温泉旅行3-1
774-1頭を触られているのを感じる。
確か、モルガンに旅館に拉致されたんだっけ......
そんなことを考えている間に、少しずつ目が覚めてきた。
おはよう?
どれくらい寝ていたのか。
さっきまで高いところで白く輝いていた太陽は傾き、周囲は夕日で赤く染まっていた。
「もう少し眠っていても良かったのですが......
起きたのなら、宿に戻りましょうか」
そういって彼女は手に持っていた本を立ち上がった。
こちらも慌てて立ち上がると、モルガンはベッドを消し、手をこちらに向けてきた。
......握れば良いのだろうか?
「よろしい。
では、行きましょう」
良かったらしい。
来た道を引き返していくのだが、森の道というものは行きと帰りで、ずいぶん雰囲気が変わるものだ。
もちろん時間帯が変わったのが大きいだろうが、来る時は明るく清々しかったのが、帰る時は薄暗くどこか鬱蒼としている。
モルガンがいるから危険はないとわかっててもどこか不安を煽られ、帰り道は少し足早で進んだ。
そのせいもあり、旅館の前についた時には少し息が荒れ、汗をかいていた。
「丁度いい。
浴場はあちらです」
そういえば、彼女は昼食のときに夕食は風呂のあとと言っていた。
このまま風呂に入って、その後夕食を食べようという事なのだろうか。
......家族風呂がある部屋を選んでいたから、無理矢理にでもそっちに入れようとするかもしれないなんて考えていたのが、少し申し訳なくなる。
ありがとう。
上がったら遊戯室で待ってれば良いかな?
そんな決め事をしてから、男女に別れて暖簾をくぐった。
脱衣所は、棚に籠が置いてあるタイプ。
洗面台にはコンセントに繋がったドライヤーが数台と、アメニティグッズがいくつか置いてあった。
その隣に、フリーサイズだと思われる浴衣が山積みになっていた。
来ていた服を脱いで、籠にいれてタオルを持って中に入る。
大浴場は結構広く、1番大きい温泉そのままって感じの熱めの浴槽の他に、ぬる湯の浴槽、サウナと水風呂、露天風呂もあるようだ。
掛け湯をして、大きい湯船に浸かる。
あ゛ー......なんて、気の抜けた声が思わず出る。
こんなスーパー銭湯じみた風呂に入るのはいつぶりだろう。
流石にモルガンよりは早く上がるだろうと思っていたけど、結構長風呂をしてしまうかもしれない。