歪みきった船長
1「ん?何見てんだ?お前ら?」
「お!ルフィも見るか?今からプリンセスウタの配信が始まるんだ。」
「……………ウタ?」
「ん?…お!始まるぞ」
『みんなー!また会えたね!ウタだよー!』
………………
『はい!じゃあ今日の配信は終了!また会おうねー!』
「はぁー…相変わらず可愛いなー❤️ウタちゃんは❤️」
「それはよくわかんねぇけど、おれ!ウタの歌!好きだぞ!」
「その気持ち、わかるぜ…チョッパー……?どうしたールフィ?」
「んん?ああ、何でもねぇ!ししし!」バタバタバタ
「随分嬉しそうだったな…まさか!ウタちゃんに惚れたんじゃ…!」
「「ないな/ないと思うぞ」」
「……そうだな……じゃあついでにあれにつ「待て待て待て!」おっと、悪りィ…」
「どうしたんだ?ウソップ?」
「いやぁ何でもないぞうん」
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船を駆け回りながら、嬉しそうに呟く。
「ウタ…生きてたんだな!良かったー!」
うるさいとナミに叱られたりもしたが、思う存分喜びを表現していた。
最終的にはサニー号の船首に座り、笑顔で過ごす。
その笑顔もすぐに消え始めてしまうのだが…
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その日の夜、ルフィはウタが無事だという喜びから中々寝付けなかった。
「寝れねー…暇だなぁ…」
そう呟きながら甲板に出てくる。
「んーーーー………ん?何だ?」
甲板に放置してある電伝虫が光を放っている
「もしかして!ウタか!こんな時間でも配信?してんだな!」
そうして映像を見てみる。見てしまう。
「あっ!やっぱり……ウタ……?」
そこに映っていたのは歌を歌う思い出の少女ではなく、息を荒げながら、自らの痴態を曝け出す“女”がいた。
「…………………は?…………」
現実を直視できないまま、時間がすぎる。
とりあえず他の誰にも見られないように移動する。
その“女”はほぼ裸のような服を着て、自らの胸や秘部を露出しながら踊っていた。
何が起きているのか理解できない。理解したくない。
「それじゃあ今日の配信はおしまい♡バイバイ♡ウタカタでした!」
映像が途切れる。ようやく理解が追いつく。
「…………何やってんだよ…ウタ………!」
怒りながらも、自分の中の性が目覚め始めたことにルフィは気づいていた。
しかし…自分の目が澱み始めていることに……ウタを見る目が昏い感情を宿していることにルフィは気づかない。
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『…………ウタカタだよー♡今日はね♡…………』
『シコシコシコ…………どう♡気持ちいい♡…………』
『さん♡……にぃ♡……いーち♡……ぜろ♡……ふふっ♡……いっぱい出たね♡……』
「ウタ………!ウタ………!………うっ!」
あの日からルフィは自らの性を発散することを覚えた。
初めは気持ち悪さから見ることさえもしたくなかったが、数少ないウタとの繋がりなので毎回見ていた。そして、自らの欲を画面のウタに向けていた。
「うっぷ…おえぇ……はぁ…はぁ…うぷ……」
欲をぶつけた日には毎回吐いていた。
恩人の娘。新時代を誓い合った幼馴染。
その綺麗な思い出を自らが汚すことに異常な嫌悪感があった。
「ちくしょう…ちくしょう…ぐす…したくねぇのに…我慢できねぇ…」
ルフィの欲は一度出した程度では全く治らなかった。
むしろウタを見るたびに欲が溢れてきてしまい、歌の配信すら見ることがキツくなっていた。
「サンジの本見ても全然出ねぇのに…何でよりにもよってウタなんだよぉ…」
その欲はウタ限定のものであることに、ルフィはまだ気づかない。
自分の目の澱みが深まってることにもルフィは気づかない………
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「あぁ…今日も始まった……?……なんか変だな…?」
配信が始まったが、ウタの顔色が優れない
「だいじょう『私ひどいことされちゃった…ハァ…どうしようみんな…』…………え?」
『私のこの配信を知ってたみたいでね…嫌だ…やめて…って私は言ったのに強引にされちゃったよぉ…ごめんね…みんな…』
無理やりされた?どういうことだ……
ウソップとサンジが持っていた本で調べてみる。
そこには泣き叫ぶ女と笑みを浮かべた男が載っていた。
「……………………」ドン!!
無意識のうちに覇王色が漏れ出す。
「…………どこのどいつだ………!」
怒りが声になり、漏れる。そこにーーーー
『あっはっはっはっは!ごめんね!みんな!ひどいことされたなんてウソだよ!…ア…連絡船の人が襲ってきたのは本当だけどね!いやーびっくりだよねー。…ンン…なんかね、私に“教えて”くれようとしたみたいだよ!そんなことしなくても全部知ってるのにねー…ハァ』
『いやーまさか海賊以外であんなことをしてくるなんて…ん…驚いたなぁ…あ、ちゃんとその人は海軍に引き渡されたよ…フゥ…ああいう人は放っておいたらまた同じことするかもしれない…アン…からね。』
というネタバラシがあった。
それを聞いて、覇王色が収まる。
心も落ち着いていく。しかし、すぐさま荒れ始める。
「無事で良かった…けど………いつウタがまた襲われるかもわかんねぇよな…だったら………そうなる前に…………ウタを襲って、攫っちまえばいいのか…?でも…どこにいるんだ…?…………シャンクス達は確か………音楽の島って言ってたよな………ブルックに聞いてみるか………」
普段のルフィからは考えられないほど、頭を回転させ、そう結論を出す。
「すぐに迎えにいくからな…ウタ……待ってろよ………」
その目は完全に澱みきり、怒りと狂気に染まっていた…………
なぁ…ブルック…音楽の島っていったらどこだ?
エレジア…エレジアか…ありがとなブルック!
なぁ!ナミー!エレジアってこっから行けんのか?
頼む!大事なやつがそこにいるかもしれねぇんだ!会いに行きてぇんだ!
……ほんとか!ありがとう!ナミ!
男は頼りになる仲間の力を借りて、音楽の島エレジアに向かう。
「待ってろよ…ウタ…」
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その後、色々ありながらもエレジアにたどり着いた。
今現在のルフィはウタの部屋に向かっている。
「もう少しでバレるとこだったなァ…流石はゾロだな!」
でも詰めがあめェ……
そうしてウタの部屋に入ろうとする。そこで…………
「うーん…そうだ!酔っ払ったフリしよう!」
警戒をさせないために小賢しい真似を思いつく。
「うえ…酒臭…まあいいや……今行くぞ…ウタ……」
ガチャン!
「うたー!今日いっひょにねようぜー!」
「ちょ、ちょっとルフィ!いきなり入って……お酒臭!」
「飯食った後に飲み過ぎちまってよ!だーれも相手にしてくれねぇんだ!だから昔みたいに一緒に寝ようぜ!」
「わかった!わかったから!先ベッド行ってて!まだ私やることあるから!」
「………………おう!わかっはー!おやすみー!」
想像よりも遥かにあっさりとウタはルフィを受け入れた。
「流石に無防備すぎんだろ………」ボソ
ベッドに向かいながらそう呟くルフィ
そして、ウタの匂いのするベッドに転がり、すぐさま寝たふりをする。
「…………流石にルフィがいるのに……いや…これは…これで…」
「そうだよね…みんな待ってるはずだもんね…よし!」
「みんなー…こんばんは…ウタカタだよ…」ボソ
「今日はね…………あんまり大声出せないから囁きながら、みんなのやつシコシコ♡してあげる…。私がいいよっていうまで耐えてね♡…」
ウタの声だけで自分の欲が昂るのを感じる。今か、今か、と体が震える。
「そろそろいいかなー♡5秒前♡…ごー♡…よーん♡…さーん♡…にー♡…いーち♡…………ふー♡……ぜろ♡…ぜろ♡ぜろ♡ぜろ♡………ビュッビューっていっぱい出た…?」
その言葉が終わる前に上着を脱ぎ捨て、上裸になる。
そして、その時が来る。
「じゃあ、今日の配信はここまで…またーーーー
そのままウタを押し倒した。
そして、めちゃくちゃに抱き潰した。
痛がっても嫌がっても、自分の欲をぶつけ、ひたすらに抱き潰した。
自分から快楽を求め始めるまで、求め始めてもひたすらに抱き潰す
もうこんな配信ができないように。
もう他の男に襲われないように、奪われないように。
ウタを自分の”もの“にするために……
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朝、ウタのベッドの上。
隣で眠るウタを見つめるルフィ。
その目から狂気は消え、ただただ愛おしいものを見るような目をしていた。
「無理させてごめんな…ウタ……」
「…………」スースー
ルフィが凶行に及んだ理由はいくつかある。
一つ目はウタに対して、自分の欲をぶつけたいと思ってしまったこと。
二つ目は他の奴らに奪われるくらいなら、先に奪う(自分の”もの“にする)と決めたから。
三つ目は……寂しそうに歌うウタを救世主なんてものから解放するため。
幼い頃のウタを知っているルフィからしたら、あのウタは全く嬉しそうじゃなかった。義務感でみんなに届けるために歌を歌っているように見えた。それが気に食わなかった。
「もう…救世主なんてしなくていいんだぞ…ウタ…」
再び目に狂気が宿ってくる。
あの配信を見た日からルフィの見聞色は凄まじい成長を果たした。映像越しや文章からでも、その人物、存在の感情を読み取ることができた。
それでウタの感情を読み取った結果………
さみしいさみしいさみしいさみしいさみしい1人は嫌さみしいさみしいなんで置いてったのさみしいさみしい誰か私を見てさみしいさみしいさみしい私がやらなきゃさみしいさみしいもう逃げたいさみしい必要とされたいさみしいさみしいごめんなさいさみしいさみしいさみしいさみしい邪魔しないでさみしいさみしい1人は嫌さみしいさみしいなんで置いてったのさみしいさみしい誰か私を見てさみしいさみしいさみしい私がやらなきゃさみしいさみしいもう逃げたいさみしい必要とされたいさみしいさみしいごめんなさいさみしいさみしいさみしいるふぃさみしいにげたいさみしいるふぃ
ほとんどがさみしいで埋め尽くされていた。
だからこそルフィはウタの全てを壊し、奪った。救世主なんてものから解放するため。
だが………その思いが本当にあったのかどうかは、もはやルフィ自身しか…いや…ルフィ自身すら知らないかもしれない………
なぜなら今のルフィは…ウタを手に入れられたことに対する喜びの感情しかないのだから。
「これでもうさみしくないよな…ウタ……ずっと一緒にいような…?」
再び澱んだ目に歪んだ愛情を含みながら、そう、つぶやくのであった。