねえ!ほぉお!たまんねえ!」

「うめっ!うめっ!」


ある者はウタの太ももをいやらしく撫でまわし、ある者は恍惚と頬ずりし、ある者はベロベロと舐めまわした。


いやだ…いやだぁ…さわるなぁ…!はなせぇっ…!


そう必死に抗おうとするも、子どもみたくいやいやをするのが精いっぱいで。

手錠さえなければ…こんな奴らなんかに……!


「おいっ!股ァ開け!足をおっぴろげさせろッ!!」


そう誰かが言い出し、ぎょっとして必死に足を閉じようとするもまったく力は入らず、無きに等しい抵抗は何の意味もなさずにウタの美しく長い両足は無情にも力ずくに左右に大きく開かれた。

ミニワンピースでは隠すことができずに、愛する人のために穿いている煽情的な下着が露出し男たちの目にとまる。



ごくっ…



あれだけうるさかった男たちは全員黙り込み、欲望を煽る魅惑的な姿に思わずつばを飲み込む。

その音はやけに大きく路地裏に響いた。

いつのまにか男たちは全員ズボンを脱いで下半身を露出させていた。期待にそそり立ち脈打ついくつもの男根がウタの目に入り、ひっ…と恐怖を覚えて体がこわばる。


「この女ァ…こんなエロいカッコしやがって…!俺たちを誘ってやがったんだ!」


一人の男が自分の男根を激しくしごきながら勝手なことを吐き捨てる。


だれが…おまえたちのため…なんか に…これは…るふぃのための……!


「もうガマンできねえよ!おいッ!しゃぶれッ!」

「待て!その前に…俺っちとあつーいベーゼをたぁ~っぷりかまそうぜ…ヒヒッ!」


ウタの前髪を掴み乱暴に持ち上げる。異臭のする口からブツブツだらけの舌をべろべろ動かしながら突きだして、恐怖を与えるためにわざとゆっくり近づけてくる。


我慢の効かなくなった別の男が無骨な指で下着を引っ掴み乱暴にはぎ取った。


たくさんの男たちの下卑た、耳障りなあざけりと欲望を隠そうともしない不愉快なねっとりとした視線、下衆な劣情を一身に浴びて体は委縮し震えが止まらず、これから自分に降りかかる絶望的な未来を想像して顔は青ざめ歯がかちかちと鳴る。


泣かないぞ…ぜったいに…ぜったいに…泣いてなんかやるもんか……


るふぃはかならずきてくれる…かならずきてくれる…







るふぃ……







ヒュッ…と、風と共に何かが割り込んできた気がした瞬間——


ドゴンッ!


凄まじい音がしてウタに覆いかぶさっていた男が吹き飛び壁に激突する。白目をむいた男の首はきれいに折れ曲がっており、情けない姿を晒したまま男は即死した。


「ウタ、もう大丈夫だぞ。」



……るふぃ?



目じりに涙を浮かべ、恐怖で顔を引きつらせているウタに優しく声をかけながらはぎ取られたスタジャンを羽織らせ、自分の胸に抱き寄せるルフィ。


突然の出来事に、男たちは男根をたぎらせたまま呆けた顔で見ていることしかできない。


「よくがんばったなァ…えらいぞ、ウタ。…海楼石の手錠か。ゾロ、鍵をたのむ。」


「おう。」


ルフィ…ルフィ……!


か細く自分の名前を呼びながら、もどかしそうに鈍い動きですがってくるウタを優しくあやし、時間が惜しいと自身も手錠に触れないよう気を付けながらウタを抱き上げ、駆け足で船に戻るルフィ。


ゾロは隣を通り過ぎる彼らを横目で見やった後、


「さて、お前ら。死ぬ前にいいモン拝めた、いい思いもできた。冥途の土産の心配はいらねェな。」


刀に手をかけ、言いながら男たちに鷹揚に近づいていく。


「ウチの大事な船長にナメた真似してくれやがったんだ……覚悟はできてんだろう?」


チャキ。






「ウタちゃん!?大丈夫かい!?…あの野郎ども!!」


ルフィの腕の中でちぢこまり小さく震える、ぼろぼろのウタを見て己の見聞色の覇気の認識が間違っていなかったことを悟りサンジは激昂する。


「サンジ、あいつらはゾロに任せとけ。それよりウタにうまいパンケーキをつくってくれねェか。」


「まかせな旦那。ウタちゃん、楽しみにしてな。今までの比じゃない、とっておきの美味いヤツを用意するからね。」


微笑みながらウタへ優しくそう答え、ちらとゾロを見やるサンジ。


「今回は譲ってやる…一人も生かして返すんじゃねェぞ、クソマリモ。」


逃せば他の麗しいレディたちが餌食になる。小さく呟いてサンジも足早に二人のあとを追った。













ヒュンッ タパパッ…


「すまねェな閻魔。汚ねェモン斬らせちまってよ。」


刀を一閃させ、付いた血を振り落としながら謝るゾロ。

もの言わぬむくろとなった男たちに一切興味を示さず、残った血を丁寧にぬぐい綺麗にした後鞘に納める。

そうして男たちから奪った鍵を手にしながら


「酒買って帰るか…」


ここに来るまでに見かけた酒屋に向かって歩き出した。





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