海に来た2

海に来た2


「ルビー!アクアー!もう少ししたら私も行くからねー!!

さ、早く塗ってヒカル」

そう言って来ていたパーカーを脱いで、紫色のビキニタイプを纏ったアイの姿が露になる。

やっぱり君は美しい。

「…分かった。少しだけ心の準備させて」

いまだ妻の裸身(に近い姿)はドキドキする。

子ども作っても慣れないことはあるんだ…誰に弁明しているんだ、僕。

深呼吸、そう深呼吸だ。落ち着くために必要なのは充分な酸素と落ち着いた呼吸だと学んだことがある。

ヒーヒーフー、ヒーヒーフー…アレ、深呼吸の呼吸法じゃない気がする。

「ヒカルー?ラマーズ呼吸は力むためのだからしても多分、落ち着かないよ?」

「おっと、僕としたことが」

逆に今ので落ちついた。さっさと済まして子ども達とアイと遊ばねば。

手に日焼け止めクリームを捻り出してアイの背中に塗っていく。

「ひゃっ⁉︎…塗るまで少し、かかってたけど、もしかしてさ、私に見惚れて緊張してた〜?ヒカルくんはまだ慣れないのかなー?」もっと恥ずかしいことしたのにー?

とニヤニヤと悪戯っ子な笑みを浮かべる目の前の小悪魔。

「揶揄ってるかもだけどそうだよ?あの時はほら、君泣いてたし、僕も君に色々曝け出してたからそれどころじゃなかったし」

「勢いって怖いよねー?後悔は無いけどさ、トントン拍子で関係進んだよね」

「進んだねー…それまで君に誘われてご飯行ったり、なんかお洒落なところでデザート食べたり」

「その念の為に変装して行ったお店、全部鏑木さんの紹介なんだよ?今度御礼言おうね」

「そうなの?良いお店だったね」

思い出話に華が咲いて色々語り合う僕たち。

…最近は昔のこと話すより今の、アクアとルビーが居る毎日を話すことばかりだった。過去を振り返るのも悪くない。

「そろそろ良い?アクアとルビーが凄く芸術的な砂のお城作ってるよ」

2人は良い汗かいた…な仕草でサグラダファミリアチックなものを2人で作り上げていた…なんで?

「おおー…天才だね、僕たちの子は…」

「だよね…世界を制する日も近い気がする」

とりあえず写真をパチリ。家族4人揃っての記念撮影もして社長達に送っておいた。

いつの日かこの作品と光景を色々な人に自慢したい。

そう思った。

⭐︎

ママとパパは互いに日焼け止めを塗り合いながら楽しそうに話をしている。私も混ぜて欲しいが、迂闊に行くとママが私を捕まえて楽しかったデートの話やパパのクールぶっていた頃の話をしてくるので恥ずかしいから賢い私は遠くから見守ることにする。

…きちんと私達にも注意を払っているみたいで手を振ったり写真を撮っている。

せっかくだし、驚かせてみたいな。

「ねー、アクア」

「なんだ?今ヤドカリの観察が佳境なんだ。引越しを見届けたい」

「なら、見終わったら手伝って欲しいんだけどさ…ママとパパを驚かせたくない?」

ヤドカリを見つめていたアクアがピタッと動きを止めて此方を向く。

「何をする?悪戯はしないぞ」

「そんな子どもみたいなことしないよ。驚くようなもの、作りたくない?」

「子どもだろ。だけど、良いな。それ」

アクアが乗った。そうと決まればこちらのものだ。私は不器用じゃないし、器用な方でアクアは賢い。2人手を組めば無敵だ。

「すごーく大きい砂のお城作りたい!!」こんぐらい!と両手を広げると、アクアは考えこむ。何か考えがあるのかな?

「ルビー、僕の記憶の中のものになるけど良いか?当然僕もやるけど指示通り動いて欲しい」

「良いけど、どんなの?」

「サグラダファミリア…分かりやすく言えばヨーロッパにある凄く大きくて豪華なお城…みたいな教会だ」

私達兄妹のプロジェクトXが始まった。

(完成したもの)

✴︎

「凄いね!レベル高いよ⁈」

「君達は天才か⁉︎天才だね!!流石だ!」

僕たち夫婦はわーきゃー言いながら写メを撮りまくる。

アクアとルビーは誇らしげだ。

「ママ、早速海に入ろうよ!ママと一緒に入って遊びたかったんだ、私!!」

「父さん、実は僕もなんだ。家族4人でやってみたい」

ルビーがアイの手を、アクアが僕の手を取る。

僕達は顔を見合わせて互いの手を取る。

「よーし!久しぶりのアレ、やるよ!ヒカル!!」

「アレか、懐かしいね。ルビー、アクア、君達が小さい時にした我が家最強のフォーメーション!覚えてるかい?」

昔ルビーを喜ばせるため、アクアにも楽しんでもらう為に生み出して、アイが乱入して生まれたフォーメーション。

その名はーーー

「「アルティメットカミキロボ!!(⁉︎)」」

そう、アルティメットカミキロボ。僕の肩と首、腕の筋肉に負荷が凄い、家族愛の化身である。

「海に出撃だよ、ヒカル!!はい、お姫様抱っこして」

「パパーおんぶして」「父さん、悪いけど肩車」

「はっはっは、物理的に家族の重みを感じるね!」

子ども達の成長と、アイの華奢さを感じながら海に突撃。

回転したり、アクアとルビーを発射したり、アイを振り回したり、再合体したり…疲れて浮き輪に乗って浮かんだり、子ども達の水泳の上手さに夫婦で感激したり

とても楽しかった。

流石に元気な子ども達も疲れて眠たくなったのか海から上がりレジャーシートの上で休憩中。うつらうつらと船を漕いでいる。

彼らを微笑ましく見ながらも僕もアイも年甲斐もなくはしゃいで疲れてしまった。

「また、来たいね。家族4人に邪魔されない形で海で遊んではしゃいでさ」

「そうだね…また来よう。」

アイの手を握り、子ども達の寝顔を見ながらしばらく沈みゆく夕焼けを見ていた。

おまけ

「バイキング!久しぶりだなー!!こんな豪華なの!いっぱい食べたい!」

「あれ?初めてじゃなかったっけ?バイキング系はまだ連れて来たことなかったような…」

「(アホルビー!)ま、前に2人でTVで観ていたのと同じだから!つい、な!」

「そ、そう!!わ、わぁ!!チョコレートファウンテンだ!すごーい!」

「あー!確かに観たね!覚えてるよ、私も!!ヒカル、思いっきり食べたいけどどうしたら良い?」

「うーん…運動のメニュー、考えるから許可しちゃいます!!」

「やったー!」「ファウンテーン!」

(やっぱり母さんに甘いな父さん)

「お、アクア。お寿司でウニとか食べられるよ!」

「マジで⁉︎」

バイキングを楽しみまくった4人だった

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