温もり

温もり


チュン…チュン…

「うぅ…ん…」

ウタはベッドからモゾモゾと気だるい身体を起こした。

昨夜のことを思い出し横を見るとすやすやと寝顔を晒すルフィがいた。


子供の頃と変わらないじゃん…


ウタはクスッと笑ってルフィの鼻をつついた。その途端罪悪感が湧いて顔が曇る…

お酒が入ってたからなんて言い訳にもならない。子供のような嫉妬心の結果だ。


起きたら彼はどう思うだろう…


軽蔑されるだろうか…


怒るだろうか…


悲しむだろうか…


ネガティブな思考が頭を埋め、ウタはとりあえず顔を洗おうとそばにあったルフィの上着を羽織りベッドから出て洗面所に向かう。

「…イッ⁉︎ー〜ッ⁉︎ー〜ッッッ!!!???」

下腹部のズグンッとする痛みに思わず悶絶しその場にうずくまる。

まるで体の中を抉り取ったような感覚が気持ち悪い。仕事仲間のそういう話は興味本位で聞いたことがあるがなんでみんなこんなことが好きなんだろう?ウタは分からなかった。

「…ううん?…ウタッ⁉︎」

物音に目が覚めたルフィがうずくまるウタを見つけ慌てて駆け寄った。

「…ッ!触らないでッ⁉︎」

ウタは肩を抱こうとしたルフィの手を振り払う。


惨めだった…


夢を叶えられなかった自分と違い夢を叶えた弟分の幼馴染に子供のような嫉妬心を向けた自分が…


酒の力を借りて彼を襲い純潔まで捨てた自分が…


惨めで…悔しくて…


うずくまったままその場で泣き出したウタをルフィは座って抱きしめる。


「ッ⁉︎やめてよ!触れないで!こんな汚い女…」

「汚くねぇ!ほっとける訳ないだろ!」

抵抗するウタをルフィは拒否し抱きしめ続け独白した。


12年前突然いなくなった幼馴染。寂しくて…悲しくて…本当は死んだんだと思ったことすらあったことを。


そして再開できた彼女ともう離れたくないことを。


「頼む…もう俺の前からいなくならないでくれ…」


ウタを抱きしめる腕の力が強まる。

「ルフィ…」

ウタはただこの温もりの心地よさに身を委ねるしかなかった。


二人はここから先の幸せを一生忘れないだろう。


あの短くも幸せだった日々を



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