特級戦※注意
※嘔吐表現注意
※欠損注意
「っ……ぉえ"ッ……!」
不快な高音に襲われ、東堂は片膝を着いた後に胃液を地面へびちゃびちゃと吐き出した。即座に立て直し脹相の様子を見れば、彼も同じように嘔吐を小刻みに繰り返しており血を圧縮することが出来ない状況を知る。咄嗟に崩れた瓦礫の破片を多めに拾い上げその殆どをポケットへと仕舞うと脹相から呪霊の気を逸らさせるために別方向へと破片を投げて位置を入れ替えた。
「オマエ、強いなア、もう動けるのかア」
呪霊の声が遠く聞こえ、鼓膜の片方が潰れていることを知る。痛みはアドレナリンで掻き消されても、片耳が機能していないことで東堂のバランス感覚は大幅に失われていた。位置を変えた先で地面を蹴ろうとした途端、ぐらりと身体が揺れる。
それは三半規管までやられていることに気づかなかった東堂の隙が見えた瞬間だった。
視界に呪霊が映りこんだかと思った瞬間、衝撃とともに壁に叩きつけられいくつかのコンクリートをぶち抜いた。咄嗟に足をつき体勢を直すもすぐさま距離を詰めた呪霊が口を開くの見て、東堂は破片を投げ位置を入れ替える。自分が元居た位置では毒液を受けた壁が沸騰するように泡立ち溶けていた。
「その術、厄介だなア」
「ぐ、ッ……」
東堂はうまく立っていられずに膝をつく。耳から温く液体が垂れるような感覚を得て、流血に気が付いた。
「葵!!」
「っ、…」
ぐらりとぶれる視界の中、東堂を追ってきた呪霊の前に脹相が立ちはだかった。呪霊の胸の位置にある大きな瞳がさらに開かれ口のような部位が現れると、そこから無数の触手が飛び出て脹相を襲う。その内の数本が身体を貫き、ごぷりと血を吐いた脹相は勢いを殺しきれず地面へと投げ出され壁に激突した。
「がっ…、ごほっ……」
「脹そっ…、!」
振り返った東堂に距離を詰めた呪霊が口を開いた。咄嗟に手を叩くため腕を上げた瞬間、緑色の体液が東堂を襲いそれから身を守るため左手を突き出す。肌が焼ける音に次いで肉が溶ける音がした。瞬時に、このままでは全身に呪霊の術式が付与されることを悟り東堂は左手首から先をバツン、と切り落とした。
自らの手が沸き溶けるのを横目に見る東堂を前に、呪霊はニタリと笑ってその身体を蹴り飛ばした。