深掘れ⭐︎ワンチャン特別編 導入編

深掘れ⭐︎ワンチャン特別編 導入編


「当番組ではこれまで地上波で放映出来ない様々な深掘り、ギリギリな取材を多数やって来ましたが!今回は特別編!!昨今話題のある芸能人夫婦の仲を深掘りしちゃいましょう!BOW!!」

私、星野ルビーは笑顔でいつもの番組口上に加えて今日の特別編用の一文を加えて明るく元気に言い放つ。

ーーーこの特別編は私達家族の秘密を明らかにしたことに起因する。


私達家族の秘密の公開、このタイミングなら他のどんなスキャンダルやとくダネも吹き飛ぶ内容だから、大事な事務所の仲間…有馬かな先輩を守るためには今するしかなかった。


故にアクアは意図的にマスコミにリークさせた上で出版や報道されるタイミングに合わせてこちらから記者会見を行う、

という戦略の一連の流れを事前に私達家族に相談してくれたことで許可と了承があっさり両親から降りた。

二人は「「ようやく大手を振って家族として振る舞うことが出来る日が来た」」と喜んでいたから私は何も言えなかった。

ただこれからのことや今まで積み上げてきたキャリアのこととか気にならないのか?と聞いても二人は

「「家族で過ごせるのなら僕/私は何だって良い」」と言ってのけた。

…ただ事務所で働くみんなに飛び火しないように行うことや内容が内容なので即社長達に相談を行うこととなった。


事務所にて家族全員で社長夫妻に謝罪し、この件に関しての許可と協力を求めたところ、

「ま、言わば息子と娘の結婚発表をようやく親として出来る訳だ!

まかせろよ。おまえ達夫婦の父親でアクア達の爺さんとして頑張るからよ!」

「事前に相談してくれたから不問に処します。

…会社の副社長としては怒るべきところでしょうけど、会社の仲間を守るためでしょう?難しいところね。

私個人としては他のみんなのフォローや案件の白紙を防ぐために死ぬほど忙しくなるし大変だから後で恩返し、期待してるわよ?」

壱護さんは気にするなと笑い飛ばし、ミヤコさんは苦笑しながらも任せなさい、と許可を出してくれた。

…大変なことになるのに二人は力を貸してくれる、と言ってくれたこと、祝福してくれたことに私達全員泣くしかなかった。


そして、こうした経緯を受けて、水面下で行われる社長夫妻の裏工作、アクアのリークと同時に事務所からの発表と後日記者会見を行う通知を世間に公表した。

結果、予想通りではあったけど、もう凄いことになった。

炎上、なんてモノじゃ無い。爆発大炎上レベルだ。賛否両論、アンチとファンの大戦争。

だがそんな状況で意外に賛成内容が多かったのは幸運だった。

パパがきちんとママと籍を入れて私達兄妹を育てていたこと、

私達兄妹の学校行事に参加していたことの情報リーク(私とお兄ちゃんが匿名で写真付きで行った)などから親としてきちんとしているのなら…という声があったことだ。

元々度々TVのドッキリやyoutubeの公式投稿でママと仲良くしている様子は映っていたこともあったので、ある種の答え合わせとなっていた所もあったからだろう。

それでもママもパパも容姿が良く、目立つのでそれだけでもアンチや無駄に悪し様に言う輩はいる。それに加えて

「未成年で性交渉し子どもを作り出産していた」

「アイドルなのに黙って男を作っていた」は当時のファンやスポンサーへの裏切りだ、という声も当然出てきた。

その状況は予測出来ていたので私達家族は記者会見の日まで活動休止を発表し事態の推移を見守った。

と言ってもたった1週間程度だけど。

そして当日。

私達家族と社長夫妻で記者会見を開いて既に入籍していたこと、公表に踏み切った理由、全て話尽くした。

極論を言えば「若い二人が過ちを犯したが、若いなりに向き合って周りの理解と協力で家族生活を営み続けていた」

という点に関してはスポンサーや社会と言った周りに迷惑をかけるようなことが無かったから文句の言い様が無い。

燃える要素は無いし、瑕疵は無いから拳を降ろすしか無い。

だが「何故黙っていたのか」については社長が矢面に立ち、

「まだ若い二人が好奇の目に晒されるのを防ぎたかった。」

「子どもを産みたい、という願いを血は繋がっていないが娘の父親として叶えてやりたかった。」

「アイドル活動の継続も子どもたちを除く、この場にいる四人で決めた」 

「当時のファンの皆様への不義理は全て私、斉藤壱護の独断によるもの。彼ら家族四人と妻は何も悪くない」と言い切ってくれた。

色々不躾で腹立たしい質問もあったが答えることは全て答えて私達は後にした。

後は社長達の裏工作のおかげで大口のスポンサーや関係者とのパイプは生きたまま、何とか事務所への被害を抑えることが出来た。

……社長はただの壱護さんになってしまったけど。

まあ先輩が珍しく凄いしおらしく謝って来たので私からはデコピン一つ、で許した。

迂闊なのは先輩の落ち度だけど、散々みんなに謝っていたしみんなが望んで決めて動いた結果だからもう良いよ、な意味で。

壱護さんも

「謝るぐらいならアイを超えるぐらい稼ぐなら許してやるよ。

それにこれは『有馬かな』という女優に対しての投資の一つだ。投資対象を守るのは株主として当然だろ」

とあっさり言ってのけて格好良かった。

ママが

「有馬ちゃん、社長…いや元社長か。

元社長は若くて可愛い子好きなだけだから言葉を正直に受け過ぎないようにね?多分3割ぐらいだから」


てふざけるまでだけど。


「ちげーよ!バカ娘!!9割は本気だわ!」

いつものようにママに返す壱護さん。

バカ女優

から

バカ娘

になっていて、ママは思わず固まってしまっている。

そしてパパとミヤコさんが続いた。

「え、義父さん。1割は⁈」

「壱護?」

「冗談だからな⁉︎ミヤコ、落ちつけ!あとヒカル!!……今、なんて…?」

次は壱護さんが固まる番だった。

パパは柔らかく微笑み、ママと並ぶ。

「義父さん、と。今思えばアイと戸籍上親子になっているのでしたらお義父さん、と呼ぶべきだったな、と。

今から呼んでも構いませんか?」

「斉藤さん…ううん、私も呼んで良い…?」

「アイ…間違えずに名前呼べたな…好きにしろよ、二人とも…

ちくしょう、部屋の中なのに雨が降って来やがって…

遅くなったけど、結婚おめでとうな!ヒカル、アイ!」

これから色々大変なのに穏やかな雰囲気でその日は終わった。


だが色々な意味で炎上中なのには変わりない。

ママはしばらく(目安は3ヶ月)休職。

パパも同じく表向きは役者としては休職。

マネージャーの仕事もしていたから社内でマネジメントしたり、舞台の稽古等には参加していた。

私達兄妹は直近放送予定な地上波の番組関係の仕事が減るもゼロでは無いし、深夜帯放映のバラエティやトーク番組、

ネット配信系の番組やドラマは変わらずあったのでトークを活かせる場所や企画があれば炎上を利用して家族の話やエピソードを話して鎮火を図っていたが一気に、とは行かない。

そこで私は思いついた。

ーーーーこの炎上を利用して私達家族を一般に知らしめるような番組の企画、書いて出して見よう、と。


私自身リポーターとして出ている「ここ掘れ⭐︎ワンチャン」には変わらず、アクアと私は出続けていたので利用することにした。

お兄ちゃんには悪いけど素の反応が見たいからあえて黙っておいてママとパパの許可を得た上で企画書の叩き台を作った。

精度を上げた戦略を考えるためにミヤコさん達に相談し、その後番組pの鏑木さんに提出。

そして無事OKが出た。

後は私達家族の有り様を見せて炎上の鎮火を図るだけ。

私達家族のための番組が始まった。

※何も知らないアクアマリンくん含む。

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