死ぬなら好きに
やっほーアル中やっほー!!アルコール中毒者な柘ちゃんやで!!
今日は俺の生死感について語ってくで!
ゆっくりゆったりダラダラとしてってな!!
まず前提として俺は急性アル中で死ぬぜ!!
今はもうそれ以外の死に方は考えてないぜ!!
んじゃ、この前提を覚えて見てってくれよな!!
「はー、さぶ……」
それはとある冬の日だった。寒い寒いと手を擦る女の子の頬に缶が当てられる
「ひぇっつめてっ……こーいう時ってあったかいのがマストじゃない?」
と、その女の子は文句を言いながら缶を受け取る。
「え〜?そうなん?俺、そこらあんま詳しく無いんよね〜」
頬に冷たい缶を当てた男の子はからからと明るく笑って、女の子へ手を差し出した
「……?なにその手」
「ん〜、行きたい場所あるんよ。一緒行かん?」
「あ〜……うーん、まぁ良いか。行く!」
女の子は鈍感なのでなんで急に手をこっちに……?みたいな反応をします。
男の子の方が説明すると、女の子は少し悩んでから差し出された手を取りました。
「ところで、行きたい場所って?」
「俺ん家〜!楽しいから来て欲しい!」
「えっ、家?!そんな、早く無いかなぁ?」
きょとんとした感じで質問をする女の子、女の子はよく質問をする。無知は罪だと知っている。だが自分で考えようとすることは少ない。男の子はまた質問に答える。女の子はまた無知故の質問をする。
「せやか?もう日ぃ沈みかけとるし、結構遅いと思うで」
「そういう意味じゃ……まぁ良いや。行こっかじゃあ」
「……俺が、案内する側やからね!カッコつけさせてよな!」
その言葉にくすっと肩を揺らして、さぁどうだろうね。カッコつけたいならちゃんとカッコよくエスコートしなよ。と言いながらようやく手を取って立ち上がる女の子。
「……善処するわ」
「ふはっ、もっと自信ありげに返すと思ってたのに、そんな返しするんだね」
「だっ、て……しょうがないやん……」
そっぽを向いて、カッコよくエスコートとはかけ離れた感じで手を引っ張る男の子。耳真っ赤、まぁ寒いからってことにしてあげるか。と、ニコニコ、にまにま?しながら手を引かれる女の子。今日は、君の手を取れた記念日。
「そういえば君の家って何処なの?」
「ん〜?……あっち側。結構近いで〜!」
暮れかけている日の方を指差し、きゅっと手の結びをさりげなく変える男の子。ふーん、まぁそこまで歩かないなら良いけど。と言いつつ、男の子の自分よりも少し大きな歩幅に合わせて時折ぱたぱたと走る女の子。それは微笑ましい、日常のひとときであった。
それが
「まさか、こんなことなるなんてなぁ……」
そこには、女の子の頬に触れた冷たい缶を左手に、逕キ縺ョ蟄舌謇矩ヲを右手にもった小さな、小さな子が居た。
「ま、ええわ!切り替えてこ!確か家帰る途中やったよな!」
「家、どこやっけ。忘れてもぉたわ……はは……」
右手の謇矩ヲを膝に置き、左手のずっと手で握っていた為生温くなってしまった缶をぱきゃっと開ける。
「んぇ……にが……」
アルコールの香りが鼻に広がり、にがーい味がぱちぱちと口の中を満たす。
「あー、こぇがおもいれの味になるろか〜」
ぱやぱやーっとした口調で、缶の中身をぐびぐびと飲み進める。因みに未成年鬟イ驟は犯罪ですやめましょう絶対についでに煙草もやめましょう。
「ん、ん〜……ふぁ〜……明日にはお母さん達でも探しにくるかな。」
小さな子はそう呟いて、コンクリートの上に寝転がった。
明日、いや、今から何が起こるかも知らずに呑気に眠るのは……とても、間抜けだった。
「ん、あ……さ?まぶし……ってて、あー、体が痛い……」
よっ、せっ!!と勢いをつけて起き上がる。どうしてあんな所でこんな時間まで眠れるのだろうか。
「っあ、れ?」
起き上がった途端に、顔に影がかかる。上を見ると、人が居た。
やべっ、と缶といつの間にか膝からコンクリートに落ちていた逕キ縺ョ蟄舌謇矩ヲをバッと掴んで、日が出ている方向へと走った。
はっはっと、自分の息が上がるのがわかる。心臓がばくばくとなる。あの人達は、刃物を持っていた。
「死にたく無い……」
ひゅ、と喉を鳴らして、ぼろぼろと涙を流す。
「死ぬなら、死ぬなら……最後くらい好きにやったらぁ!!」
その台詞をから切りに、小さな子は走るのをやめた。追ってきている足音から、場所を把握する。相手の場所を把握する。相手の手から、刃物を奪い取る。刺す。
「っ、は……しんでもうた。こんな……簡単に?気絶くらいで、済むかと……」
「まぁ、ええわ。こんくらいで死ぬほうが悪い。」
「この程度で死ぬ奴らなら、好きにしてまお。」
刺した刃物と抜く。血が自身にかかる。死体を切り刻む。
「こわい、なぁ……」
逕キ縺ョ蟄舌謇矩ヲをきゅっと掴んで、怖い怖いと言いながら死体を切り刻み続ける。
「ふ、はは……お、終わり。終わりかな。これで」
ざくざくと、元が何かもわからなくなった物を靴を履いた足で踏み荒らし、その上に缶を置いて燃やす。靴は脱いで、左手に持つ。そして謇矩ヲを抱く。
「んふふ、かんかん、アルコールってやつや多分。これが思い出の味なるんか〜……まぁええわ、好きに、好きに生きてくか〜……んはは!!」
死を恐怖して、人に死を送り、そこから好きに生きようと思う。そんな、不思議な日だった。
「ま、死ぬんならアルコールで死ぬわ!」
「死ぬなら好きに、ってな〜!!」