杯達に空の色を
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「ほぇ、これが痛覚共有の感覚なんだ。…うん。お兄さんの痛み、ちゃんと伝わってくるよ。肩代わりまではしてあげられないけど、一緒に背負ってるって考えるとちょっと嬉しい」
そう言って、マスターさんの腕の中に飛び込む。そのままマスターさんの首に両手を絡めて、いつものようにキスをした。
ちゅっ、と触れる唇と唇。舌が絡み合って、すごくえっちな気分になる。
「…イリヤ。…ありがとう」
「ほえっ?」
「オレのために色々考えてくれて、オレの心を癒やそうとしてくれて、とても嬉しいんだ。これは、そのお礼」
「お兄さん…」
ああ、やっぱりマスターさんはかっこいいお兄さんだ。
───
「っ…イリヤ…!」
「あっ、はぁっ♥ お兄さぁん♥♥」
お兄さんが、わたしに多い被さりながら必死で腰を振っている。無我夢中って感じでかわいいな、って思った。
「わたしのこと、もっと好きにして良いんだよお兄さん♥ ずぷぅっ♥ ってして、どぴゅぅぅっ♥ ってして良いんだよ♥」
「はっ、ぁ…!」
しっかりした作りのベッドがギシギシ鳴ってるのが聞こえる。お兄さんのおちんちんがわたしのおまんこを貫いて、自分の色に染めようとしてる証だ。
…わたしはもうとっくにお兄さんだけのものなのに、変なの。
「ぁっ♥ おまんこずどんずどんされるのイイっ♥ お兄さん好きっ♥ だいしゅきっ♥ もっと♥ もっとおちんちんちょうだいっ♥♥」
「イリヤっ……オレも、大好きだよ…!!」
「嬉しっ…嬉しいよぉっ♥ じゃあわたしもクロみたいにしてっ♥ かっこいいお兄さんの奴隷にしてっ♥ どんな命令でも絶対服従するから♥ だから好きにしてぇっ♥♥♥」
「だったら…! 奴隷じゃなくて、オレのお嫁さんになってくれ…!! イリヤぁッ!!!」
脳みそぐちゃぐちゃのまま口から出たわたしの言葉に、お兄さんは完璧な答えを返してくれた。まるで、白馬の王子様みたい…♥
「イリヤっイク、オレもうイクから…!」
「大丈夫っ…! 全部受け止めるからっ♥ だからきてぇ♥♥♥」
「ッッ!! イリヤぁッ!!!」
どびゅッ! びゅっ! ぼびゅ! びゅくッ!!
「ッ……くっ…」
「ほ、ぉ゛っ…♥ …おにいさんのしゃせい、かっこいいよぉ…♥♥♥」
絶頂と同時に、素直な気持ちが溢れ出る。
お兄さんがかっこいいのは、なにも顔や内面だけじゃない。おちんちんも、何なら射精すらかっこいい。かっこいいお兄さんがすることは、なんだってかっこいいのだ。
白濁した熱い精液が、わたしを中から塗り潰すのが分かる。お兄さん色に染まったわたしの心と身体に、その存在がより深く刻み込まれて行くのが分かる。…素敵。
「お兄さん、満足してくれた…?」
「うん、最高だった。ありがとう…」
「…えへへ」
褒められちゃった。嬉しいなぁ…♥
(…あ、いけないいけない。忘れるとこだったよー)
いつもならもう少し余韻に浸っているところだけど、今日はまだやるべきことがある。お兄さんの背中をぺちぺち叩いて気持ちを切り替えるよう促した。
「お兄さん、お兄さん。あっちも構ってあげよう?」
「分かってる分かってる。一緒に行こうか」
「うんっ」
「…と言う訳なんだけど、どうかなクロ?」
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「ぷはっ……そっちがじっくりしっぽりヤッてる間に、こっちは準備万端よ。ではでは、食べ頃ドスケベ魔法少女一名様ご案なーい♥ 今日は大人しくしててあげるから、メインディッシュその2に思いっきり愛をぶつけてやりなさいな、リツカ♪」
「…ありがとうクロ」
お兄さんのおちんちんが、また硬さを取り戻し始めた。その視線の先にいたのは、もちろん…。
「次はミユの番だね、お兄さん♥」
───
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今のわたし……美遊・エーデルフェルトは、有り体に言ってまな板の上の鯉だった。
イリヤの「クロみたくマスターさんと痛覚共有したい」という願望にわたしも巻き込まれた形なのだけれど、まさかそれにマスターやクロ、ルビーのみならず、サファイアまで乗ってくるとは思わなかった。「たまにサファイアもルビー並に変な時あるよね…」というイリヤの台詞をこんな形で実感するとは…。
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「さてさてミユ、リツカのザーメン口移しされながら色々された気分はどう? 最高でしょ♥ これからリツカとセックスして、もっと最高の気分になってから痛覚共有する訳だけど、良いウォーミングアップになったんじゃないかしら♥」
「わ、わたしはマスターと痛覚共有するなんて一言も言ってない! だから、その…!」
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「ぁっ…♥」
否定の言葉はいとも簡単に封殺された。それくらい、わたしの身体は発情していた。
「抵抗しても無駄よミユ♥ …ほら、想像してみなさいな。ミユのココに、マスターとの絆の証をしぃっかり♥ 刻み込むのを♥ それってとっても素敵なことだと思わない?」
「クロの言う通りだよ。ミユもお兄さんと痛覚共有しよ? ミユを仲間はずれにするなんて、ヤだよ」
「い、イリヤ…」
「…だから…♥」
いつの間にか近づいてきたイリヤに耳元で囁かれる。
「ね、ミユ。一緒にマスターさんの……かっこいいお兄さんのお嫁さんになろーよ♥ 大丈夫♥ “リツカお兄ちゃん”は身も心も満たしてくれるよ♥」
「…美遊」
そして、イリヤと一緒に近づいていたマスターに、頬を、撫でられて。
「ぁ…♥」
わたし、は───。
───
「お゛ォッ♥ あ゛ぁああっ♥ これ好きっ♥ 夫チンポすきぃッ♥♥♥ おちんちんお゛っきくて♥ 熱くて♥ おまんこぞりぞりって気持ち良くて♥ おかしくなるっ♥ わたしっ、お゛かしくなるぅぅ゛♥♥♥」
「なっても、良いよ…! むしろなって欲しい! オレのでおかしくなって、オレだけの美遊になって欲しいッ!!」
「ふぇっ? いいのっ? じゃあ、じゃあ♥ おかしくなる♥♥ “立香お兄ちゃん”のお嫁さんになるぅっ♥♥♥ 今のわたしはサーヴァントだからっ♥ オリジナルとは別だからっ♥♥ “藤丸美遊”になってもセーフだからぁッ♥♥♥」
「嬉しっ、嬉しいよ美遊っ! イリヤとクロの赤ちゃんに、同じ種のきょうだいいっぱい作ってあげような! オレの美遊ッ!!」
「ア゛ァっ♥ あ゛っア゛ッあっアっイグイぐイぐイぐ夫婦ラブラブ子作りセックスでイぐぅぅッッ♥♥♥」
───
───最初は、正真正銘イリヤを想っての行動だったと思う。
イリヤの代わりに、わたしがマスターの性欲処理をする。そうすればイリヤは助かるのだと、そう思っていた。
けれど、その覚悟は程なくして薄っぺらい建前に堕した。
…藤丸立香は、努力の人だった。人理という名の命の繋がりを、必死に守ろうとする彼の姿に、わたしはイリヤのような輝きを見出したのだ。そんな尊いものを見出してしまったわたしは、認めるしかなくなった。イリヤやクロはマスターに無理矢理犯されたんじゃなく、マスターと相思相愛になって自然とああいう関係になったんだと。
そうしてわたしは、かつて「クロならともかく、イリヤに手を出すマスターなんて嫌い」と思っていたことが信じられないくらいマスターにのめり込んでいった。
手淫がフェラチオになり、フェラチオがコンドームを用いたセックスになり、いつの間にかコンドームすら消え…。
…最後には、キスを許していた。
男の人との、ファーストキスだった。大切に、本当に大切にとっておいたそれを捧げた理由なんて、ひとつしかない。
わたしは藤丸立香という人のことが、これ以上ない程に大好きになってしまったのだ。
───
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「ぁ…は、ぁ…♥ すごいぃ…♥」
痛覚共有の刻印が、腹部にしっかりと刻み込まれたのを感じる。クロがわたしを襲ったのはこれが理由なのだろう。血液ではなく精液を介して、共有先と繋がる応用版の術式。それにより、わたしは“夫”とより深く繋がっていた。
「…美遊。今更こんなこと言うのは最低だけど、それでもきちんと言っておきたい。…イリヤとクロも含めた三人纏めて、オレのお嫁さんになってください」
「…はい。喜んで」
微笑みを浮かべながら、マスターの背中に手を回す。わたしを満たす幸せが、少しでも彼に伝わるように。
「イリヤとクロ、それにマスターとなら、わたしとマスターの子が神稚児として産まれてきてもきっと大丈夫。わたし達夫婦で、ちゃんと育てていきましょうね、あなた♥」
そう言って、わたしは大切な旦那様に口づけた。