歌姫 戦場に帰還する

歌姫 戦場に帰還する


「見、見ないでぇぇえ!」


ウタはもはや悲鳴に近い声でルフィに叫ぶが既にルフィはウタを見据えていた。ルフィと目が合った途端ウタの顔は一気にカァーッと赤くなり風の様に早く駆け岩陰へと隠れていった。


「わ、悪ぃウタ!」

ルフィがウタが隠れている岩の方へそう叫んだ。それを耳にしたであろうウタはひょこっと顔を出しルフィを見、ムスーッとほおを膨らませた。


「ルフィ!分かったからイッカクさん呼んできてよ。この格好じゃそっちに行けないよ」


ハートの海賊団唯一の女性クルーのイッカクはすぐにウタの所に来てくれた。

ルフィの話を聞きウタの事情を知ったイッカクは自分が和のクニに潜伏する上で使っていた着物をウタに渡してくれた。黄色をベースとした胸元に桜の花びらが所々散りばめてるような柄が描かれている服だった


(ちょっと小さい頃着ていた服に似てるなぁ)


ウタは体を右へ左へ身体をうねりながら着ている服を眺めそう思った。

これでルフィ達の前に出られる。ウタは岩陰からイッカクと一緒に出た

再び現れたウタを見たルフィは途端にポカンと口を開けそれを見たウタはフフッと握り拳に空気を入れるように笑いを溢した

「な、なんだよウタ」

そんなウタにしどろもどろとなるルフィ。ハートの海賊団の一同が信じられないと言うような目で彼を見る視線の中に入るようにウタは駆けつけルフィの顔を間近でジィーっと見つめた


「別に〜?ルフィのそんな顔滅多に見ないから珍しいなぁーって」


ウタはそう言ってクルッと片足を軸にして一回転し両手をあげ口を開こうとした時だった


「カ、カイドウだ!!」


ハートの海賊団の誰かが言ったか分からない。その言葉でハートの海賊団達は一気に警戒態勢に入る中その中心にいたルフィとウタの二人はゆっくりとそちらへ見た。そこにいるのが誰なのか最初から分かってるかの様に自然とそこにいた者に話しかける


「モモか」

「モモ君ね!」


二人の目の前には桃色の巨大な龍が悠然と大地に佇んでいた。


「いかにも」


桃色の龍改め、モモの助は先とは違い低く、それでいて威厳を感じられる声を放っていた。


「さっきのガキが!!?」

「どういう事だ!?」


モモの助の答えに驚くハートの海賊団一同。それを横目に振り返っていたウタはルフィの側でらしくなく泣きじゃくる、しのぶを見やる


「これがわたすのジュクジュクの力……!ウタには…21歳のお姿に……そして、モモの助様のご希望により……!!これは28歳のお姿!!!」


「そうか、だからウタも大人になってたのか。そんなこと出来たんだな」


ルフィがそこまで言うとしのぶはより一層深くうぇーんと泣き始めた。


「すっごく泣いているね、どうして?」

「だって!!だって!!そのお姿は……!」

ウタがしのぶがなぜ泣いているか聞いているその横でルフィはニィッと笑った


「行くぞモモ!!『ワノ国』取り返しに!!!」

「おう!!」


そしてルフィはウタに視線を配ると互いに頷き合い共にモモの助の背に飛び乗った。


「よし行けモモ!!飛ぶんだ!!」


しかしここで一つの問題とぶつかってしまった。モモの助は飛び方を知らないままだったのだ。背中に翼があれば見慣れてる鳥の飛び方をトレースすれば良いが龍にはどこにも翼がないのだ。


ならば人力でとルフィはフリースローの要領でモモの助鬼ヶ島へ投げ飛ばそうとするが当のモモの助は目をつぶったままだ。


「ぬぅぅううう!」

「もっと気合いを入れろ!!その為に大人になったんだろ!」

「ぐぅううううう!……ダメだ!どうしても出来ぬ!」

「根性出せ!ウタとの約束を破る気か!!」

「!!ウタ……!」


薄目に気味になっていたモモの助の龍の瞳が上へ向くとウタが映った。モモの助の角の間にいるウタは両手から五線譜を出し地面に突き刺しパチンコの要領でモモの助の出発のサポート体制に入っていた。


「あぁ!!そうだったな…!よしルフィ、ウタ!思いっきり頼む!」


「よし!行くぞウタ!」

「うん!行くよルフィ!」

二人に掛け声はいらなかった。ルフィがモモの助を投げ飛ばすのと同時にウタは五線譜を思い切り引き寄せた。


「飛んだぁぁぁ!」

「「行っけぇえええ!!モモ(君)!!」」


モモの助の龍の体がギュンと空へ投げ飛ばされそのまま鬼ヶ島へと一直線へ駆け上がり始めた。


「おおぉっ!早ぇ早ぇ!これならすぐ追いつけるな!」


「ん?ちょっと待ってモモ君!少しズレてるよ!もう少し左!」


「!?ムゥ!左でござるか!」


ウタの指摘にモモの助は身体を少し左へうねらせ軌道を修正する。モモの助の身体はそのまま鬼ヶ島の周囲を囲んでいく


「いいぞモモ!!鬼ヶ島に追いついた!そのまま屋上へ迎え!」


真下にある鬼ヶ島をジッと見ルフィはモモの助に命令する。しかしモモの助はそのまま天空へと駆け上がり鬼ヶ島から離れ始めていった


「違うよモモ君!下!下へ行って!」


モモの助はやや混乱しながらもウタの指示に従い急降下し始める


「おい!そこじゃない!!お前目ぇ開けてんのか!!」


「目を開けていたら飛べてないでござる!」


「「えぇ〜〜〜!!」」


モモの助の頭はそのまま鬼ヶ島の外壁を突き破り内部へ飛び回り始めた


「落ち着いてモモ君!目を開けて!!」

「無理でござる…!目に何か入って……!」

「ずっとぶつかっているからだろぉ!?」


その時だった。ウタの脳裏にウソップとナミの二人の悲鳴が響いた。咄嗟にウタはルフィの方を見た


「ルフィ!!」

「あぁ任せた!行ってこい!!」


船長の声援と共にウタはピョンとモモの助の頭から降り長い長い廊下を駆けていった



「テメェら…………さっきなんて言ったか…もういっぺん言ってみろ……」


「ギャー!ギャー!」

目の前にいる敵にウソップは手に持つ黒カブトを構えながらも尻餅をついた

「嘘でしょ…どうしてまだ立っているの…!」

ナミは震えながらもお玉をギュッと抱きしめ敵から盾になるようにその敵へと背を向ける。

そんな二人の目の前に現れたその敵の名前を側にいた背中からキリンの首が生えそこからそのままキリンの胴体が生えているなんとも奇妙な身体を持つハムレットが呼んだ


「ぺ、ページワン様ぁぁぁぁ!!?」

ビッグマムの拳にそのままノックダウンされた筈のページワンがスピノサウルスの姿でノッシノッシと近づいていった。

「鼻の長いの……さっきお前大声で豪語してたそうだな、『ニ砲狩り』ってよ……」


ページワンの問いかけにウソップは黒カブトの照準をページワンに向けながらコクコクと頷いた。


「……やっぱりそうか。姉貴の野郎やられやがったか…」


フゥーフゥーと息を切らしながらページワンはそう言いギリッ!と音を立てて歯軋りをした


「覚悟はできてんだろうなぁお前ら」


ページワンがドシンドシンとウソップ達へ走り出したと同時にウソップは仕掛けた


「緑星!竹ジャベリン!」


こちらへ向かって走るページワンが踏むであろう地点にバンバンと植物の種を放つ。

着弾した種はすぐ様急成長を遂げその名の通りまるで槍の様に尖った幾多の竹が地面から突き上げるかの如くページワンに襲いかかる。

「ヌゥゥンッ!!」


しかしページワンはコマの様き回転し尻尾の薙ぎ払いで一気に竹林を薙ぎ倒していった。


「スピンノザウルス!!!」


障害物がなくなったページワンはワニの様に大口を開けそのまま再びウソップたちの方へ走り出した


「ヤベェ避けろ!!」


ウソップの叫びと同時にナミとウソップは左と右へと飛んだ。間一髪ページワンの初激から逃れることは出来たが避けようと飛んだ勢いでナミの腕からお玉がすっぽ抜けてしまった。


「お玉!!」


ナミの腕から抜けたお玉は運悪く廊下を転げナミとウソップからも離れてしまった。


「まずお前からだ小娘ぇ…」


それに目にしたページワンはお玉に狙いをつけるとそのまま再び突進するかの如く駆け出した。そんなページワンにウソップは先のウルティとの戦いの際一時の撹乱のため彼女に放った緑星 サルガッソを放つ。しかしページワンは身を伏せてそれを交わした。


「くたばれ小娘!!」

ページワンが勢いのままお玉を噛みちぎろうとした瞬間


「ウタウタのぉおお!盾!!!!!」


突如五線譜が現れページワンの大口の中の歯に挟まった。


「皆!!!待たせたね!」


五線譜の両端からまるであやとりを抜き取るかの様に指を離しウタは左手でお玉を守るようにあげ、そしてウソップとナミに見える様に右腕を挙げた


「ウタだよ!!」


「えっ、ウタ…?」

「えーー!」


ウタの名乗りにウソップとナミは目を凝らし2〜3度確認し驚愕の叫びをあげた


「えぇ〜〜!ウタちゃんでやんすか!?」


それはウタの背後にいたお玉も同様だった。ウタはそんなお玉の方へ振り返りニッとはを見せて笑いかける。


「ウタだよ!お玉ちゃん、後は私に任せて!」


最後の言葉をウソップとナミにも届く様に大きな声で言ったウタを五線譜の拘束が切れたページワンが睨みつけた。


「クソォ、チョロチョロしてたあのガキか…見ないうちにデカくなりやがって。俺と戦うって言うのか?」


「うん、そうだよ!麦わらの一味の通信士、ウタが相手になるよ!」


Report Page