温泉旅行2-2

温泉旅行2-2

774-1

食事を終えて部屋に戻ると、少しとはいえ散らかしていたのに綺麗に掃除・整頓されていた。

コントローラーも元の位置に収納されているようだ。

しかしそれをやった人物の影も形も見えない。

何者なのだろう。


「さて、散策に行きましょう」


浴衣の上に紺色のストールをかけ、こちらに手を伸ばす彼女の手を取って、共に歩く。

廊下の窓から見える景色は、葉の落ちきった木々の暗灰褐色と雪の白色しか見えない。

さっきは気づかなかったけど、この旅館は結構山の奥にあるようだ。


どこに向かってるの?


建物を出て、来た時とは別の道を迷う事なく進んでいく彼女に、そう尋ねた。

自分にはわからないが、彼女には行こうとしている場所が明確に決まっているのだろう。

そういう動きだ。


「あと少しでわかります」


つまりどういうことなの......?

そう思いながら進んでいると、水の流れる音が聞こえてきた。

近くに川でもあるのだろうか。

そう思いながら坂を登ったり降ったり進んでいくと、音は少しずつ大きくなってきた。

どうやら、川に向かっているらしい。

そんなことを考えている間に、森を抜けた。



そこには断崖絶壁に挟まれた、綺麗な水が流れる河原があった。

人の気配がカケラもない此処は元々喧騒などない静かな場所だったが、この河原は輪をかけて静かだ。

完全に無音というわけではなく、鳥の声や木々のざわめきといった森の音、流れる水の音以外が届かないといえば良いのだろうか。

自然音にはリラックス効果があると聞くが、それはこういうことかと納得できる。

仕事で興奮状態になっていた神経が落ち着いてきたのか、少しうとうととしてきてしまう。


......良いところだね。


「ええ、此処なら休むのには最適でしょう。

 稚拙な物ですが、こういう時には丁度いい」


モルガンが指を鳴らすと、確かエアーベットというのだろうか? プールとか海で使うやつの、少し大きくて頑丈そうなやつが召喚された。


「どうぞこちらへ。

 子守唄でも歌ってあげましょう」


モルガンがその上に座り、膝をポンポンと叩いている。


あの......そこだと頭の位置に陛下の御御足があるのですが......?


「膝枕もしてあげます。

 どうぞ、こちらへ」


どうやら譲る気はこれっぽっちもないようだ。

せっかくだし、ありがたく堪能させてもらうとしよう。

少しでも長く楽しもうと、そう思っていたのだが、思ってたより疲れていたみたいで意識は直ぐに薄れていった。


「おやすみなさい」



次回予告

ようやく眠りについた我が夫。

しかし、それは巧みに計算された敵の罠だった!

レム催眠状態で何処か別の場所にレイシフトさせられてしまった我が夫を追って、戦いは新たなステージへとシフトする……!

次回『我が夫との新婚旅行記』

第3話『リアル地獄温泉巡り』

血の池とは健康に悪そうですね......

え?! 殺菌作用が高くて軟膏にもなってるのですか!?

コレは買いですね、我が夫!



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