朝の魔王退治
おはよう世界!今日も美しいね!
なぜなら──今しがた太陽が目覚めたのだから!
そう、ボク!!!!!
ハヤヒデさんは……まだ夢の中だね。
昨日も遅くまで机に向かっていた様だし、プレリュードは必要ないかな。
さて、今日は休みだというのに早起きしてしまった。
朝練に出る訳にはいかないし、ここでボクの美しさを語って同居人(メイド)を起こしてしまうのも忍びない。
そうと決まれば太陽の御座に行かねば!朝ごはんにはまだ早いしね!
……トレーニングは休みだから走って行けないのがもどかしい所だけど。
はーっはっはっはっは!朝の神社ほど今日のボクに相応しい場所もあるまい!
静かで空が近い、まさしく太陽の座!
おや、先客が。神頼みかな?しかし尻尾も垂れて元気はないようだね。
トレセンに来る者は皆戦士。ただ神に縋ることはない──これは、人々を見そなわす天への宣言、あるいは対話。
つまりボクとの対話だね!聞こうじゃないか!
やあ石段の上のラプンツェル!こんなに太陽が輝いているのにキミは浮かない顔だね!
太陽ひとつではキミの心を晴らしきれないらしい……ならばボクの顔をご覧よ!!!
ボクは天上の太陽と違い、レースに臨む者でなければその熱を浴びることはないよ。今日は暑いね!
そうだね、キミはまだレースに臨んではいない。怖いかい?
レースはキミの敵ではないが、キミがそれを魔王と呼ぶなら父はキミを守らなくてはならないね。
うん?そうとも、レースはキミを脅かしなどしない。
ボクが世界にそうする様に、キミがキミの走りを魅了した時。魔王はそこにいたかい?
我走る故に我有り……それもまた一つの真理!
ボクたちは生まれつき赤い靴を履いているのさ。それをガラスにするか、脱ぎ捨てて海へ漕ぎ出すか、泡となって消えるかはキミ次第────
………………。
はーっはっはっは!
いない!!!
あっという間に走り去ってしまった!お礼に返事をし損ねてしまったよ!
まあそれも仕方ない。彼女はもうフリードリヒとなったのだから。
さて──おっと、お腹のファーブニルが。ボクもそろそろ戻ってプティデジョネとしようじゃないか!
Mein Vater, mein Vater, und hörest du nicht,
was Erlenkönig mir leise verspricht?
Sei ruhig, bleibe ruhig, mein Kind;
Es ist nur mein knurrender Magen──