浴の最中の一枕

浴の最中の一枕



『浴』

膨大な数の呪霊を用いて行われる肉体調整用の儀式。

宿儺は伏黒恵の肉体を乗っ取り、無事にこの儀式に取り掛かる段階まで来たのだが...

「如何ですか」

「ダメだな。まだ伏黒恵の魂は抵抗している」

己の姉、津美紀が過去の術師に乗っ取られていた事実に魂が折れかけていたが、しかしすんでのところで留まっていた。その結果、宿儺は身体の主導権は握っているものの、呪力出力が安定しない不完全な状況下に置かれていた。

「どうにかして伏黒恵の魂を折るのが先決ですか」

「だろうな。いくら肉体が制御できてもこうも呪力をかき乱されるのはつまらん」

裏梅は顎に指を添えて考える。伏黒恵の戦う行動原理は津美紀にある。その彼女が実質的に死亡したも同然であるということは、彼の芯が無くなったのも同然。にも関わらず、まだ魂を保っているとなれば、果たしてどうすれば彼の魂を折ることができるというのか。

「ここは無難に彼に屈辱を与えてみてはどうだい?」

側で『浴』の見学をしていた羂索が口を挟む。

「彼も呪術師なんだ。津美紀でダメだった以上、人の生死で折れるとは思えない。ならばそれ以外の方法を試すべきじゃないか?」

「......」

裏梅は無言で思案する。確かに彼の言うことは一理ある。だが、魂を折るほどの屈辱とはどんな手段か、皆目検討がつかない。

「よし。思いついた」

そう声をあげたのは宿儺だ。

「裏梅。俺の両腕を氷で縛れ」

「?かしこまりました」

突然の命令に疑問を浮かべるも、命令ならばと氷凝呪法で氷の手枷を宿儺に嵌める。

瞬間

「!クソッ、なんだこれは!」

宿儺の表情・仕草・気配全てが変わり、威厳すらも何処ぞへ吹き飛ばされる。

(宿儺様、じゃない...!?)

突如の変貌に裏梅は目を見開き、瞬時に氷凝呪法を発動する構えに入る。

「落ち着け。俺だ」

再び気配が変貌する。間違えるはずもない宿儺のものへと。

「へえ、なかなか様になってるじゃないか」

「天使の受肉体とのやり取りでコツは掴んだのでな」

素直に感心する羂索に、宿儺は得意げに嘲笑する。伏黒恵の魂が表に出たわけではないと知った裏梅はホッと胸を撫で下ろす。が、ここで疑問が生まれる。なぜ宿儺様は伏黒恵を模したのかと。

その答えはすぐに思い知らされることになる。

「裏梅。これから俺は伏黒恵になりきる。奴の魂を折るために、この身体を犯せ」

沈黙。それはたった数秒の出来事。しかし、裏梅の脳内では与えられた情報が処理に追いつかず、体感時間はその何倍にも思えた。そして、ようやく言葉の意味を理解した時、裏梅の絞り出せた言葉は


「えっ!?」


ただただ、困惑だった。



「はーい、いくよー」

羂索は呑気な声と共にどこからから持ってきたカメラを担ぎ、ひざまづき拘束される宿儺とその眼前に立ち尽くす裏梅を画面に収める。カメラマン気取りなのか、いつの間にか袈裟から一昔前のプロデューサーのような衣装に着替えており、そのまま10秒前!と声を張り上げカウントダウンを開始する。

「期待しているぞ、裏梅」

「...かしこまりました」

カウントダウンが3秒を切る頃には、宿儺の笑みも裏梅の冷や汗も止まり、そこには拘束された『伏黒恵』とそれを冷めた目で見下ろす裏梅が確かにあった。

「アクショーン!!」

やけに気合いの入った羂索の掛け声と共に、裏梅の心は凍星の通り名の示すように凍てついた。


🎬

「起きろ」

冷えついた殺気を含む裏梅の声に、『伏黒』はゆらりと顔をあげ睨みつける。

「宿儺様を取り込んでなお自我を保つとは大した器だ。だがそんなものは不愉快なだけ」

『伏黒』の髪を掴み、無理やり顔を持ち上げれ吐き捨てる。

「宿儺様を出せ!でなければ」

「殺す、か?」

圧倒的に不利な状況にいながらも『伏黒』は狼狽えない。

ここで自分を殺せば宿儺の指15本分が消えることになる。そうなれば結果的にはプラスだ。指5本分の宿儺なら五条悟がいなくても残る術師たちで充分に対処できるからだ。

無論、裏梅もその程度のことは心得ている。その目論見があれば、伏黒恵が完膚なきまでに折れることはないことも。

「私が貴様の浅慮な考えにかかると思うな。貴様の心を挫く方法は心得ている」

裏梅は『伏黒』の頬に手を添え、ふーっと息を吹きかける。裏梅の氷凝呪法はその息すら凍てつく氷と化すことができる。

「...冷たい息だな。これがなんの脅しになる」

「脅しじゃない。これは調教だ」

裏梅は冷気で冷えた『伏黒』の頬につう、と舌を這わせる。

「っ!?」

程よい冷気により敏感になった『伏黒』の肌は、たったそれだけのことで快感に震える。

「不思議な感覚だろう?過ぎた冷気は痛みを引き起こすが、程よい冷気に他者の体温が交じれば極上の快感となる」

裏梅はそのまま全身にほのかな冷気を浴びせながら『伏黒』の首筋から小さく口付けをおとしていく。「ぐっ、やめろ……っ!」

「貴様に拒否権などない。それに、既に貴様の肌は悦びを感じているはずだ」

『裏梅』の冷たい言葉に嘘はない。実際『伏黒』の身体は氷のように冷え切っているが、その奥は今まで感じたことのない快感で燃え盛っている。

まるで氷で炙られているかのように、身体の芯から火照っていく。

「私は貴様の肉体を快楽で調教するが、果たしてどこまで魂が耐えられるかな」

裏梅は『伏黒』の着物の中に手を入れ、その胸板を弄ぶ。刺激を受けた『伏黒』の身体はびくりと跳ね上がり、小さく喘ぎ声を漏らす。その反応に気を良くしたのか裏梅は更に激しく攻め立てる。

「んっ、うっ……くそ……やめろ!」

しかしここで屈するわけにはいかないと『伏黒』は力の入らない身体で懸命にもがく。

「そら...全身が冷えてきたのではないか?温もりが欲しいのではないか?」

裏梅は冷気を放ちつつ、『伏黒』を覆い隠すように抱きしめる。冷気で冷やされた肉体がじんわりと暖かくなり、裏梅の体温と溶け合う。

「貴様の身体は……私を求めている」

耳元で囁かれるその言葉に、『伏黒』の背筋に怖気が走る。その感覚を何と呼ぶのか理解できないが、それでもこれから自分の身に降りかかることは想像がつく。

最後の力を振り絞り脱出を試みるも、裏梅はその隙を与えず拘束を強める。

控えめであっても確かに仄かに膨らむ胸が、『伏黒』の眼前にくるように。「!?」

「咥えてみてもいいんだぞ?さすれば冷気も和らぐ...かもな」

裏梅はそう嘲ると、その胸に『伏黒』の口を近づけていく。

「っ!やめ……んぶ!?」

言いかけた瞬間、柔らかい感触が押し付けられ、その温もりが口の中へと伝わる。

「ん……ちゅ、んっ」

『伏黒』は反射的にその温もりを味わうように舐め始める。舐めたくて舐めているわけではないのに。かじかむ口を理由に、裏梅の桃色の突起を咥えずにはいられない。「ん……そうだ、それでいい。私の温もりに抗うな……」

裏梅は満足そうに囁くと、『伏黒』の頭を優しく撫でる。その様はまさに母親と乳飲み子。もっとも、授乳とはかけ離れた行為であることは言うまでもないが。

「ん……ちゅ、ちゅっ」『伏黒』は赤子のように夢中になって乳首をしゃぶる。その熱をもっと得ようと自然と舌の動きが激しくなり、乳首から伝わる快感も比例して強くなっていく。

「っ……んんっ」

『裏梅』は小さく喘ぎ声を漏らしながら優しく頭を撫でる。そして空いた手を『伏黒』の股の間へと伸ばしていく。

(ここも既に熱くなっているな)

裏梅は『伏黒』の屹立をそっと握り込むと上下に擦る。瞬間、『伏黒』の腰はびくりと跳ね上がる。

「あ!?やめっ……んああっ!」

突然の快楽に嬌声をあげ、思わず口を離してしまう。

「どうした?口がお留守だぞ」

裏梅は冷徹な声で言い放ちつつ、『伏黒』の肉棒を弄り始める。裏梅の手は冷たく、『伏黒』の肉棒もすっかり冷え切ってしまっている。しかし、その冷たさが却って心地よい。

「あ、やめ……んっ」

裏梅は『伏黒』の懇願を無視し、肉棒を擦るスピードを早める。ぐちゅぐちゅと淫らな音が室内に響き渡る中、裏梅の手も肉棒同様冷たさを増していく。だがそれは同時に射精感が近づきつつある証拠でもあるのだが。

「ほら...果ててしまえ。敵の女の乳にしゃぶりつきながら情けなく逝くがいい」

裏梅の手の冷たさは増す一方で、『伏黒』の快感も徐々に絶頂へと近づいていく。

「やめろ……っ!やめっ……んあああっ!」

裏梅の手が激しく前後に動くと、『伏黒』は腰をがくがくと震わせながら盛大に射精する。その手に放たれた精を見つめると、裏梅は小馬鹿にしたようにクスクスと笑みを浮かべる。「は……はぁ……んぐっ!?」

息を荒らげる『伏黒』の口に、裏梅の指が強引にねじ込まれる。

「わかるか?これが貴様の、負け犬の精の味だ。だが気持ちよかっただろう?抗うのがバカらしくなってくるだろう?」

『裏梅』はそう囁いて指を動かし、歯茎に精液を塗りこむ。口内に広がる苦みと臭みに『伏黒』は顔をしかめるが、同時に身体の芯からじんわりと熱を帯びてくるのを感じる。

(なんだ……この感じ……)

その感覚に戸惑うも、射精後の脱力感でその真意を探る余裕はなくなっていく。

「所詮貴様もただの男だ」

そんな様子の『伏黒』に裏梅は吐き捨てるように言い放ち、指を引き抜く。


「はいカーット!!」


🎬

「いやはや、役者だねえ。中々の役の入れ込みようじゃないか」

心底愉快なものを見たかのように羂索はくつくつと笑みを零す。

「くっ...!」

拳を握り締めワナワナと震える裏梅だが、しかし反論が出来ない。完全に調教を愉しんでいた。没頭していた。

目の前の『伏黒』が宿儺の演じているものだということも忘れるくらいに。

「裏梅」

「はっ」

宿儺の呼びかけに裏梅はすぐに片膝をつく。

もしかしてやりすぎたのだろうか?だとしたら弁明もない。如何なる罰も受けよう。

裏梅は震えることもなく粛々と首を垂れる。だが、その予想とは裏腹に宿儺の声は機嫌がよかった。

「いまので呪力のブレ幅が狭まった。奴め、己の身体がお前の手で情けなく果てたことが相当堪えたらしい。この調子で頼むぞ裏梅」

その言葉に裏梅はほんのりと頬を染めて、期待に応えようと心に誓う。


「はいはい、休憩の時間はお終いだよ二人とも。さあ撮影準備に入った入った」

「羂索。お前のそのキャラ付けはさっきからなんなのだ。鬱陶しいぞ」

「監督兼カメラマンだよ。私はプロだからね。何事も形から入らないと気が済まないのさ」

「ウザッ」

「はーいいきますよー!本番五秒前!4、3、2、1...アクショーン!!」



🎬


「いい顔になってきたな」

「はあっ、はあっ」


全身を火照らせ息を切らす『伏黒』の顔に裏梅もまたゾクゾクと快感を覚える。

「貴様ばかり快楽を得るのも不愉快だ...私も気持ちよくしてもらおうか」

裏梅は袴を晒し、己の性器を露わにする。

「なっ...!?」

『伏黒』は驚愕に目を見開く。裏梅は女だ。それは不本意ながら胸を吸わされたから間違いない。だが、だが!裏梅の股座から顔をのぞかせるそれは、紛れもなく雄。肉棒。それも、常人では到底及ばない大きさの。彼女の美貌には似つかわしくないカリ高の極太ちんぽである。

かつて両面宿儺はその怪物じみた容姿から忌み子として扱われた。同じくして、裏梅もまた異形として扱われていた。上半身は誰もが羨む美貌を有した女、下半身は誰もが虜になる男。一つの身体に二つの性を有する裏梅の身体は、現代的にはそういう体質だと研究が進んでいるものの、平安当時ではまさに異質異端異形の妖も同然。優れた遺伝子を有しながらも、宿儺同様恐れられていたのだ。

「どちらの雄が優れているか比べてやろう」

裏梅は、己の肉棒と『伏黒』の肉棒の先端同士を合わせる。伏黒恵とて、決して短小ではない。プロの女たらしヒモ男の遺伝子を継いでいるだけあって中々のモノを持っている。だが、裏梅のズル剥けの巨根と比べればイヤでもかわいく見えてしまう。二人のスペック差はもはや歴然であったが、しかし無情にも雄比べは幕をあけてしまう。くちゅくちゅ

亀頭同士が擦れ合い、先走りの汁が混ざり合う。裏梅はその僅かな刺激でも快感が走るが、『伏黒』はたまったものではない。

「くっ……やめろ」

「強がるな。身体は正直だぞ?」

裏梅は不敵に笑うと、さらに激しく腰を動かす。『伏黒』の肉棒もそれに応えるようにびくびくと脈打ち硬度を増す。

裏梅も気持ちいいことは気持ちいいのだが、それ以上に征服感による多幸感が勝り、無意識に笑みをこぼす。

裏梅はその笑みが、『伏黒』をより煽ることになっているとは知る由もない。

「っ……あ」

『伏黒』が僅かに声を漏らす。裏梅はそれが限界だと悟った。

「射精すがいい……男として敗北の証を」

裏梅はラストスパートとばかりに激しく腰を動かす。互いの亀頭同士が擦れ合い、今までで一番の快感が生まれる。そしてダメ押しと言わんばかりに裏梅は『伏黒』の口を貪り始める。

「ッ!?」

裏梅の細く長い舌が『伏黒』の口内に侵入し蹂躙する。舌を絡ませ、歯茎をなぞり、上顎を舐め上げる。その快感は脳に電気を流したように激しいものとなり、『伏黒』の絶頂を促すには十分だった。

「ん!んん゛……っ!」

裏梅が唇を離すとほぼ同時に『伏黒』は果て、白濁を勢いよく噴き出す。


「やはり貴様は雄としても私よりも劣っていたようだな」

『伏黒』は息を荒くし、裏梅の言葉も聞こえているのかいないのかわからない。だがそんなことはお構いなしにと、裏梅は『伏黒』をうつ伏せに寝かせて臀部を弄り始める。

「私も収まりがつかんのでな。貴様にはメスになってもらう。...心配するな。その身体は宿儺様の器。ちゃんとほぐしてから入れてやる」

『伏黒』は抵抗する気力もなく、されるがままにされる。

裏梅は指を唾液で濡らすと、ゆっくりと『伏黒』の蕾へ挿入していく。異物感に『伏黒』の体が強張るが、それを上回る快楽がその不快感を打ち消してしまう。指が第二関節まで入ったところで指の動きが止まる。そこは前立腺だ。裏梅の指が的確に刺激すると、先程射精したばかりだというのに肉棒は元気よく反り返り、我慢汁を垂れ流す。

「待ち侘びているようだな...私の雄を」

裏梅は指を引き抜き、自分の肉棒をあてがう。

「行くぞ」

『伏黒』の耳元でそう囁くと、一気に挿入する。

「ッ!?」『伏黒』の身体はびくりと跳ね上がり、肉棒をさらに硬くする。亀頭から根元までを全て飲み込み包み込んだ。『伏黒』の肉壁は裏梅の肉棒をまるで歓迎するかのようにきゅうきゅうと絡みつく。その感覚に裏梅も思わず声を漏らし、熱い吐息をこぼす。

「ん……ふっ」

裏梅は腰を動かし抽挿を開始する。ゆっくりと、しかし力強く、己の肉棒を『伏黒』に覚えさせるかのように。その抽挿に合わせるように『伏黒』の口から嬌声が漏れ出す。

「あっ、あ……」

裏梅の亀頭が前立腺を押し上げるたびに『伏黒』は身体をびくりと痙攣させ、肉棒を硬くする。その反応に裏梅は僅かに口角を上げると、執拗にそこを攻め立てる。

「どう、だ……ここが気持ちいいのだろう?」

裏梅の亀頭が前立腺を刺激するたび『伏黒』の身体は快感に震える。反応したくないのに身体は勝手に感じてしまっているのだ。そんな『伏黒』をあざ笑うかのように裏梅はさらに強く腰を打ち付ける。そして抽挿を止めないまま耳元で囁く。「どうした?随分苦しそうだな?」

『伏黒』の肉棒は裏梅の下腹部に挟まれ、その刺激で再び射精寸前まで高められている。裏梅はそのことを指摘しているのだ。

「イきたいのだろう?我慢せず果ててしまえ」

裏梅の言葉にも、『伏黒』は蕩けた表情で僅かに首を振るのみ。だが裏梅はそれを許可と受け取り抽挿を激しくする。その動きに前立腺がより強く押し潰され、亀頭がさらに奥へと侵入していく。前立腺を何度も激しく突かれ『伏黒』の身体が弓なりに反る。

「っ、あ……イく……ッ!」

裏梅の肉棒が『伏黒』の前立腺を押し上げた瞬間、『伏黒』は我慢の限界に達して精を放つ。裏梅もほぼ同時に果てると、身体をビクンと震わせながら『伏黒』の中に射精する。

(まだだ)

裏梅は絶頂のさなか、さらに腰を打ち付ける。肉棒が抜けるギリギリまで腰を引くと再び一気に挿入する。『伏黒』の前立腺が裏梅の亀頭でゴリッと押しつぶされる。

「ッ!?」

再び訪れた快感に『伏黒』は身体を激しく跳ねさせる。射精後の敏感な身体に容赦なく快楽を叩きこまれ、思考が追いつかない。

裏梅は構わず抽挿を続ける。一度出したことで余裕が出来たのだろう。今度はペースを落とさず、しかし丁寧に前立腺を擦り上げるようにピストンを繰り返す。そして僅かに腰を浮かせると、浅いところにある弱点をピンポイントで擦り上げるように角度を変える。

「ッあ!や、めろ……っ」

裏梅の肉棒が前立腺を擦るたびに、『伏黒』は身体をひくつかせて声を漏らす。裏梅はその反応に嗜虐心をくすぐられる。肉棒で前立腺を擦りながら裏梅は『伏黒』の首筋に舌を這わせる。そして耳元で囁く。「いいぞ、その声だ」

裏梅は再びピストンを始める。『伏黒』の弱点を執拗に攻め立てると、それに応えるように肉壁がきゅんと締まる。

「気持ちいいのか?私のモノをこんなに締め付けて……浅ましい奴だ」

裏梅の言葉に『伏黒』は心の中で違う違うと否定するが、身体は正直に反応してしまう。何度も精を放ち萎えたはずの肉棒が再び熱を持ち始める。

「ん……また、硬くなったな」

裏梅の言葉通り『伏黒』の肉棒は徐々に硬度を取り戻しつつあった。それを感じ取った裏梅は笑みを浮かべ抽挿を激しくする。『伏黒』はもう抵抗する気力もなく、与えられる快楽に身を委ねるしかなかった。

「もうっ……無理」

「逝きたいならイケ。逝け。私のモノで果てろ」

『伏黒』は裏梅の言葉に促されるように射精し、裏梅も再び熱い精を注ぎ込む。

「っ……ふ、う……」

絶頂の余韻に浸りながら、裏梅は『伏黒』から魔羅を抜き、虚な目で虚空を見つめる『伏黒』の顔を優しく撫で、耳元で囁く。

「これでお前は私のものだ。飽きるまで遊んでから...じっくりと宿儺様を引き出してやる」


「はいカーットォ!!」

🎬

「〜〜〜〜〜〜〜〜ッ」

「いつまで笑っているんだ貴様!」

「い、いやあすまないね。長年生きてきたが、顔馴染みの痴態がこうも愉快なものとは思っていなかったんだ...くははっ」

未だに腹を押さえて笑い転げる羂索は捨て置き、裏梅は宿儺へと視線を移す。

「呪力の振れ幅が5割を切った。伏黒恵め。だいぶ堪えたようだな...ケヒッ」

力を取り戻しつつあることに喜びを見せる宿儺は、不敵な笑みを浮かべて立ち上がる。

「手間を取らせたな、裏梅」

通りすがりに裏梅の頭に手を置き、宿儺はそのまま階段に足をかける。

「雄としての尊厳を、純潔を穢され、そのザマを嘲笑され、そして最後に姉を手にかけさせれば、金輪際戻ってくることはないだろう」

「あ、私の反応も想定内だったんだ」

「万のもとへ向かうぞ、羂索」

「はいはい。点(ポイント)はちょーだいね」

去っていく宿儺を見送ると、裏梅は料理の支度を始める。普段は料理の時は料理に集中しているのだが、今回ばかりは先の体験のせいで思考が纏まらなくなっている。

宿儺と交わったのは初めてではない。しかし、自分が挿入したのは初めてだった。

そう。今更ながら、今日抱いたのは伏黒恵ではなく、両面宿儺その人。

敬愛する主を貫いたというその背徳感に感じ入ったのか。

「〜〜〜〜〜ッ!!」

裏梅はかつてないほどに顔を真っ赤に染め上げ、再び精を取り戻していく魔羅と共に羞恥心に身体を焼かれ、今すぐにでも床をゴロゴロと転がり周りたい衝動に抗いながら、主人の夕食の支度に取り掛かるのだった。



ーーー羂索が操る呪霊の背中。

「しかし伏黒恵になりきってアダルトビデオみたいな撮影をするだなんてきみらしくない発想だね。誰かの入れ知恵?伏黒恵の記憶ってわけじゃないと思うけど」

「以前、五条悟が小僧の特訓に見せていた大量のDVDの中から幾つか参考にした。アレを見せたら特に屈辱を与えられると思ってな」

「へえ。どんなDVD?」

「パロディAVだ」

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