暴かれた砂漠の英雄!王下七武海ふたり、歪んだ愛憎劇とは

暴かれた砂漠の英雄!王下七武海ふたり、歪んだ愛憎劇とは



◇一体何が!?砂の化身にも涙

その日、聖地マリージョアに激震が走った。かの王下七武海サー・クロコダイル氏(44)が海軍本部中将つるの部屋で身も世もなく泣き崩れたのだ。砂漠の英雄──その右手は乾きを与え、その身は砂と化す最強と名高き自然系。荒涼と乾き切った瞳が爬虫類の色を湛え冷たくこちらを睥睨する様は、手配書のみを知る者にも馴染み深いことだろう──そのクロコダイルが定例会議にも出ず、子供のように泣きじゃくり廊下を歩く姿を大勢の海兵が目撃した。氏は七武海の中でもとりわけ優等生で会議への参加率は最も高い。これだけでも誰しもが氏に何事かがあったのだと思うだろう……しかし異常事態はそれだけではなかった。身嗜みに気を遣う色男のかっちりと撫で付けられた艶めくオールバックは焦燥を浮かべる顔を彩るように解れ、一流のテーラーに仕立てさせたであろう着衣は首元を晒しボタンを掛け違え無残にも乱れていたのである。


◇白昼堂々の淫行!情熱の国の王は砂漠の英雄の果実に夢中!?

ここで衝撃的な証言がある。クロコダイルが出て行った部屋から数分遅れて、かのドレスローザ国王であるドンキホーテ・ドフラミンゴ氏(39)が現れたというのだ。密室で男二人、一方は無残な姿で号泣……一体何が行われていたというのだろうか?


気持ちの逸る読者の皆々様のため結論から申し上げよう。サー・クロコダイルはなんとドンキホーテ・ドフラミンゴに乳首を開発されていたのだ。

信頼できる筋から得た情報により、我々が辿り着いた真実とは王下七武海同士の歪んだ痴情の関係であった。

泣き崩れたクロコダイルは「ドフラミンゴに変なことをされた」と辿々しくつる中将に訴え、労られると鼻を啜り更にさめざめと泣き伏せる有様であった。怜悧な頭脳の持ち主として知られる氏が辛うじて伝えられたのが「胸がおかしくなった」具体的に内容も語れぬ様はあまりにも生々しい。コートに包まり震えるその姿に誰しもが知る堂々たる大海賊の面影は無く、ただただ新雪を踏みにじられた無力な少女のような憐れがそこにはあった。


定例会議で顔を合わせたドフラミンゴによるクロコダイルへの"からかい"は常習的であったという。そしてクロコダイルはそれを冷たく一瞥、または罵倒で返し、最後には砂嵐で追い払うのが常であった。さて、ここで両者の関係を考えて頂きたい。気になる相手にちょっかいを掛けても掛けてもつれなく振られる日々……何が生まれるかは明白であろう。執着……愛憎……征服欲……敢えなく指をすり抜ける砂粒へと降り積もる歪んだ情念は、いつしか張り詰めた一本の糸となりキリキリとドフラミンゴの耳を擽っていたことだろう。そしてあの日、糸の切れる音を合図に氏は最後の一線を飛び越えたのだ。溢れる想いを乗せた這うように絡み付く糸はクロコダイルの屈強な身体をきつく縛り上げ、大きく張り出した胸元を晒し──いや、氏の悪名高き"趣味"を考慮すれば能力で操ったクロコダイル当人の手によって下劣なストリップを強いたのではないだろうか?あの隙無く首元を覆うアスコットタイに鉤爪を掛け、下ろす。器用に動く片手がボタンを外す。意思の通わぬ身体に屈辱に表情を歪めながらも震える手で自ら胸を差し出す姿は、つれなくされた日々の虚しさを大いに満たしたことだろう。哀れな生贄は国王に自らを捧げ、そして国王は果実を食んだ。執拗な開発に悶える身体はその身の奥にまで滾る執着を教え込まれてしまったに違いない。


◇戻れない日常──火照る身体

「サーはどうもあれから様子が……」調査するまでもなく数え切れない程の証言がある。ふと振り向いた拍子に顔を歪め、胸元を抑えた姿。悩ましげに眉を寄せたかと思えば泣きそうな表情を浮かべる姿。言うまでもない、開発の結果であろう。金髪、または大柄な男が通れば身を震わせることすらあるそうだ。

あの日クロコダイルを襲った執拗な乳首への淫虐は、氏から平穏な日常を無残にも奪い去ってしまったのである。

──しかしここで疑問点が一つある。乳首開発というものはそれ程の短時間で完了するものなのであろうか?クロコダイルの身体はもはや乳首への刺激無しでは二進も三進も行かぬ性感の奴隷と為ったという。それは氏の生まれ持った素質か?それとも……これを手に取る紳士淑女の皆々様ならば薄々勘付いておられるだろう、"もしや既に開発までの道筋は整っていたのではなかろうか?"と。そもそもが砂となって逃げられる筈なのだ。ならばそこには僅かでも目の前で器用に動く長い指への期待があったのではないのか?想像に難くない。常日頃、禁欲的な佇まいからは想像もつかぬ、酷く淫らな一人遊びに耽った結果、かの糸の遊戯にあれよと絡め取られ絶頂を迎えてしまった──それを気高い精神が赦さなかったのだろう、哀れクロコダイルの瞳はオアシスの如く潤むことを止めることができなかったのだ。


砂漠の残り火の如き火照る身体を抱えた砂の化身は何処へと舞い降りるのだろうか?不敵な笑みを浮かべる国王が手をこまねく腕の中か、それとも……そこは読者の皆々様の逞しい想像力にお任せしよう。



Report Page