浴インSS

浴インSS


■ここだけ宿儺から小僧への好感度が https://bbs.animanch.com/board/2589332/ の213話の開幕腹パンで気絶させられてそのまま浴インされたSS

※宿儺と虎杖の他に裏梅と羂索も出てきます

※該当スレの内容からちょくちょく良いですね……それ……となった箇所の要素をお借りしたりしています

※細かい描写は無いけど全裸が出てくるよ!

※宿儺は213話に至るまで原作通りのリアクションをしている想定です(表面上原作宿儺)

※以上の事が大丈夫な方はどうぞ

※問題があれば消します


「覚えているか?」

途切れた意識から戻ってきた時に初めて聞こえたのはそんな聞きなれてしまった声だった。

聞きなれた、悍ましい声、ただ、少し違ったのはどうしてかその声が穏やかに聞こえた気がした事だろう。

何時ものこちらを嘲笑うような声ではない、どちらかと言うと、いや、あり得ない、あり得ないがそれでもそう認識してしまったのだから、そう思うしかない。

まるで、子供に向かって言うような声が自分に向けられている事を理解して、呆然と目を見開いた。

「面白いものがみれると」

いつの間にか突き出していた左手を掴まれる衝撃といつの間にか失われていた小指の痛みで、現実ではあり得ない事が起きている事を認識する。

目の前に居る友人、伏黒から、伏黒ではない声が聞こえた。

それは、あり得てはいけない事だった、俺の命に代えてもいや、伏黒でなくとも、誰でも、そんな事は起きてはいけない事だった。

だって、それは俺の内側に納めて終わらせないといけない生き物だ。

「言っただろう」

そっと上げられてゆく顔に見知った模様が浮かんでいる、その唇は笑みを浮かべている。

四つの目がこちらをはっきりと見ている、こちらの表情を一つも逃さないようにと言わんばかりにこちらを見て、いた。

それが俺をなんと呼ぶのか俺は知って居る。

けれど耳に届いた呼びかけは予想していたものと異なって、けれども、大切な友人ではないと言う事を告げていた。

「'悠仁'」

こちらの腕を掴んでいる手とは逆の手で、前髪がかき上げられる、そうするとよりその顔の模様が見えてしまう。

半ば思考は停止してしまっている自覚はある、けれどどうすれば飲み込めるのか分からなかった。

ただ、半ば祈るように、もしかしたらの可能性を、俺と同じような事を願って、その名前を呼ぶ、呼んでしまった。

「……伏黒?」

問いかけには笑みだけが返された、僅かでも動けば何か良くない事が起きる、そんな妙な確信があって、このままではそれは決して避けようがないと分かっているのに、それでも、動けない。

ズキズキと小指が痛む、この場において、俺には何も行動を移す権利を与えられてはいなかった。

「さて、呼ぶ相手を間違えたその仕置きはせねばな」

ともすれば甘いと例えられそうな程の声だった、それが俺に向けられる筈もないのに、けれどこの場にいるのは目の前にいる男を除いて俺しか存在していなかった。

間髪入れずに腹部に強烈な痛みが突き抜ける、掴まれていたままの腕の骨が軋み、肩が外れる、けれども、その場に留まらさせられる。

内臓が幾つか壊れたような感触がする、そのまま吹き飛ばされていたら、マンションを貫通してそれ以上にどこかに飛ばされていただろう衝撃は意識の殆どを刈り取るに足る威力だった。

足が支えきれず、膝から崩れ落ちる、膝が地面に触れる前に、とぷりとどこか暗い場所に飲み込まれる。

「安心しろ、後で治してやる、今は、眠っていろ」

全てが影の中に飲み込まれる前に、そんな声が聞こえた。


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ぽたりぽたりと音が響く、重力に従い、液体は高い所から低い所に流れ落ち、淀むように溜まってゆく。

真っ当な精神を持ち、そして見る目がある人間がその場にいたのであれば、あまりの悍ましさに目を背けただろうその場所には、人は居れど、一人を除いてその誰しもが真っ当な精神を持っているとは言い難かった。

一人目、たった一人の主の為にその場を作り上げた調理人、二人目、死体を転々とし生き長らえる愉悦の求道者、三人目、呪いの王。

残る四人目は呪いの王、宿儺の影の中未だ眠りに落ちている、身体の内側で破裂した内臓と引き千切られた左の小指は欠けたままであるものの、既にそのどれもが完璧に治療されていた。

呪いの王にとってその欠けを無かった事のように癒す事も児戯にも等しいが、指切じみたその欠損を戯れにそのままにしていた。

「確かにまぁ、君のための器として作ったのは作ったけど、まさかそこまで気に入るとはね」

「あぁ、そう言えば小僧の親だったか、似なくてよかったな」

「育ててはないからね、それよりも、本当にその子も浴に?」

「あぁ、仕置きのようなものだ」

影の中に宿儺は手を入れて、昏々と眠ったままのその身体の腕を掴んで引き上げる。

筋肉質のその身体を子猫を持ち上げるのと変わりがない所作で宿儺は持ち上げる、固く閉じられた瞼はその意識が深く意識を手放している事を示していた。

先ほどまで身に纏っていた衣服はない、浴をする際に不要と認識されたそれは未だ宿儺の影の中に留まっており、後で宿儺から裏梅の手に渡り、処分される運命だった。

もたれ掛からせるように宿儺は虎杖を抱き上げて、裏梅に視線を向ける。

「裏梅、小僧の服も用意出来るか?」

「はい、色味、柄はいかがいたしましょうか?」

「一先ず白に帯は青褐に近い物を用意しろ、柄に関しては後で仕立てる時で構わん」

「かしこまりました」

裏梅は宿儺に向けて一礼し、命じられた衣服を調達しに歩き出す、すれ違う途中羂索に釘を刺すような視線を向けるが、返された肩をすくめるような動作に僅かに顔を顰める。

何かあった時に手を煩わせる事自体が裏梅としては酷く気掛かりではあったが、それでも主たる宿儺に命じられた事が最優先事項である事に間違いなかった。

ゆったりとした足取りで虎杖を抱えたまま浴に宿儺は足を進め、虎杖の力なく投げ出された足が浴に沈み込む。

一歩、二歩と足を進めて、虎杖の腰まで沈み込んだタイミングで、唐突に許容値を超えたかのように抱き上げられた居た身体が跳ねた。

助けを求めるように手が宙に伸ばされる、逃れようと身を捩る、薄っすらと開かれた唇からは苦痛によって音が押し出されるように漏れている、見開かれた目はまだ虚ろではあったが、苦悶の色を浮かべていた。

「これは仕置きだ、大人しく受け入れろ」

「っ、あ!……や!」

意識が無いまま、それでも与えられている苦痛から逃れようと足掻く虎杖の身体を取り落とさないように、あやすような声色で声を掛けながら宿儺は抱え直してまた一歩と足を進める。

虎杖の見開かれた両目から大粒の涙が溢れ、そして、重力に従い流れ落ちて、浴に取り込まれる、それがあった事すらなかったように混ざりあって消えた。

足掻く姿を窘めるように、今まで一歩一歩噛みしめるように進んでいた足が一息に宿儺共々虎杖の身体を浴の中に飲み込ませる。

途端に響くのは言葉無き絶叫、助けを求めるために伸ばされたためほんの僅かに外に出ている指先は震え、そして、悲鳴ごと飲み込まれるようにゆっくりと沈んでゆく。

その様をつぶさに観察していた羂索は、その悲鳴に耳を傾けながらそっと息を吐き出した。

「可哀想に、意識が戻らないままの方が楽だっただろうに」

産み出した者として、宿儺の器である虎杖がどれ程耐え切れてしまうかを予想する事は羂索にとって難しい事ではない。

だからこその同情の言葉とその言葉を吐く事以上の事をする気はないのだと暗に示していた。

ゆらりと爪先が浴の水面を掻き、波紋が広がり、そして消える、その様子を見て、羂索は再度、口には出さないもののその言葉を脳裏に浮かべて、憐れみを込めてそっと囁く。

「愛されてしまったのが運の尽きと言う奴なのかな?これは」

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