自嘲
看護師さんに少し怒られてから病室に戻る。出た時より綺麗になった布団に腰掛けて空を見れば沢山の星が輝いていた。
幼い頃、死んだ人は星になると言われていたしそれを純粋に信じていたっけ。
「死…か」
よくドーナツをあげていたサソリちゃんに、何度か一緒に戦ったエネミー使いさん、関わったことはなかったけれど仲間たちの社長さん
それだけではない、沢山の人が死んだというのに涙の一滴も出なかった。
心を握りしめられるような感覚の後、「ああ、これはもう助からない」と悟ってまた攻撃を続ける、死がどれだけ動揺と悲哀を起こすのか知っているからその対策をする
いくら死を無駄にしたくないからとはいえもう少しやりようはなかったのか、なんて思う。
「…………」
悲しいよ?だけど、幼い頃に感じた衝撃も、エネミーに対する怒りも、涙も感じることはできなかった。
「……慣れちゃったなあ」
それは普通に生きていたら感じることはないであろうものであり、普通から外れてしまっても感じてはいけないもののはずなのに。……残当か。
仲間を喪った人が怒りや絶望、悲しみを技に昇華することはままあるし、今日だってそういう人たちは確かにいた。
それなのに私が開いた結界は何も変わらずに、いつも通りの暗闇と鳥籠を広がっていた。強いて言うなら夜空がより黒くなったくらいだろうか。それも気のせい?
この先ずっとそうなんだろう。ただ、その死を受け止めて抱えて、忘れないように生きていくことだけしかできないんだ。
「…薄情だね」
慣れ:97