牛乳瓶

牛乳瓶

ss書き


万国の自治領の一つ、100%島。

この島にはとある噂があった。

明朝、島の遊歩道を歩いていると、ミルクがたっぷり詰まった牛乳瓶を渡される。その中に入っているミルクはこの世のものとは思えないほど甘く、すっきりとした味でどんなミルクよりも美味しいがそれが何のミルクなのかは誰にも分からない。だが、そのミルクを飲んだ子供は丈夫に育つという噂だ。

そんな噂のある100%島の明朝、一人で歩く少年の姿があった。

いつもは寝起きの悪い少年であったが、この日は珍しくかなり早く起きてしまったため、早起きは三文の得という祖父の言葉を思い出し、なんのけもなしに外に出てきた。

いつも遊んでいる場所でも時間が変われば見せる顔も変わるもので、知ってる場所の知らない景色に少年はワクワクしていた。

少年が小川の近くの遊歩道を歩いている時のことだった。朝早いこともあり、朝靄に包まれる辺りは5メートル先のものでもぼやけて見え、足元が濡れて滑りやすかったので少年もゆっくり慎重に歩いていた。

道の半ほどまでやってきたところだった。

道の正面から何かが少年の元へ近づいてきていたのがわかった。えもいえない恐怖心に襲われた少年は足がすくみ、その場から逃げ出せずにいた。

その何かは少年よりもはるかに大きく、鋭い眼光は少年を見下ろしていた。あまりの恐怖に震える少年の前に瓶が差し出される。

中には白い液体が入っており、瓶のラベルには「搾りたて」と書いてあり、牛乳であることが窺えた。そこで少年は牛乳瓶の噂を思い出した。明らかに怪しいが、噂の内容を確かめたい気持ちもある。何より、目の前に差し出された牛乳瓶がとても魅力的に見えた。

恐る恐る牛乳瓶を受け取り、口に含む。

若干トロっとしたミルクは果物のように甘く、それでいてくどさのないスッキリとした甘さでどこか懐かしさを覚える、脳の記憶に響くうまさだった。

あっという間に飲み干すと、そこに先ほどの人物はいなかった。朝靄もはれ、朝日を反射し輝く小川に沿う遊歩道には空き瓶を持った少年だけが残された。


100%島中央カジュータウンにある城には、誰も入ることの許されない城主の秘密の部屋があった。その部屋からは時折液体を注ぐような音や女の嬌声が聞こえてくるという噂もあったが、兵士たちの会話のネタ程度にしかなっていなかった。

夜、部屋の中で女が身を震わせ悶えていた。

女はこの城の城主であり、あらゆるものを「絞る」能力を持っていた。

女は自らの手を乳房にあてがうと乳牛の搾乳のように乳首を扱き、桶に自らの乳を貯めていく。

彼女は自身の能力によって母乳を絞り出すことに強い快楽を覚え、その域は自慰行為にまで達していた。強く乳首をつねるたびに彼女は深い絶頂へと至り、そのたびに母乳の噴出量は増えていた。

ネロネロと仄かな粘性を持った母乳が桶いっぱいにたまると、それを瓶に詰めていく。

ラベルを貼り終えると、外はもう朝日が登っていた。

母乳を詰めた瓶をカゴに入れると、城の外へと出かける。朝靄に消ゆく影は何とも救えない哀れな性に濡れた女であった。




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