書き出し
--兄貴ってのが…どうして一番最初に生まれてくるか知ってるか…?
--後から生まれてくる…
--弟や妹を守るためだ !!
オレンジ髪の少年が身の丈近くある刀を異形の存在へと振り下ろし、そう言った。
赤子は温かな微睡みの中、その光景に強く胸を打たれる。
--俺は山ほどの人を守りてぇんだ。
有り得ぬほどの成長速度で発達した精神を獲得したその赤子は、暇潰しに見やった遥かな未来で一つの輝く星を見た。
--俺以外の誰かにできたとしても、
--俺がやらずに逃げていい理由にはならねえんだよ!
赤子ははっきりとしない思考で想う。
この少年のように在りたいと。不屈の闘志で大切なものを護りたい、と。
そう願う度に赤子の思考は鮮明となり、最後には、
此方を見つめる、
四肢が欠損した男の"異様な瞳"に貫かれ
--目を覚ました。