海に来た1
「「海だーーっ!!」」
いぇーい!と言わんばかりの勢いで走っていくアイとルビー。
「走って怪我しないようにねー」
そして緩い父さん。
…相変わらず僕が家族の中でしっかりしないといけなさそうだ。
「父さん、早いところあの2人止めないと体操しないで海に入るよ
浮かれ過ぎてるから」
「そうだねぇ…喜ぶ2人の顔見たら良かったと思うよホント。アクア、プライベートビーチでも海の家てあるのかな?僕、子どもの頃は使わせて貰えなくてさー」
この人も同じぐらい浮かれていた。
(ダメだ…元医師として、きちんと準備運動させないと)
「ルビー!母さん!準備運動しないと海に入らせないぞ!」
「「えー、足先ちょっとぐらい」」
「えーじゃない!心臓マヒのリスクや手足が攣って溺死のリスクが上がるからな!!」
「おー…アクア博識だね…」
「父さん!他人事だけど、父さんもやらないと海に入らせません!!」
元医師として身体の安全、健康を守るためなら僕は譲らない。
「「はーい…」」
「分かったよアクア」
完全に浮かれていたから渋々と言った感じの2人とのほほんとした父さん。
…僕がしっかりしないとやっぱり危ないと思う。
その後しっかり準備運動させた。
✴︎
「はい、準備運動終わり。入っても良いよ2人とも」
アクア主導の力の入った準備運動が終わり、僕はパラソルを刺して、レジャーシートを引いて準備する。反対にアイとルビーはウズウズしている。
…言われてみればアイを入れて水辺で一緒に遊ぶのはアイもルビーも初めてだ。本当に楽しみなのだろう。
「やったー…て、あ!!忘れてた!」
「わ⁈な、何?ママ…いきなり大声出して」
「日差し強いから、日焼け止め塗らないとね!!ルビー、アクア、こっちに来て塗り塗りしようねー」
「分かったー」
「え⁈ぼ、僕は…父さん!父さん塗ってくれないかな⁉︎」
「ん?僕かい?良いよ
じゃあアイはルビー、僕がアクアをやるから」
アクアは凄く狼狽えて僕の下まで走って来た。アイがビックリしてるし、ルビーがすごいジト目だ。
「え、うん、分かった…恥ずかしかったのかなアクア」
「お兄ちゃんは硬派気取ってるんだよ」 ヤダネー
「気取ってない!」
キャイキャイと口喧嘩し始めた2人をあらあらと微笑ましく見るアイと僕。
「ほらほら、2人とも、早く塗らないと日にやけちゃうよ?肌白くて綺麗なんだから赤くなっちゃって痛くなるよ」
「アイが言う通り、君達はまだ若いけどやけると痛いからね」
「分かった。…ルビー、決着は後だ」「今回はこの辺りで勘弁してあげる」
何やら火花が散っている。仲良いね、2人とも。
だが、兄弟姉妹は幼い間は何であれ、激しい喧嘩をすると聞くが、2人は基本遊びの範疇だ。良いのか、悪いのか、親としては気になるところ。
(誰か知り合いに子育て詳しい人いたかなぁ…)
残念。浮かばない。
「ルビー、塗るよー?ママに背中向けてね」
「アクア、塗ろうか。同じように僕に背中向けて」
「「分かった(!)」」
僕とアイは子ども達の背中に日焼け止めを塗って、前は当人達に任せて塗り残しが無いかチェックした後は2人に対して
・目の届く範囲で遊ぶこと
・海に入る時は僕かアイと一緒なこと
・必ず1人にならないこと
を約束として遊びに行かせた。
ルビーはアクアの手を取って波打ち際で水の掛け合いをしている。
済ました顔で居るアクアも笑みを浮かべてルビーと遊んでいるのは歳相応の兄妹で可愛らしい。
「アクアも前に海連れて来た時より嬉しそうだ…君と一緒に遊べる、というのが本当に嬉しいんだね」
「そうだと嬉しいな〜ね、ヒカル」
「何だい?」
「私が日焼け止め塗るから、君が私を塗ってよ」ダメかな?と上目遣いでお願いはズルい。
ちょっと個人的に恥ずかしいお願いが来たぞ?