灯台でスターメモリーを 前

灯台でスターメモリーを 前

  

 学園、ボタンの部屋にて。いよいよ明日はハルトの実家にお邪魔する日である。ボタンは悩んでいた。一応、一応ハルトと自分とは、恋人どうしである。手も繋いだし、放課後デートもした、寮とはいえお互いの部屋を行き来もしている。これ以上は書かなくてもいいだろう。な?(プレッシャー)不本意ながらスター団メンバーにも、エリアゼロ突入メンバーにも、なんならクラスメイトにもバレている。もはや公然の秘密だ。


 だがボタンは悩んでいた。あの時の告白があまりにも勢いがつきすぎて記憶が正直朧気でちゃんと返事をしていない気がするのだ。自分が彼を好きということは間違いない。ただなあなあの雰囲気のまま一緒に居る気がするのだ。そして今回の件。ハルトの実家にお邪魔するということは自分をハルトのお母さんに知ってもらうことになる。(ハルトには母親しかいないのは教えてもらっている)


 宝物を護るために必要なことだったとはいえ、自分は前科持ちだ。ハッキングを駆使したLPの不正発行。それにハルトを巻き込んでしまっている上LPをエサに彼を利用していたのだ。彼やオモダカが許したとはいえ過去は消えない。スネに傷持つ自分がハルトのお母さんにどんな顔をして会えばいいのか。隠す? 出来るわけがない。大事な人の大事な人に、隠し事なんてしたくない。


 いくら考えても答えが出ない、そんな悶々としたことを考えながら気が付けば朝だった。



「おはよ、ボタン。大丈夫?」

「ん、ダイジョブ……」


 やってしまった。布団に入ってからも眠れず、ボタンの目の下にはクマができている。若干フラつきながらハルトについていく。ハルトが手配してくれたイキリンコタクシーに乗り込んで、不安を抱えながらもいざハルトの実家へ出発した


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出発から数分。上空イキリンコタクシー。ドライバーのおっちゃんが腕時計を見ながらハルト達に話かける


「ボクちゃんたち、後30分もしないうちに着くぜ!」

「おじさん、ちょっと声……」

「おっと、こりゃ失礼……っと」


 ハルトが隣にいることで安心したのだろうか、ハルトの肩に頭を預けて眠るボタンがいた。


ハルトのお宅訪問まで、あと数十分……

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