海兵と歌姫と歌う骸骨 part11 後編

海兵と歌姫と歌う骸骨 part11 後編


帰ってきた答えに、ウタは絶句した。

シャンクスがロジャー海賊団の船員だったとは予想していた、だが…シャンクスはロジャー達の義理の息子であったのだ…かつての自分と同じように。


「おっさんたちが、シャンクスの親だって!?」

「ああ、赤ん坊だったシャンクスを拾ってね。海賊団の皆で育てたんだ。一人前の男に成長するとそのまま我々の仲間に加わった。」


遠い目をしながら懐かしむような口調で語るレイリー。

憧れの海賊が、海賊王の仲間であった事実にルフィは心底驚く。しかし…


「…なによ、それ。」


全員が驚く中、発せられたウタの言葉は…ゾッとするほど冷たかった。


「つまりこういうこと?あの男は、自分も拾われっ子のくせに…私を捨てたってこと?…自分は一人前になるまで育ててもらったっていうのに…。」

「…ウタ。」


言葉を発せられるごとに、ウタの顔から表情が消えていく。

そんな彼女の様子を、ハンコックは心配げに見つめた後で、ルフィの方をチラリと横目に見た。

今の恋敵を慰められるのは、この愛しい男以外ありえないと思っていたからだ。

しかしルフィはウタの方に向かずに、レイリーに話の先を促した…今最も重要なことを確認するために。


「それでおっさん。なんで俺たちに会いに来たんだ。」

「…シャンクス本人に頼まれたんだ。君たちを助けてくれ、とな。」


聞いてきたルフィではなく、ウタに向かって語り掛けるレイリー。

しかしウタは何の反応も見せなかった。ただただ無表情でレイリーの話を聞いている。


「今から数週間前のことだっただろうか…。傷だらけのシャンクスが私のところにやってきて、土下座で頼み込んできたのだ。」



「自分の娘とその恋人を、どうか助けてくれ…と。」



娘、と言われた部分でウタの肩がビクリと震えた。

恋人の様子を横目で確認しながら、ルフィは更に質問をする。


「シャンクス本人が来ないのはなんでだ?」

「今シャンクスが"四皇"と言われる大海賊になっているのは知っているかね?」

「ああ、知ってる。」


"四皇"…偉大なる航路後半、"新世界"で皇帝の如く君臨する大海賊たちの総称である。

世界政府と対等に渡り合える、驚異的な武力を持った海賊たち…その一人が、シャンクスなのだ。


「シャンクスは今…四皇の内の二人、"ビックマム"と"カイドウ"と刃を交えている。ルフィ君とウタ君、君たちを守るために。」

「シャンクスが!?なんで四皇と戦うのが俺たちの為になるんだ!!?」

「それに関しては君たちの影響力が関係している…。」


まずはルフィ君、とレイリーが指差す。


「君はその若さで王下七武海を討ち取り、砂漠の国を救った。それ以外にも数々の功績を立てている。その君を配下に加えられれば、海軍や加盟国に与える心理的影響は計り知れない…だが。」


次にレイリーはウタを指差した、より深刻な表情で。


「それ以上に標的になっているのは君だ、ウタ君。君のウタウタの能力があれば、この海全てを制圧することも不可能ではない。耳を塞げば能力が効かないという弱点も、それほど気にする必要もない。」


そこで言葉を切り、茶を飲み、真剣な表情で"ウタウタが海賊にとって、どれだけ魅力的か"をレイリーは語り続ける。


「別に君自身が敵地で歌う必要はない。スピーカー越しに歌を聴かせる、たったそれだけで相手を無力化できる。

電伝虫などの道具を併用すれば、耳栓など用意させる暇もない完全な不意打ちが可能になるだろう。君自身は安全地帯で歌うだけでいい…それこそ四皇の隣で、だ。」


四皇自身が護衛を行う、それほどまでにウタの力はこの海にとって脅威なのだ。

シャンクスは、娘を"兵器"にされるのを見過ごせず、二つの四皇勢力と戦っているのだ、とレイリーは締めくくった。


「………」


話を聞き終わったウタが、言葉を発することは無かった。

ただただ、表情を消している彼女に…やっとルフィが声をかける。


「聞いたか、ウタ……良かったな!!」


いつものように周囲を照らすような、輝かくような笑顔で。


「…良かったって…なにが?」

「シャンクスが…ウタを守るために戦ってるんだ。シャンクスはウタを見捨てたわけじゃなかったってことだろ!」

「なによ、それ。そんなことで…私が喜んでるとでも思ってんの?」

「俺にはわかるぞ……ウタが喜んでるって。」



「んなわけないだろッッッ!!!」



瞬間、ウタが激昂する。

ルフィの胸倉をつかみ、そのまま殴りつけた。


「勝手に私が喜んでるなんて決めつけんなッ!なんにもわかってないくせにッ!」

「ちょっと、落ち着いて!」

「ウタっ、そこまで言わなくても…姉さまっ!?」


ウタを止めようとしたソニアとマリーを、ハンコックが制止する。

ブルックたちも、ルフィに暴行するウタを静観したままである。


「そもそもあいつが私たちを守っているのだって、自分たちが利用したいだけかもしれないじゃない。いやきっとそうだッ!自分の道具を、他人に横取りされるのが嫌なだけに決まってる!!」


怒りを吐き出し続けながら、無抵抗のルフィの顔を殴り続ける。

そのうち、ウタの眼からポロポロと涙が零れ始めた。


「あいつらは私を置き去りにしたんだ…私を愛してるはずがないんだ…愛しているんだったらッ!」



「私の十年はなんだったんだッッッ!!!」



一際強く、ルフィの顔面に拳を叩きこんでウタは止まった。

肩で息をし、涙に潤んだ瞳でルフィを睨みつける。


「ウタ。」


ルフィは何事も無かったかのように、再び笑顔で


「良かったな!!」


彼女が気づかないふりをしていた"喜び"を代弁した。

心配する必要はない、なにも怖がる必要はないのだと、そう語り掛けるように…


「~~~~ッ!ううぅぅぅぅぅぅぅっ!!」


ルフィの胸に顔を押し当て、両手を彼の肩付近に、ドンドンと叩きながらウタが呻く。

その勢いも見る間に弱まり、しばらくの間彼女の嗚咽がその場に流れ続ける。


「ルフィ…。」

「うん。」

「ルフィ…。」

「うん。」

「ルフィィィ…!」

「うん。」


自分の名前を呼び始めた恋人を、ルフィはぎゅっと抱きしめた。

やがてウタが涙と鼻水でグシャグシャの顔を上げた。


「わたし…わ、わたし……。」



「シャンクスに、会いたい…!」



だけど! とウタは首を横に振る。


「どうしても、置き去りにされた日のことが忘れられない…この十年間、会いに来てくれなかったことが納得できないッ!!」


過去の記憶が、傷つけられた心が、今もウタを縛り付けている。

雁字搦めになった心に、血を吐き出しそうなトラウマに、ただただ叫び続けることしかできなかった。


「…そっか。」


ボロボロになった恋人の頭を、優しくなで続けるルフィ。

よし、と頷いた彼は…



「じゃあ俺がシャンクスのこと、ブッ飛ばしてやるよ。」




「……え?」


その場にいる全員が、ルフィの発言に耳を疑う。

あるものは四皇の一人をブッ飛ばすという荒唐無稽さに、あるものは彼にとってシャンクスが憧れの存在であることを知っているために。


「俺はずっとそうしてきただろ?ウタを傷つける奴、悲しませる奴は…俺が全部ブッ飛ばしてやる!!」


そんなとんでもないことを、当たり前のように言葉にするルフィ。

…この十年の間、ウタが見続けてきたルフィだ。

十年間、海兵として戦い続けてきたルフィだ…ウタと一緒に。


(…そうだ、そうだよ。さっきお風呂場で思い返したじゃないか。色んな人に守られたって…それに報いたいって!)


ウタの胸中に様々な人物の姿が浮かんでゆく。

海軍入隊を応援してくれたフーシャ村のみんな、自分たちを鍛えてくれた海軍の先達、一緒に訓練し正義を目指した同期たち、自分たちを慕い共に戦場を駆けた部下たち、そして…強くなって救うことができた人々。

置き去りにされてからの10年は…決して辛いだけの時間ではなかったのだ。


(例えシャンクスの真意がどうあれ‥‥私たちの10年は嘘になんかならないんだ‥‥怖がる必要なんかないんだ!)


「私も…シャンクスに会いにいく!会いに行って……強くなった私を見せつけてやる!!」


今度こそ、ウタに笑顔が戻った。

今までよりも力強く、輝かしい笑顔が…。


「…やれやれ。これでは出航を認めぬわけにはいかんな。」


肩をすくめたハンコックが、深くため息をつきながらウタの横に歩み寄ってくる。


「姉様…!」

「わかってやれ、マリー。…わらわたちがアマゾン・リリーに戻ってきたとき、わらわたちの母様はもうどこにもいなかった……。」


ウタの肩に手を置き、支えるようにそっと力を込めて。

優し気なまなざしで、ハンコックは妹たちに言い聞かせる。


「だがウタの父親はまだこの海にいる。こやつはまだ間に合うのだ。…送り出してやろうではないか。」

「ハンコック‥‥。」

「迷うな、ウタ。会いたい時に会いに行かねば会えなくなる…それがこの海じゃ。」


もはや、ルフィとウタの船出を見送る…そんな空気であったが、それに待ったをかける男がいた。

レイリーである。


「ウタ君、それにルフィ君。もう一つ、君たちに話しておきたいことがある…私に頼み込みに来た時のシャンクスの様子だ。」


レイリーから話を切り出され、全員が一旦席に着く。

先ほどまでの自分を思い返したのか、ウタの顔はいささか赤く染まっていた。


「大分参っていた様子だった…。四皇同士の激突で負った負傷もそうだが、それ以上に精神的に追い込まれているように見えたよ…。」


そう口にするレイリーの表情は暗い。

思い返すのは、ボロボロの姿で自分に土下座してきた義息子ともいうべき男。


「なぜこんなことに…、夢をかなえてくれたと思っていたのに…、そうしきりに呟いていたよ。」


そこまで言うと、レイリーは懐に手を入れると…紙切れのようなものを取り出した。


「それって…"命の紙(ビブルカード)”?」

「なんだそれ?」

「いや、海軍で習ったでしょ「寝てた。」それはもういい! ビブルカードってのはね…。」


命の紙(ビブルカード)…人間の体組織、爪や髪から造り出されるもので、そのもとになった人物のいる方角に動くという特殊な紙である。

対象が生きている限り、燃焼などで消失することもない。

偉大なる航路では、ログポースとならび指針として用いられる道具である。


「このビブルカードはシャンクスのものだ。君たちを連れていくためのものだな。ついでに言うと君たちを探し出せたのも、ウタ君のビブルカードのおかげだ。」

「えっ…私の、ビブルカード?」

「君が子供の頃にシャンクスが造ったらしい。ビブルカードは相手の状態によってはそのサイズを変える。これで君の安否の確認をする目的もあったのだろう。」


シャンクスのものだというビブルカードを机の上に置くと、そのビブルカードはズズズ、とひとりでに動き始めた。


「この方角に…シャンクスが……。」


その方角へと、ウタが目を向ける。

ウタの記憶のなかで、今もシャンクスは背中を向けている。その背中が、自分が望めばすぐ届くのだ。


「もしも、もしもだ。シャンクスが君たちを会えば…あいつは、君たちを自分のナワバリに閉じ込め二度と海には出させないだろう。」

「……え?」

「シャンクスが、俺たちを…!?」


レイリーから告げられた言葉に、ルフィとウタは唖然とする。

二人の中でシャンクスという男は、なによりも自由を重んじ、愛する男だったからだ。

決して他人を閉じ込めるような人間ではなかった。


「それ程に君たちを心配しているということだ。…この世界そのものが、君たちの敵といってもいいのだからな。」


レイリーはルフィとウタに目線を向ける。

その眼は、どうする?…と選択肢を示していた。

シャンクスに会い、そのまま籠の中の鳥になるか、それとも…


「俺はそんなの嫌だ。俺は…俺たちは、この海を駆けまわってみんなを助けてまわる…海兵だ!!」

「わたしもそう思ってる。それに‥‥そんなシャンクス、私は見たくない…!」


拒絶の言葉を口にする二人。

その反応を予想していたのであろう、レイリーは満足そうに頷いた。


「話を要約するとこうだ…。君たちはシャンクスに会いたい…だが、今のままでは双方望まぬ結果になってしまう。そこでだ…二人とも、私のもとで修業してみるつもりはないかね?」

「「ええっ!?」」


レイリーからの突然の提案に驚くルフィとウタ。

まさか、海賊王の右腕を務めた男が自分たちを、しかも海兵に修業をつけたいというのだ。


「どうして…なんで、私たちにそこまで…。」

「…君たちのことは、シャンクスと会うたびに聞かされていてね。私からしたら他人のようには思えないんだよ。…なによりも、ウタ君。君を放っておけないんだ。」

「え?」


どこか申し訳なさそうな表情を浮かべるレイリー。

その顔は、とても"冥王"と恐れられる男とは思えないものであった。


「かつて赤ん坊のころから育てた男が、同じように赤ん坊を拾い育て…そして捨てた。」

「…!」

「理由あってのことだと思ってはいる。思ってはいるが、到底許されることではない。シャンクスの育ての親の一人として、君の力になりたいんだ。」


レイリーは立ち上がり、ウタとルフィに向かって‥‥頭を下げた。

その姿は海賊王の右腕ではなく、苦悩する一人の"父親"であった。


「お、おい。おっさん…。」

「レイリー、あなたがそこまでする必要は…。」

「いや、これは私自身の望みでもあるんだ。どうか老い先短い老いぼれの望みを叶えると思って、君たちに修業をつけさせてくれないか…。」


ウタはチラリと横目でルフィを見たが、ルフィはじっとウタを見つめるだけだった。

レイリーの言葉は自分に向けられている、これは自分が決めなければいけないことだとウタは気づいた。


「レイリー…私たちは海兵。海賊に鍛えてもらうなんてもってのほか…って言いたいところだけど。」


椅子から立ち上がったウタは、レイリーの傍へと歩いていく。

世界から追い立てられる立場になっても、自分たちは海兵だという自負を持ち続けていることを口にするも…。


「手段を選んで、人々を守れるほど…私たちは強くない!」


海賊に襲われている人々…それだけではない、今のウタ達の境遇に苦悩している人々が大勢いることはウタにもわかっていた。

彼らを救うにはウタもルフィも、あまりにも力が足りなかった。


「だから‥‥私たちの方からお願いします。私たちを…鍛えてください!!」


ウタは自分の中のこだわりを一時捨てた…自分たちの身を案じてくれている者たちのために。


「ありがとう…私も、教えれる限りのことを君たちに授けよう。」


顔を上げるレイリー、その顔には晴れ晴れとした笑顔があった。




女ヶ島から北西にあるルスカイナ島。

かつてはこの島にも文明があったが、過酷な大自然との競争の末に滅んだという…。

その島に、レイリーとルフィとウタ、そしてブルックの四人だけがいた。


「サンキューな、ブルック。俺たちに付き合ってくれて。」

「早くラブーンに会いたいだろうに…ごめんね。」

「気になさらないでください!お二人の力になると言ったのに、私が一番弱いんですから!骨身を惜しまず頑張ります、ヨホホ!!」


ルフィとウタの修行に、ブルックも随伴したいと申し出てきたのだ。

ウタの力になってくれるのなら、とレイリーも快諾した。


「それにしても凄かったですねぇ。さっきのレイリーさん。」

「うん、あんなデッカイ象も倒しちゃうなんて。」

「あんだけデカイと、ギア3使っても倒せねぇだろうなぁ。」


先ほど見せたレイリーの実力の一端に、三人は感嘆の言葉を漏らす。

彼が言うには、三人が力を合わせても勝てないような動物たちが、ざっと300体はいるとの話であった。


「早く力つけねぇと、あいつら食えねぇなぁ…。」

「いや問題はそこじゃないでしょ…。このままじゃ夜も眠れないよ。」

「ヨホホ、一番弱い私が一番食べられてしまう危険が!」

「「食えるとこドコだよ!!」

「ヨホ~~、スカルジョーク!!」


雑談しながら、ある場所を目指して歩く三人。

やがて一つの樹木の前にたどり着いた。


「ここだね、レイリーが安全だっていった場所。」

「なんでも、ここだけ動物たちが近寄らないとのことで。」

「んじゃ、俺はこの麦わら帽子を…。」


樹木の前にある石の上に、自身の宝物ともいうべき麦わら帽子を置くルフィ。

ここに来るまでの間に、それぞれの大切な物を、ここに安置することを話し合ったのだ。

三人揃って、修業を完遂するという願掛けとして…。


「私は…これにしよっかな。」


そう言ってウタは、何重にも折りたたみ紐で結んだ羊皮紙を懐から取り出した。


「おい、ウタ。それって…!」

「ルフィ、今だけは私の思い通りにさせて…。きっとこれは、私が向き合わなきゃいけない問題だから。」

「‥‥わかった。でも、俺にできることがあったら言ってくれよな!」

「うん!!」


見覚えのある楽譜が取り出されたことに反応するルフィだったが、それをウタが制止する。

ウタの決意に、ルフィもひとまず引き下がることにしたようだった。


「それでは、私はこれを…」

「ええっ!?頭が割れたぁっ!!?」

「スゲェ、ビックリ箱みてぇだな!」


突如自分の頭を横に割り(?!)、その中に手を突っ込むブルック。

彼の奇行に、ウタは驚き、ルフィは目を輝かせる。

取り出されたのは一つの音貝(トーンダイアル)であった。


「これは私にとっての"命の唄"。死の間際に、仲間たちと行った演奏と歌が録音されています。霧の海の中で、最後まで正気でいられたのはこれのおかげです。ですが…。」


音貝をそっと樹木の根元に置くブルック。

空洞のはずの眼窩には、決意の光が灯っているかのように感じられた。


「元々これは、ラブーンに"我々は笑って冒険を終えた"と伝えるためのもの!必ず彼に再会するという誓いの意味で、私はこれを手放します!これを持つに相応しい力をつけるまで…!」

「…そのためにも強くならなきゃね。一緒に!」

「よし、レイリーのオッサンのところにいこうぜ!!」

「駄目だよ、ルフィ!今から鍛えてもらうんだから、これからはこう呼ばなきゃ…。」



「おお、来たな。準備はいいかね。」


安全地帯から少し離れた、開けた場所でレイリーがウタ達を待っていた。

三人は彼に駆け寄ると…


「「「これからよろしくお願いします!レイリー教官!」」」


まさかの"教官"呼びに、一瞬あっけをとられるも…


「あっはっはっはっはっは!よせ、よせ。そんな畏まった呼び方をするのは。そもそもこれは私の方から頼み込んだことなのだからな!」

「じゃあ、どう呼べばいいかな?」


鍛えてもらう以上、呼び捨てするには遠慮があるウタが尋ねる。

レイリーは、少し照れ臭そうに頬を掻くと


「君たちにとって私は他人だろうが…私にとっては、孫のように思えてね。老人として扱ってくれて構わんよ。」


その言葉にウタとルフィは顔を見合わせる。そして


「「よろしくお願いします!レイリーじいちゃん!!」

「はっはっは!じいじと呼んでくれてもいいぞ!!」

「ヨホホ、これからお世話になります!」


こうして、海兵と歌姫そして歌う骸骨は一時、世界からその足跡を消す。

彼らが表舞台に現れるのは、二年の年月を要することになるのであった………。


To Be Continude


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