独占欲R18
五条からの連絡を伝えてくれた日から、東堂の様子がおかしいと脹相は勘づいていた。
距離感は前より近くなったし、四六時中背中にくっついて回ってくる始末だ。その理由も何となくわかっていた。もうすぐ今までのように独占できなくなるのが寂しいのだ。それを思えば、不機嫌そうな顔をしているいかつい男も愛しく感じられた。
「葵、そんなにくっついていたら危ないぞ。」
「……いい。」
料理をしている時には出来れば離れて欲しかったが、駄々をこねる恋人が可愛らしくて脹相はそれ以上何も言えなかった。正直体格差がある分くっつかれてしまうとかなり動きが制限されるが、ここで離れろと怒ってしまえば東堂は体格に見合わない年下らしい表情で脹相にわがままを言う。それに弱いことを知っているのだ。その狡猾さすら脹相は愛していた。
「脹相…、……抱かせてくれ。」
「……食事は……」
「後でいいから、頼む。」
低い声が耳元で響くたびにぞくぞくと身体を這う痺れに脹相は観念して調理器具を置いた。この感覚に抵抗することは出来ないのだと、本能が理解していた。
***
「あ"ぁっ…!ひ、あ、ぁあッ……!」
「脹相……」
「むり、むりだ、奥、はいらな、ぁあッ……!」
「……好きだ、愛してる……」
前戯を終えたかと思えばうつ伏せになれと命じられ、従った結果東堂の分厚い身体に押しつぶされるようにのしかかられ脹相は悲鳴じみた喘ぎ声を上げた。肺が十分に含まらない上に逃げ場をなくした腰は可動域を与えられずに只管内臓を潰されるような動きで責め立てられている。
当の東堂は熱に浮かされただ甘い言葉を吐くだけで、脹相が死ぬ思いで喘いでいることなど一切気付いていない様子だった。
「あ、あおいっ、苦しッ……♡ひ、ぃっ…♡」
「はっ……、…悪い……」
謝る癖してまるで動きを止めるつもりのない東堂に、脹相は自らの唾液で濡れたシーツに顔を擦り付けながら必死に理性を保とうとした。それを呆気なくなし崩しにしようとする熱い棒が恨めしくて仕方がない。
「い"ッ……!?♡」
「ッ……は、……っ、」
項を噛まれ、びくりと身体が跳ねた。血は出ていないだろうがきっと深く跡が残ったと痛みで理解出来る。それなのに、痛みすら快楽として捉えてしまう身体が恐ろしくも愛しかった。真後ろで体重をかけてくる男が、全てを塗り替えたのだ。生まれ持った性が男であるために子は孕めないにしても、この身体そのものが二人の融合体にすら思える。噛まれた痛みで達した脹相の締めつけに、東堂もつられて絶頂した。避妊具の先に白濁が溜まり、引き抜かれるだけでも脹相は甘く達していた。
「はっ……ぁ、っ……♡」
「…悪い、痛かっただろ。」
「っ……い、い……気持ち、良かったから……」
東堂の息を飲む音が聞こえて、脹相は気を良くした。
年下の男が、自分に向けた欲を制御しきれない姿がとにかく愛おしかった。