炬燵より心地の良い温もり
最近めっきり寒くなって来たから、押し入れから炬燵セットを出してリビングに設置した。
中に入り、スイッチを入れればじんわり暖かくなってきて外に出たくなくなる。
「でも晩飯の準備しなきゃなー…今日は鍋にすっか」
なに鍋にしようか考えて、足りない食材を買いに名残惜しく炬燵から出て、寒空の下スーパーへと向かった。
〜〜〜⏰〜〜〜
「ただいまー…あ!炬燵!」
仕事から帰って来た旦那が真っ先に反応した。
「今夜は鍋だぞ!炬燵で食おうぜ!」
「いいね〜日本の冬って感じで!」
旦那は部屋着に着替えて、ガスコンロや食器を炬燵に置いてくれた。
あたしは土鍋に具材を入れて、旦那が直ぐに食べれるよう台所のコンロで事前に温めていたから、炬燵の準備が出来たところで土鍋をリビングに運び、ガスコンロの上に置いた。
「トマト鍋かぁ!」
「実家から送られて来たトマトと、ベランダで採れたミニトマトを使ってるぜ、あとは白菜に、ブロッコリーに、海老とイカとアサリを入れてる、シメはチーズと米を入れてリゾットにする予定だ!」
「はああ聞いてるだけで美味そう!早く食べよう!」
「ああ!そんじゃあいただきまーす!」
それからあたしと旦那は談笑しつつ鍋をつついて、シメまでしっかり平らげて、今は炬燵でのんびりしている。
みかんを食べながらテレビを見ていたが、旦那の方に目をやると、少しウトウトしていた。
「おーい、寝るなら風呂入ってベッドで寝ろよー」
「うん…すぐ入るよ……」
こりゃ今すぐにでも寝そうだな、引き摺り出して風呂場に放り投げるか?
……いや、ちょっとイタズラするか。
あたしは炬燵の中に潜り込み、旦那の方まで這いずって行き、外へ飛び出した。
「ばあ!!」
「うおぉお!?」
旦那はビックリして後ろに倒れ、あたしは旦那の上に覆い被さった。
「あっははは!目ぇ覚めたかよ?」
「お…おかげさまで……」
「そりゃよかっ……た………」
旦那と目が合う。
今の状況、あたしが旦那を押し倒してるみたいで、なんだかドキドキしてきて、キスしたくなってきた。
「……エース……」
旦那も同じようで、あたしの頬を撫でて、その手で後頭部に移動させる。
あたしは抵抗せず目を閉じて、旦那の手によって引き寄せられて、キスをした。
ピロリン♪
〈お風呂が沸きました〉
「……」
風呂が沸いた事を知らせる音声ガイドが聞こえたが、あたしは旦那から離れられないでいた。
「……久しぶりに、一緒に入ろうか」
「!………うん…」
あたしが頷くと、旦那はあたしを抱えたまま風呂場に移動する。
その間…風呂に入ってからも、風呂から出てベッドに移動してからもあたしは、旦那の温もりを手放したくなくて、ずっと旦那に抱き付いていた。
終わり