【橙色の純粋なお願い】
Part17 - 175「───人を美味しく食べているとですね、たまに思うんです『アァこの人は幸せだな、幸福だなって』」
「だったそうじゃないですか、美味しい料理として食べる人を感動させた上に、その人の血肉になれるんですから」
「死して尚も、その人の中で輝いているんですから」
「だからですね、私も思うんですよ"どうせ死ぬなら美味しく食べて欲しいな"って」
「でも私って生まれつき身体が特殊ですから、私を美味しい料理に出来そうな人ってと~てもっ限られると思うんですよ!」
「出来そうなグレタさんも最近会えてませんからね、というかそもそもの話で死んだあと死体が残るのかすらも分からない職場ですし」
「仮に残っても、その他大勢のお肉として纏めてハンバーグとかはちょっと……ほら仮にも特色ですし、このくらいのワガママくらい言っていいと思うんですね」
「──となると、"私を美味しく調理できそうで"」
「"海"の最中で死体を回収できるくらい”強い人””で」
「で……あと出来れば”知り合い”にして貰えたらイイかな、と」
「……どう思います…?」
自慢の橙色の髪を揺らしながら恐る恐る尋ねれば、白い彼はただ一言だけ呟いた。
「話が長い」
「ゲンパクさんよりは短いです!」
「……結論から言え」
真っ白い彼が溜息を深く吐く。
綺麗な刀を携えたその姿はまるで熟練の解体屋さんって感じがして、赤が本当に似合うんだろうなって感じで、やはりこの人だなってビビッときた自分の直感を褒めながら、私は意を決してお願いしたいことを口にした。
「──ゲンパクさん、私が死んだら美味しい料理して食べてくれませんか!?」
「帰れ、逝かれ女」
「他の人に食べさせるでもいいです!!!」
「帰れ、ねじれ女」
「ゲンパクさんよりはストレートに生きてます!!!」
「今ここで料理してやろうか」