狂化特異点
前スレよりコピペ(覚えてたら読み飛ばしておk。覚えてなくても読み飛ばしてもおk)
『生まれた瞬間にわし様だけが処理されて、弟達は人間調整装置の端末としての役割は眠ったまま99王子+1王女の100人兄妹でパーンダヴァ達とも仲良く幸せに暮らしてた世界線
だけど、いつの日からかなにか物足りない、誰かが居ない……なんて思ってたら聖杯でわし様のことを知って「あぁ!足りないのは『兄(本体)』だったのか!!」と『本体』の存在を知り、聖杯により接触してカルデアからわし様を奪おうとする狂化100王子弟概念
イメージは、わし様が頭としての端末『王』『女王蜂』みたいなもので弟が『働き蜂』
欠落していた『本体』を知り、本来の自分たちの役割を思い出して狂化
狂化100王子弟は兄好き好き()なので倫理観が一気に欠落する
悪魔化兄弟がまだどこか人間味があるのに対してこちらは全く葛藤もない
『長兄』が願うならどんなものだって手に入れましょう
『長兄』が望むなら喜んで人間を間引きましょう
『長兄』が求めるなら躊躇いなく人をやめましょう
だから、どうかこれからずっと「ここ」にいてください
どうかもう、私たちの手から離れないで』
𓂃𓂃𓂃𓂃𓂃𓂃𓂃𓂃𓂃𓂃
いつも、微かに「飢え」があった。何か、欠けていた。
毎日幸せだった。盲目でも俺たちを愛してくれる父様に、同じく目を閉ざしても愛情を注いでくれた母様。同じ肉から分かたれ生まれた弟妹達。いつも正しくて、悔しいがかっこいいパーンダヴァの奴らとだって、多少の喧嘩はあっても仲良くやっていた…と思う。
毎日幸せな日々。幸福に満ちていた、穏やかな日々。
けど、どうしても。
満たされない、何かが欠けていた。
その「何か」はいつも分からずじまいだった。
それを、きっと些細なものだろうと、「飢え」を見て見ぬふりして、日々を過ごした。
少しづつ、崩れ落ちていく世界を実感しながら。
毎日の小さな幸せを噛み締めていた。
あの日、黄金の杯に出会うまでは。
𓂃𓂃𓂃𓂃𓂃𓂃𓂃𓂃𓂃𓂃
嫌な予感はしていた。
恐らく、全員何処かで『このレイシフトは危険だ』と、感じていたのだろう。
そも、適性とされたサーヴァントがかの戦争の中心人物だということ自体、厄ネタの匂いがしていたのだ。
それでも決行したのは、ほうっておけば甚大な被害を生む特異点であったからだ。
「全員、一時撤退!!道をひらいて」
「っ、承知した」
「っクソ、体が重い!」
「まるで第四の異聞帯のような…」
レイシフト先、早々にカリによる襲撃を受けたカルデアは苦戦を強いられていた。
尽きることなきカリの大軍、ここに来てから感じる体の不調、そして噎せ返るような血と花の匂い。そのどれもが醜悪と言っても過言では無い。
だが、誰よりも霊基に異常が出ているのは__。
「おい、しっかりしろ!旦那!!」
「…っ分かっておる…!」
ドゥリーヨダナであった。顔面は蒼白になり、立っているのもやっとなようで。それでもマスターに襲いかかろうとするカリを棍棒でねじ伏せていた。頭が痛むのか、時々左手で頭を抑える。
誰かが、呼んでいる。
頭の中で強く、誰かが自分を呼んでいる。
「ぅぐっ!」
「ドゥリーヨダナ!!」
その声の五月蝿さに、頭を強く踏まれているような痛みに耐えきれず、膝から崩れ落ちる。目は虚ろでどこを見ているのか分からない。額には汗が浮かび上がっていた。
「おいおい……!」
「……!!」
四方八方から聞こえる獣の鳴き声。
間違いない、囲まれてしまった。
「すまない、マスター」
「兄さん、貴方の速さならカリを撒いてマスターだけを逃がせるはずです」
「いや、分からねぇ。如何せん、こっちに来てから体が上手く動かねぇんだ。…この馬鹿王子程じゃねぇがな」
「それでも、まだ勝算はある筈です」
「…お前らは?」
「殿を務めましょう」
この場を、全員が無事で生還するのは無理だろう。誰かが、囮になるしかない。その覚悟を決める。
「ドゥリーヨダナ、しっかり…!」
「…だ、れだ…?」
「え?」
「だれ、が、おれ、を、よんで、いる、?」
「俺だよ、『兄さん』」
カリの大軍の中から、 誰かに似た、聞き覚えのない男の声がした。
バッとその方向へ向くと、カリが道を開けるようにして動き、1人の男性がこちらに歩いてきた。
「っ、てめぇは!!」
ビーマが敵意を剥き出しにし、その男を睨む。
彼はビーマの殺意なんて気にしていない様子で前に出てくる。
「初めまして、『兄さん』…ふはっ、なんかすっげー違和感!だって今まで俺が長兄だったもんな!」
人懐っこい笑顔とは裏腹に瞳は冷たいまま。
男は、ドゥフシャーサナは、1歩、また1歩とドゥリーヨダナに近づく。
「カルデアのマスターよ。貴殿と交渉をしよう」
「…何?」
「ドゥリーヨダナを此方に寄越しなさい。そうすれば、お前達の生命だけは助けよう」
「…断れば?」
「殺す。この場で、貴様達を殺し、ドゥリーヨダナだけを回収する」
「…っ」
不味い。
味方の様子を見る限り、宝具を打つほど魔力が残っていない。
この包囲網を打破する方法が、無い。
だからといって、ドゥリーヨダナを渡さないし、渡したとしてもこちらの安全の保証がない。
じりじりとカリが近づいてくる。
「さあ、どうする?カルデアのマスターよ」
「な、に…を、してっ、いる、っぐぅ」
「ドゥリーヨダナ…!」
「カル、ナ…アシュ、ヴァッターマン…っ!マスターを、連れて…逃げろ…!」
「だがっ!」
「お前が、死んでどうする!!…っぐ…!」
「っ…!」
「ドゥリーヨダナ!!」
「そこまでです。兄さん」
凛と上の方から響く声と共に、周囲のカリに大量の矢が降り注いだ。
「この声…ヴィカルナか!?」
「…あ?」
「これ以上、この地を汚されてたまるものか!」
ドゥフシャーサナを止めた男だけでは無い。何百といった兵士達がカリの周りを囲った。
その兵士達を率いるのは、見覚えのある戦士達。恐らく、この世界の五王子達だろう。英霊に劣らぬ一騎当千の力でカリを薙ぎ払っている。
形勢逆転だ。
そうだと言うのに、さも詰まらなさそうにドゥフシャーサナは交渉に邪魔を入れてきた男を見上げる。
見上げた先に立つ男、ヴィカルナは、ドゥリーヨダナに似た髪色で、ドゥリーヨダナより幾分優しげな顔をしかめながらドゥフシャーサナを睨みつけていた。
「さあ、兄弟喧嘩を再開しましょう」
現地のパーンダヴァ五王子とヴィカルナ率いる反カウラヴァ軍と合流後、マスターは現地にいるはぐれサーヴァント等に協力を仰ぎに行く
この後ヴィカルナからこの特異点で流行している病の影響をあまり受けないようにお守りを渡される。中身をきくと「こちらの世界のドゥリーヨダナの遺灰です」と返され一気に空気が沈むカルデア組
𓂃𓂃𓂃𓂃𓂃𓂃𓂃𓂃𓂃𓂃
この後(自己流の)細かい設定とかネタバレとか色々酷いので見る時は自己責任
・世界線
本来なら剪定される世界だが、剪定前に事故って聖杯がドゥフシャーサナの手に渡ってしまい発生した。人口に世界(大地)が耐えられなくなり大地震や地上の崩壊によって滅ぶ筈が僅かに延命されている。それでも限界が近いようで…。
・体調があまり良くない
原因は肉塊ドゥリーヨダナが死去した際、『人口が規定数より多かった場合、病を流行らせる』というオーダーのもと
通常サーヴァントには効かないが聖杯により効果が増幅している
・本来いるはずだったドゥリーヨダナ
ここでは既に肉塊として処理されている
この世界では他兄弟に機構としての代替の機能が継承されず、ドゥリーヨダナだけがカリの支配権及び人口調整機能を持っていた
しかし、魂ごと消滅してしまったので、弟達にカリの、人口調整機構の端末の後継としての側面が生じることなかった
・素ヨダナ改めてドゥリーヨダナ
この特異点激ヤバじゃね…?めっちゃ頭痛い…状態
まじで発狂するレベルで頭が痛くなる
また、こっちに来てから若干眠くなっているのかウトウトする姿がよく見られる
・狂化ドゥフシャーサナ
兄貴Loveが爆発した人
同じく『長兄』を欲しがる兄弟を連れ、パーンダヴァ側、反カウラヴァ側と対立する
『長兄』を手に入れるのが目的…だけど、手に入れたあとどうするかは決めてない。というか 思考から外れるようになっている
今の彼は、『長兄』を手に入れるまで狂化が治まることは無い
聖杯のおかげでカリの支配権を得ているが、正確なものではなく、「Go」「Stop」くらいしか命令できない
・現地ヴィカルナ
ドゥフシャーサナと対立する
パーンダヴァ五王子に協力を仰ぎ近郊の村を始めとした平和を守っている
物腰低く、パーンダヴァ五王子とも仲が良い
本来の『長兄』ではないが、カルデアのドゥリーヨダナを気にかけてくれる、優しい子
…とでも思った?残念、罠です
現地改め狂化ヴィカルナ
ドゥフシャーサナと同じく『長兄』が欲しい子
そもヴィカルナ側についた兄弟だって実はみんな『長兄』が欲しい。あえて敵対することで、ヴィカルナの方でドゥリーヨダナを手に入れる予定だった。つまりはスパイ。
パーンダヴァ五王子とは仲が良いけど、邪魔するなら殺すくらい出来る
𓂃𓂃𓂃𓂃𓂃𓂃𓂃𓂃𓂃𓂃
ネタばらし
ここでの本当の黒幕は「神々」
ドゥフシャーサナが「長兄ドゥリーヨダナ」の存在を知り、欲しがっているのを見て、「じゃあこの子にドゥリーヨダナ連れてきてもらって、こっちの世界で機構やってもらわない?」
てな感じでカウラヴァ兄弟を無意識洗脳(狂化)してカルデアからドゥリーヨダナを招くよう手配していた
(例えるならリモコン。元々このテレビについてるリモコン(元ヨダナ)じゃないけど、この子(カウラヴァ兄弟)に別のリモコン(素ヨダナ)買ってきてもらおう的な)
カウラヴァ兄弟としては自ら望んで戦争を引き起こしたのに実は神の掌の上だったという話
・素ヨダナ頭痛&ねむねむ原因
神から直接干渉を受けたのが原因
特異点ヨダナと限りなく波長を合わせようとするので頭痛が起き、ヨダナとしての人格を破棄しようとするので眠たくなる
まあ、鋼メンタルヨダナなので波長が完全に合うことも、人格が破棄されることも、少なくともこの世界のこの特異点では無かった
少なくとも、だか。
・狂化兄弟
宮殿の宝物庫の奥から聖杯を見つけたのが始まり
聖杯から汎人類史におけるドゥリーヨダナ及び自分の知識を得た
ドゥフシャーサナもヴィカルナも聖杯にかけた願いは『長兄』が欲しい…ではなく、本来は「元々いた『長兄(現地ヨダナ)』も、このドゥリーヨダナ(素)のように自由に生きていて欲しかった、どうかドゥリーヨダナ(素)は幸せになって欲しい」といった願い
だが神々の干渉により歪んでしまった
この狂化兄弟に、その歪みを指摘するような質問をすれば、一時的に狂化が解けるかもしれない
𓂃𓂃𓂃𓂃𓂃𓂃𓂃𓂃𓂃𓂃
貴方は、ドゥリーヨダナを手に入れてどうするの?
「決まってるだろ?そりゃあ…」
…あれ?
貴方は、どうして戦争を起こしたの?
「そ、れは…」
おかしいな。思い出せない
貴方は、何処で聖杯を見つけたの?
「宮殿…宝物庫の奥…」
そう。そうだ。あの日、こっそり入った宝物庫。そこに、金の杯があって、それで…。
貴方は、聖杯に何を願ったの?
「あの日…あの日、は…」
兄弟達と分かちあった、汎人類史の記憶。そして…。
貴方は…。
「やめろ…やめろやめろやめろ!!」
やめろ。聞きたくない。
頭が割れるような痛み。思い出すなと叫ぶ誰かと、思い出せと叫ぶ自分。
貴方は、ドゥリーヨダナを、『長兄』をどうしたかったの?
「…あ」
その言葉を皮切りに、縄がはちきれたような衝撃と共に、封印していた記憶が流れ込む。他の弟達もそうなのか、戦っていた皆が一様に動きを止める。
「あぁ、あ、ああああ!!」
慟哭があちらこちらで上がる。あるものは咽び泣き、あるものは地に頭をつけた。血が出るまで頭を掻きむしる者も入れば、ただ、瞳から涙をぽろぽろ流す者もいた。
そうだ。あの日。俺たちは聖杯に願った。
どうか、俺たちの長兄が安らかに眠りますように。
どうか、別世界での長兄が、自由でありますように。
どうか、どうか。
多くの願いを込めた。そのどれひとつをとっても、誰もドゥリーヨダナが機構になることを望むものは居ない。自分達の直接の『長兄』になるのを望んでもいない。
そうだ、自分は、みんなはただ___。
「兄貴が…ドゥリーヨダナが、幸せになって欲しかったんだよぉ…」
燃え上がるような怒りはとうに消え、カランカランと、棍棒が地に落ち、涙を零していた。
補足の補足
現地ドゥリーヨダナは生まれて直ぐに亡くなったが、それでも弟達は大事だった
彼は機構として流行病を流行させたが、同じ肉よりわかたれし人間、すなわち弟達にはかからないよう、少なくとも症状が軽くで収まるよう最期の力を振り絞って書き換えた。
まだ見ることなき弟達よ、どうか、この美しくも愚かで儚いこの世界で、幸せに。