無題
スレッタはいっぱい餌をもらってすくすくと育ちました。体は成体へ成長しましたが、中身はまだ甘えん坊です。今でも餌をねだって貰っています。
ファラクトであればそろそろ巣立つ頃合いですが、スレッタはエアリアルなので飛び立つことが出来ません。ファラクトたちも巣立たないスレッタを受け入れているので今の生活が続いています。
このままずっと子どものように過ごすのかと思いきや、そうでもないようです。ファラクトたちがエアリアルを囲んで何やら話しかけています。スレッタに何かアピールをしているようです。
迷っている様子のスレッタですが、5号種の方に歩み寄りました。喜ぶ5号種とは対照的に4号種は無表情です。原種は気にしていないように見えます。
そしてスレッタは5号種と連れ立って巣の奥に消えていきました。
奥は個室のようになっているところがあり、内部の音が外に漏れないようになっています。5号種は備え付けてある寝台にスレッタを横たわらせました。それからスレッタの股間の装甲を外しました。
装甲の下から内側にねじが切られた雌ねじが露出しました。5号種は雌ねじの内径の寸法を調べているようです。スレッタは何をしているのか分かっていない様子でキョトンとしています。
メカぐるみの交尾はメス型の雌ねじにオス型の雄ねじをねじ込んで、オス型がメス型の内部に生体情報を封入した情報共有元素を放出することで行います。生体情報は腹部のコアに内包されていて、生殖の際はコアの生体情報をコピーします。
放出された情報共有元素はメス型の胎内の生体情報を収めた胚と結びついて新しいコアを形成します。発生したコアは胎内で骨格や外皮を形成し、幼体に成長してから誕生します。
ちなみに基本的に有性生殖を行いますが単為生殖も可能です。単為生殖の場合はコアを複製することで新しい個体を発生させます。複製コアを土中に埋めると、周囲の金属元素を取り込んで幼体へと成長します。複製の際にエラー、もしくは人為的に手を加えることで亜種が生まれることがあります。
話を戻して、交尾の際は雌ねじと雄ねじのサイズが合っていないと成り立ちません。雌ねじは個体毎にサイズが異なるので、オス型が雄ねじをサイズの合ったものに換装して対応しています。
どうやら換装の必要はなくサイズが合うようです。しかし穴の中は乾いていて、このままではねじ込めそうにありません。通常であれば興奮に伴って内部から潤滑油が分泌されますが、行為の意味も分かっていなさそうなスレッタには無茶な話です。
5号種がスレッタに何か話しかけながらブレードアンテナを触り出しました。最初は何かよく分かっていないスレッタも触られる内に反応が変わっていき、交尾の準備が整っていきます。ある程度のところで手を止めた5号種は自身の雄ねじを露出させました。
ブレードアンテナのように勃ち上がった雄ねじを雌ねじにあてがって、そっと先端をねじ込みました。スレッタの反応を見ながらじっくりと進めていた5号種は、雄ねじのほとんどをねじ込んでしばらくしてから情報共有元素を放出しました。
スレッタは初めての交尾に疲れて眠ってしまったようです。
群れに帰ることは叶わなかったけれど、新たな群れは作れそうですね。これにて観察は終了となります。
~特別意訳~
これはメカぐるみ視点で進む話です。
今日は大切な話があるとスレッタはファラクトたちに言われ、今話が始まろうとしている。
「スレッタにはこれからやってもらいたいことがあるんだ」
「やってもらいたいこと?」
5号が話を切り出した。やってもらいたいこと、と言ってもスレッタに出来ることは限られているように思えて、疑問符が浮かんでしまう。
「ああ、スレッタにしか出来ない大切なことだ」
「私にしか出来ないこと……」
オリジナルの言葉をつい反芻してしまう。スレッタにとって自分にしか出来ないことなど今までほとんど無かったので、内容が何であれ期待に応えたいという気持ちが膨らんでいく。
「スレッタと僕たちですることだけど、慣れないうちは一対一じゃないと無理だと思うから誰か一人選んで欲しい」
「そ、そうなんですか」
4号の言葉によく分からないけれど頷いた。一体何をさせられるのだろう……
「僕にしておきなよ。優しく教えるよ♪」
「僕だったら嬉しい……」
「ものを教えるなら俺が一番上手いぞ」
みんな口々に自分を選んで欲しいとアピールしてくる。スレッタはよく分からないなりに迷って、5号の方に歩み寄った。やっぱり最初に助けてくれて、その後もずっと優しくしてくれたから、大切なことも安心して出来ると思った。
「やった!嬉しいなぁ、一緒に頑張ろうね♡」
感極まった5号が抱きついてくる。そのまま抱き上げられて、頬に軽く口づけられた。スレッタもお返しにチュッと可愛らしい口づけをした。
「やっぱ第一印象って重要だよな……」
我が世の春が来たとばかりに喜んでいる5号と対照的にオリジナルは何でもないように装っている。装っているだけなので、言葉の端々に後悔が滲んでいる。主に巣に引き籠っていた自分に対して。
「分かっていたことだ……」
4号は無表情でぽつりと呟いて、ふわふわと浮ついた雰囲気の5号から目を逸らした。
「じゃあ、早く行こうか♪」
スレッタが暗い雰囲気のオリジナルと4号に意識を向ける前に、5号はスレッタを抱きあげたまま巣の奥に向かっていった。
「あれ?こんなところありました?」
「最近、増築したんだよ」
スレッタの疑問に5号が答える。巣の奥にはスレッタの知らない個室があった。ちなみにここまで抱っこされたまま移動していたが、今でもたまに抱っこされることがあるのでスレッタはさしておかしいと思っていない。
部屋に一つだけのベッドにスレッタを横たわらせた5号は、スレッタの股間の装甲をカチャカチャと弄り外した。
「……?なんだかスース―します」
今まで股間の装甲を外したことが無いので、外気に晒された感覚に違和感があった。感じたのは違和感だけで、5号が何をやっているのかよく分からず、ぽやっと眺めるばかりだ。
「ごめんね。でも、すぐに温かくなるから我慢して」
「はい……」
言っている間にも5号はスレッタの股間を凝視して何かを調べている。恥ずかしさはないが、何をしているのか気になったスレッタは質問してみた。
「あの、さっきから何をしてるんですか?」
「んー?君ととっても気持ちイイことをする準備だよ」
気持ちイイことをすると聞いて、少し感じていた不安も吹き飛んでしまった。
「しかも君と僕がもっと仲良しになれることなんだ」
仲良しになれると聞いて、俄然興味が湧いてきたスレッタはふにゃりと、この場に似つかわしくない幼い表情で笑った。
「何だか分からないけど、楽しみです」
「そっか♪ふふ……僕も楽しみだよ。」
ふにゃふにゃと笑うスレッタに対して5号は普段とは違う妖しい笑みを浮かべた。
「サイズはピッタリだけど……ちゃんと濡らさないといけないね……」
「?」
またもスレッタはよく分からずに、首を傾げた。ぼんやりしていると突然額のV字型になっているブレードアンテナに触れられた。
「ひゃうっ!」
突然のことでびっくりして変な声を上げてしまったスレッタは、顔を赤くして口元を押さえた。
5号はそんなスレッタを見て、薄い笑みを浮かべながらブレードアンテナを触り続けている。
「どう?何か感じる?」
「分かんないです……」
少しむずがゆい気がするくらいで、特に何とも無いため素直に答えた。スレッタの返答を聞いた5号は、ブレードアンテナの触り方に変化をつけた。
同じ力加減で触っていたのを、触れるか触れないかの絶妙な加減でツーっとなぞったり、急にきゅっと力を込めて握ったり、明らかにスレッタから何かを引き出そうとする動きになった。
「どうかな?」
ブレードアンテナを優しく指でなぞりながら5号が再び質問してくる。
「なんだか、お腹とお股が変な感じです……あと声も出そうかも……」
「それは変じゃなくて気持ちいいんだよ。声も我慢しないで出していいからね」
変な感覚は気持ちイイと聞いてスレッタは腹部と股間に意識を集中させてみた。するとさっきよりブレードアンテナに触れられる感触と、腹部と股間のむずがゆさを強く感じた。
「ん……♡気持ちイイ?です」
これが気持ちイイのか確信が持てなかったスレッタだが、声に出してみると気持ちイイのだとはっきりと感じられた気がした。何故か股間からとろりと何かが漏れ出た感覚がする。
「しっかり濡れてきているね……」
「あ……♡わ、私、壊れちゃったんですか?」
5号がスレッタの股間を指先でなぞって嬉しそうに呟いた。スレッタは股間をなぞられた感触にも気持ちよさを感じたものの、濡れていると言われて故障しているのかと不安になってしまった。
「至って正常だから心配しないで?君がちゃんと気持ちよくなって、交尾の準備が出来た証なんだ」
故障しているわけではないと分かって安心したが、スレッタは新しい疑問が増えてしまった。
「こーび?ってなんですか?」
スレッタは交尾のことを何一つ知らなかった。これまで一切教えられずに育ってきたからだ。
「交尾はね、とっても気持ちよくなれてもっと仲良くなれる行為のことだよ♡」
「それって最初に言ってた……」
「やってみたい?」
「はい、やりたいです」
スレッタが興味を持ったものの正体を知っても気持ちは変わらなかった。まあ、名称だけ分かっても中身は全く分かっていないのだが……
「これから僕の雄ねじを君の雌穴に挿れるけど、痛いと思ったらすぐに言ってね」
「は、はい。分かりました」
いつの間にか股間の装甲を取り払っていた5号は自身の雄ねじを露出させている。ビームライフルに螺旋状にねじが切られている感じの形状で、装甲と同じように黒光りするそれをスレッタは物珍し気に見つめる。交尾のことを知らないスレッタは、雄ねじを見るのも当然初めてだった。
そして雌穴と言われてスレッタ自身の股間を見ると、中央あたりにぽっかりと穴が開いている。自分でも見たことのないそこは、潤滑油でも出ているのかてらてらと生々しく光っている。
「ん……っ」
雄ねじを雌穴にあてがわれて先端が入り込むと、かちりと噛み合った感触がした。様子を見るように浅いところをゆるゆると抜き差しされる。
「痛くない?」
「えっと……大丈夫です」
ここに何かを受け入れるのは初めてなだけに異物感はあるものの、痛みは特になかった。
「よかった。じゃあ奥まで挿れるね……」
そう言ってから5号はグッと身を寄せて雄軸をねじ込み始める。体勢が変わった弾みで腰部の装甲がぶつかり合って、カンッと軽い音が響いた。
雄軸が根本からくるくると回り雌穴を進んでいき、こつんとぶつかって止まった。
「全部入ったよ♡」
隙間なく密着した状態で悦びを湛えた声で告げられる。ねじが締まり完全に繋がった状態で、スレッタは一つの存在になった錯覚を覚えた。それは欠けたものや寂しさを埋めて、何となく満たされた気持ちになる。
充足感で感じ入っていると、するすると雄軸が抜け出していってしまった。
「あ!待って!抜いちゃいやです!」
途端に喪失感が湧き出して必死に5号を引き留めようとしてしまう。
「すぐ帰ってくるから、安心して」
5号が安心させるようにふわりと微笑んで、限界まで雄軸を抜いた。軸先がかろうじて入り込んでいるだけの状態から、再び胎内へとねじ込んでいく。
ねじを締めて緩めてを何度か繰り返していると、スレッタの反応が変わってきた。
「あっ♡あえ……?なん、で、気持ちイイ……っ♡やぁ♡おかしい、です」
「なんにもおかしくないよ。噛み合って、擦れあって、気持ちいいでしょ?」
言われて更に意識してしまう。ねじ山と谷がかちりと噛み合い、奥にねじ込まれたり抜かれるたびに擦れあって快感を生み出す。
「あ♡あっ♡なん、か、へんなの、きちゃ……っ♡♡あ、んっ~~~♡♡♡」
気持ちよさが限界まで高まって何だか頭がふわふわとしてしまう。スレッタにとって感じたことのない未知の感覚だ。
「上手にイケたね……」
「いく……?」
スレッタを優しい目で見つめる5号に、回らない思考回路のまま舌足らずな声で質問した。
「スレッタが交尾でちゃんと気持ちよくなれたってことだよ♡」
「そ、そうなんですね……よかったです……んぅっ♡」
また雄軸が抜け出ていき、もう終わりなのかな?とスレッタは油断していた。そんなことはなく限界まで引き抜かれたら雄ねじが再びねじ込まれる。穿つような勢いの雄ねじは大量に溢れ出た潤滑油の力も借りて、ガッチリと最奥まではまり込んだ。
「やぁっ♡♡それ、らめぇ♡ぬいてぇ……っ♡また、きちゃ……♡あ♡んっ♡ああぁ♡♡」
イった後の余韻が抜けきらないスレッタの身体はとても敏感になっていて、雄軸が雌穴のねじ山を滑る感覚に甘くイってしまった。
「……っ、僕もそろそろ出そうだ」
「あんっ♡ふぇ……?でる?なん、れすか?」
何が出るのか、バカになっている思考回路では全く分からなかった。5号はスレッタの胎をそっと撫でながら、幼児にするようにゆっくりと説明する。やっていることと釣り合わない雰囲気だ。
「赤ちゃんを作る素が出るんだよ。君のナカで出したら君の赤ちゃんを作る素と一緒になって、赤ちゃんが出来るんだ」
「赤ちゃん……」
スレッタは実際に赤ちゃんを見たことがないため想像がつかなかった。ただ恍惚とした表情の5号を見ているしかない。
「ナカに出したいなぁ♡いい?」
「えっと……」
説明を聞いてもスレッタには想像がつかなくて、よく分からないままだった。でも、瞳を揺らして懇願してくる5号を見て、受け入れてもいいという気持ちに傾いた。
「あ、あの……出しても、いいですよ?」
「——!ああ、やっとだ。長かったな……」
感慨深げに呟いた5号は無意識にか、深く繋がったままの腰を擦り付けるようにゆるゆると動かした。
「ひゃっ♡んぁ♡あうっ♡あ♡あぁ♡あんっ♡♡」
かちりと噛み合った雄ねじと雌ねじが内側で擦れあい快感を生む。それだけでスレッタの口から喘ぎ声が飛び出してしまう。恥ずかしいから抑えないと、という考えは吹き飛んでいた。
「くっ……出すよ!受け止めて♡」
「……っ♡♡あっ♡んっ♡ふあぁ♡♡……っ~~~~♡♡♡♡」
深く繋がっているからもう逃げられないのに、それでも逃がさないようにスレッタは固く抱き締められる。抱き締められる感覚だけでも甘く感じ入って、胎内に何かが広がる感覚に二度目の絶頂を極めた。
「あ……♡んぅ……♡……」
初めての交尾の余韻を感じながら、スレッタの意識は眠りへ落ちていった。
すーすーと穏やかな寝息をたてるスレッタは安らかな顔で、さっきまで淫らな交わりをしていたとは思えない。
「僕らといっぱい交尾して、新しい群れを作ろうね……♡」
雄ねじを雌穴から抜いた5号はすやすやと眠るスレッタの横に潜り込んで、そっと声をかけた。
スレッタにしか出来ないお仕事はまだまだ続きそうだ。