無題

無題














※謎時空ご都合主義

※クール系年上受が可愛い系年下攻に翻弄されるの大好き協会会員














抱きたいと言われ、そうか分かったと二つ返事で承諾したのだから受け手になる事が嫌な訳では無い。抱いた事も抱かれたこともある。相手の意向に沿えるならばそれで良かった。

経験が無さそうな、いや無いだろう。その相手に手取り足取り教えてやろう。そう思っていたらこれだ。キスが下手な癖にどういう事だ、経験があるなら言え。



思考がまとまらず、脳がぐずぐずになって溶け出してしまいそうで枕を掴む手に力が入る。腹の中を擦られる度に上がりそうになる嬌声を枕を噛んで耐える。翻弄されてばかりなのは普段からだが、ベットの上でもそうなるとは予想外だった。此方はかれこれ数回は達しているのに、相手は一度達したきりで余裕を見せつけて攻め立ててくる。お蔭で枕も顔も下腹部も酷い有様だ。この分ではシーツも同じ様な有様だろう。

こつりこつりと確かめる様に奥を突かれ、視界が明滅し始めてゾワゾワと全身が泡立つ。不味い、と思った瞬間にピタリと律動が止まった。


「なあ…」

奥まで、挿れてもいいか?

許可を得ようとこてんと首を傾げて可愛らしく聞いてくるが、やろうとしている事は全く可愛く無い。そこに挿れられたら何かが終わる事だけは分かるが、ふわふわとした思考では明確な理由も拒否も何時もの様に浮かんでは来ない。

腰を掴んでいた右手が腹の上を這う。臍の下、彼の言う"奥"の辺りで指先が止まった。とん、と皮膚の上からの軽い刺激だけで声が漏れそうになる。

「なあ、ワラ男」

とんとん、とまた指先が奥を刺激した。児戯にも等しい行為ではあるが、酷く感じてしまって仕様がない。寸止めされていた熱が解放されたいと渦を巻き始めている。駄目だと僅かに残った理性が叫ぶが、熱に浮かされた身体は快楽を欲して頷いてしまった。



奥まで挿れられた後の事はあまり覚えていない。少し余裕がなくなった顔と、腰を掴む手の熱さだけは断片的に覚えている。与えられる快楽に負けて、もっとと強請ったのは何かの記憶違いだと思いたい。余裕もなく縋り付いて強請ったのが本当だとしたら、年上の矜持が粉々に砕け散ってしまうからだ。

キスは及第点にもならないが、教え込んだら最後だと思う。あっという間に上達し、またもこちらを容易く翻弄するのだろう。可愛くも恐ろしい。あとは手加減というものを覚えて欲しいが、きっとそれだけは最後まで覚えてくれなさそうだ。




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