漫遊の生
商品開発部ペルディクス日本の葬儀というものは何とも無常なもので、殆どの、1000に居たら19人を除いた全員が焼かれている。
勿論実際は土葬よりも費用が安い、感染症の対策にもなると言った現実的なものだろうが、日本が仏教の国であることも関わっているのだろう。
帰ってくることを望むのではなく、次なる生に送り出す。
そういうものなのではないか。
あのサソリの子も、エネミーを使っても惜しい。土に埋めて終わりの日に再会を願うのも悪くはない。
……だが、彼は天へと旅立たせた。
納得するのにいっぱいいっぱいだったから、そこまで深く考えてはないのだろう。
けれども私には自分達に拘束したくはないなどの理由があるのではないかと、そう思っていた。
店から出て、街を歩く。
喧騒のない街は、さみしい。暗い気分のまま半刻ほど漫遊した後一つの石像の前に逢着した。
「大いなる戦士、天へと旅立つ……ね」
石像を壊さぬように慎重に、戦果を讃えるように優しく撫でる。それが他人である私にできる最大の供養だから。
勇者へと祈りを捧げた後、一夜丸々かけて巡礼を行った。一人一人、見て回った。
私がこうなった時、誰かこうしてくれる人はいるのだろうか。それが不安で仕方がなかった。
長生きな人は1人心当たりがあるが、彼は泣き虫な上にあくまでお客様でしかない。
まあ地獄には先生もいる、寂しくはないだろう。
人生数回使っても到底語りきれないほどのお土産話を用意してなお退屈だろうが、少なくともお土産話がないよりは幾分マシだろう。
「もう少し、漫遊して過ごすのも悪くないわね、先生。
……心配なのは分かるけど、もう夢にも来なくて良いから」
今夜は私の人生で3回目の辛いことがあった、それでも……今夜は今までで1番よく眠れたと自信をもって言える。
死後のことは今は考えなくても良いだろう、これから灰の一つまで取り合われて、それ一つ一つに塔を建てられるくらいの大発明家になる……はずだから。