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────たまに考えるのだ、私という人間について。

別に自分探しがしたい訳でもないのだがたまに、理由なく、無性に。自分が何故産まれてきたのか、と疑問に思う。これが噂に聞く賢者タイムか……などと爆裂激オモロギャグを交えつつ思考に耽る私だが特に理由や問題があったとは言い難い。というかこの手の思考なぞ普通は中学2年生になったら自動的にするだろう、私はとっくに中学は卒業したのだが……よくよく考えると、産まれてこの方【諦める】事がワタシの普通だったなと思う

「あれが欲しい」

『ごめんね』

「あれをしたい」

『それはやめておきなさい』

「あれが食べてみたい」

『ちょっと難しいかなぁ』

普通の事だろう。人間の、取り分け子供の欲望は際限がない。甘やかせば増長し望めば何でも手に入るなどと勘違いしたまま勝手に身を滅ぼすのだ、周りの人間を巻き込みながら。だからこれは教育の範疇だし、それに勘違いしないで欲しいのだが私もそこまで無茶な事など言った覚えはない。……いや、一度弟か妹が欲しいと言って空気が死んだ事があったし誕生日に万札くれと言ってダメと言われたな。うん、普通にあった。けどさっき挙げた物は結構無難な要求だったのだ。確か、どれもテレビで見た物だったはず

朝八時ごろにやっていそうな特撮の玩具

ピアノかなにかの習い事を始める子供達

行列が出来る最近話題の店のハンバーグ

とかなんとかだったような気がする。いや、随分と前の事なので少々うろ覚えなのだが、大体は合っているはずだし子供が言いそうな事だろう。で、当時のワタシは無意識だかなんだかに思ったのだ。

「何かを望む」とか「何かに挑戦する」

そういうのはしたらダメなんだな、と。全く馬鹿らしいとはこの事だが当時は子供だ、許して欲しい。子供故にあれこれと欲しがりやりたがり親はダメと言うのだ。良くある家庭のやり取りでしかないだろう。まあ数百回くらいやったがな。

えぇ……いや、どれだけ欲望まみれだったんだ当時の私……(セルフドン引き)

ん、んん゛っ!!

話を戻そうか。そんなこんなあって、わたしは諦め癖のようなものがついた。最初は飯だ、あんまりお腹が空かなくなったし味もあまり気にしなくなった。そのせいか良く立ち眩みを起こして一度、栄養失調か何かで倒れたから食べるようになったし納豆だけは嫌いだが。アレを食べるくらいなら箱の方を食べるわ、あと昔から料理動画を見るのは好きだった。

次は服だったか、別に洗濯はしてるんだしと思ってTシャツ三枚とズボン三枚とパンツ三枚の三セットを着回していた。梅雨の日と冬場はそこそこキツかったな、乾かない乾かない。オシャレは今でも良くわからない世界だし、面倒だから仕事はスーツ、家でもスーツ、休日でもスーツだ。スーツって便利だぁ、考えた人は凄い天才なんだろうな。握手したい

それから、物欲?みたいなものか。服に対する執着が消えた事から更に発展したのか物自体もあまり。興味や関心自体はあるのだが……そりゃ、男はいつまで経ってもそういうガジェット的な物は大好きだろう「えっ、それそんな限定的な場面で使うの!?」みたいな物とかな。まぁ「カッコいい」「良い物だ」と思うがそれを自分が欲しいとは思わないな。

あとは…環境とかか?両親と4人の兄姉。私が物心ついた時には殆ど成人済みだったし一番上の兄は結婚してたな。父はナントカ教って宗教に良く顔出してて、母は仕事人間だったからあんまり構ってもらった覚えがない。両親はいつも夜遅くに帰って来て朝早くに仕事と宗教に出かけるから大体家では一人、飯は基本スーパーの惣菜コーナーの物とか弁当が冷蔵庫に入ってる。うん、普通の家庭だな。

最初は構って欲しかったが仕事は大事だし疲れている、ナントカ教も父にとっては大事だったんだろう、子供の俺が何を言おうと意味は無いし構ってもらった記憶が無いだけで大事にはされていたんだろう。多分、おそらく、きっと、自覚などないが、一々愛してるとか言わないしなあの二人。……正直ナントカ教に関しては勘弁して欲しかったが。偉いだとか凄い先生とか言われても子供の時の私は分からんぞ……今でも分からん。あと、わたしの産まれ、ナントカ教の先生に言われたから産んだのかよ、衝撃の事実過ぎるだろう、そういえば〜とか軽いノリで言わないで欲しかった。結構母とワタシどちらも危ない状態での妊娠だったらしいが、決め手は凄い偉い先生の「産んだ方がいい」という一言だったのだとか、良く母もその言葉に乗ったな……。不満がないと言えば嘘になるが別に誰も恨んではいない。大事な決断を任せる相手に足ると二人が判断したのだから私にはとやかく言う資格もなし、そもそもその先生とやらのおかげで産まれたのだからその一言がなかったら私も何も言えず流されていただろうし。これが親殺しのパラドックスですか?よく知らないけど

ナントカ教の教義的な物が束縛的な物が少なかったのが幸いだと思ういやマジで

我が兄姉たちは、まあ良くも悪くも自由人だったし、殆ど家を出て行ってたからあまり会わなかったのもあるが特にこれと言ってプラスとかマイナスの感情が向いてない。ごめん、やっぱ嘘。家の近くの学校だと兄姉たちの話になるのは面倒だった。いや、優秀だったとかそんなこと知らんが?わたしはワタシでしか無いのだから出来ないことは出来ないんだ。許してくれ。心が劣等感でバリバリだぞ

────だから最後に自分を諦めた。どうせ居ても居なくても変わらないのだし。と言うかいるだけで邪魔な存在では?とも思う、多分植物の方がまだ優秀だぞ。

本当に誰も悪く無い、というか普通に私が悪いのだが。さまざまな要因が織り重なった結果か、私はわたしでも良く分からない性格になった。我が強いくせに自主性がない、凝り性なくせに飽き性、熱し易く冷め易い、小さい事は気にするくせに大雑把で、大雑把なくせに細かいことを気にする。だいぶチグハグな性格では?と思うがこんなの普通にいるだろうとも考える。世の中、上には上のヤバい人がいるからなぁ……ホント草草の草。

結局、私のような人間は特殊でもなんでもなくありふれているのだろう、端的に言ってめんどくせー男なだけだしな私、探せば似たような家庭なんて物も見つかるかもだ、絶対に探さないけど。

なんだかんだと過去を振り返り、取り留めのない思考を回している私だがこの行為にも意味は無いし暇つぶしにやってみたかっただけだ。人間が何か行動する時に何かを考えないだろう「思考は後から行動が先」それが私の持論だ。だからか就活の時は凄い困ったな。何故弊社を?とか聞かれても特に興味も無かったが条件が良かったから応募しただけだし、生きていく上で金が必要だっただけで御社の企業理念がどうたらこうたらに共感したとか、そんな人間の方が一握りだろうに。まあ、この手の質問はしっかり準備をして来たかとか咄嗟の判断力やアドリブ力とかコミュニケーション能力とか社会性を見る物だろうから決して無駄な物などでは無いのだろう。私が単に社会不適合者なだけだな!全然、全く、良くはないが、だから友人と呼べる人間が一人も居ないのだ貴様は。この孤独人間め!

で、なんでこの仕事決めたかは……案の定なんとなくだ。特に理由などは無い。

後から考えてみて、強いて言えば代償行為みたいな物だったか、なんて思う。過去の自分が成りたかった物、過去の自分が手放した物。そういう物を子供たちには大事にして欲しかったから、そういう事を子供たちにはして欲しく無かったから。高尚な理由など無い、高潔な精神など無い。状況的にその可能性が高かったからおそらくそう思う、ただそれだけだ

だから、先ずは形から入る事にした。口調を矯正した、表情の出し方を覚えた。身嗜みも面倒だったが、ただ理想的な人になれるように、色々頑張ったりした。

結局のところは何回も試験に落ちたんだが!最後は多分、意地だけだったなぁ。色々やった分、比較的マトモよりな普通の人間に成れたしちゃんと結果が出ているのだから、それで良しとしよう。

ただ、何を考えているか分からないと言われた時はどうしようかと思った。あ、あれぇ??基本ノリと勢いと脊髄で喋ってる考え無しなのを改めようとして、そういうのを隠すために表情筋とか鍛えたんだが……???なしてわかる???私は別に嘘をついてるわけじゃないぞ?多少盛ったり補完して出力を弄っているが全部本心からの言葉と表情なのになぁ。


そんなこんなでやっとの事で受かったら後は業務をこなす日々、慣れるまでキツかったな本当……何回か仮病で休んだのは良い思い出だ、休んだくせに家にいる時も仕事に追われるのはもう二度とごめんだが。残業は平気だが、家に仕事を持ち込むのは好きじゃないんだワタシは。

その日々の間にサブに何人かの娘達を見たが結果は振るわずだった、あの娘達には本当に悪い事をしたと思う。期待を持たせておいてあのザマだ。ワタシは先に死ぬだろうし地獄に落ちるだろうから、どうか天国では、せめてわたしの苦しむ様を嘲笑い無聊を慰めて欲しいと思う。



────それからだ私が彼女に会ったのは似ていると思った。良くも悪くも第三者にあれこれ口を出されるのは嫌いで飽きっぽい性格とか、もろ古い鏡を見せられている状態だった、ココロガイタイ。ただ彼女が私と違ったのは、練習を命令されるとすぐに飽きて放り出してしまう彼女が、いざスイッチが入るとそれこそ力尽きるまで自分で練習を重ねるという粘り強い根性を見せることもある所だ。


SだけどM気質。それが彼女の特徴だ。心の深いところで苦痛を好み……そして解放を望む。

────まあ、そいつも私が言った事になってるらしいな。


いや、断じて言ってないが???ちょっと思ったけど口にはしなかったが???ワタシは真面目な良い人で通っているんだが??風評被害も甚だしいんだが??



結局何が言いたいのかといえば、彼女は私とは決定的に違う、違い過ぎるのだ。全力全開、と。完全燃焼、と。

直向きに、苦しくても一歩一歩、前へ前へと走るその姿に、不覚にも、私は憧れた、憧れてしまったんだ。

あの日、あの時、あの瞬間。

私の全ては、打ち砕かれて。

だから、頑張ろうと思った。

この子を、助けたいと思った。

そうする為に、産まれたと思った

だから、たったそれだけだ。


それだけのことだ。


生徒の為に先生が命を賭ける理由なぞ、それくらい単純な方が良いだろう





まあなんだかんだ言いましたがね、所詮私は朧な水鏡。花が写ろうと、月が映ろうと、移ろうばかりの虚な骸。

いつか、この伽藍堂が一杯になるまで。鏡の花と水の月が本物になるその時まで、私はただ走り続けるだけですよ。






おっなんだかポエムっぽいなコレ!というかモロだ!テンション上がるぞなす!(天下無双)(変な語尾はやめるザウルス)(なんか書いとけシン)(ワッカ!!??)







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