晶と極道

晶と極道


俺は龍珠会系トップ、龍珠桃様の護衛をする5人のお供の1人。

名を犬塚という。本名は別にあるが姐さん…龍珠桃様から名をいただき名乗らせてもらっている。

今俺は何をしているかと言うと

「ワンワン!手裏剣投げて!!ニンジャなんでしょ!」

姐さんがいたく気に入られてるある夫婦の御息女…晶お嬢の遊び相手を命じられていた。

お嬢の両親は姐さんと歓談中。その間の遊び相手が俺な訳だ。

昔ニンジャごっこと称して手裏剣投げを見せたり教えてからお嬢は俺を忍者と思っている様だ。

「お嬢、俺はニンジャじゃないです。

ただのヤクザです。

武器が手裏剣なのはKに入手経路がかぎつけられないようにするためです。チャカだと面倒だからで…イテッ⁈」

「こらこら…晶お嬢に何裏の世界を話してるのかなー?犬さんは

…お嬢、私の描いた漫画読む?今回は自信あるんだー♪ネットでアップしたら褒められたし!」

頭に衝撃を受けて振り向くと同じく、姐さんの側近を務める5人のお供、鬼頭が居た。女性だが金属バット片手で振り回して得物にしている。

組ではお嬢をいたく可愛がっている面々の1人だ。

漫画を描いているためよくお嬢に見せている。

「はるかちゃんの漫画は基本恋愛系だよね。違うの描いてよー

NARUT○みたいなの」

「うーん、NARUT○は無理だけど恋愛ラブコメにゾンビやヒーロー出るやつは作ってるよ。前にお嬢が言ってくれた要素全部入れたやつ!何か闇鍋なんだけど楽しくなって来てさ!!」

「…テーマ絞れよ」

いやホント絞れよ。テーマだけで玉突き事故起こしてるじゃねーか。

「ホント⁈凄い楽しみ!!見せて見せて!」

「流石はお嬢✨器が大きいねー♪テーマを絞れなきゃ全部ぶち込んで料理したら良い、は浮かばなかったし受け入れられるお嬢は凄いよー♪」

わーい!

わーい!!とクルクル抱きしめながら回る2人。

俺の抗議無視して楽しそうだ。

「…なあ?鬼頭。おまえがお嬢の遊び相手するなら俺休憩して良いか?組員全員の飯作って休憩時間無いままお嬢の相手命じられてるからさ」

正直休みたい、と続けようとしたらお嬢が申し訳なさそうに俺を見ていた。

「え⁉︎ワンワンごめん!疲れてたの?気づかなくてごめんね…」

「………」

「あ、いや…お嬢が悪い訳じゃなくてタイミングの問題でして…」

鬼頭が凄い睨んでる。

何幼女に気遣わせてんだ?

目がそう言ってる。

本当ごめん。お嬢悲しませるつもりはなかった。

だけど昔のお嬢ならあっさりokするから目の前で言ったんだったんだが…申し訳なさそうにする、なんて気遣いも出来るように成長もしている!と謎に保護者目線になってしまった。

弱ったな…休みたいのは休みたいしなぁ…

「ツバサ、はるかくん。私が彼の任を引き継ごう。皆の食事という激務の後だ。彼には夕方の食事作りの任もある。休憩して貰わねば」

「猿原…いや、姐さんの任だし、お嬢に悪いから良い。すまん」

「真ちゃんは真ちゃんで忙しいでしょ?お嬢に挨拶だけはきちんとして、休んでてよ」

俺に助け舟を出したのはお供の1人。猿原。

鬼頭とデキている。学もあり冷静沈着、なのに武器を必要としないパワータイプでステゴロが強いため、お嬢の父親の硝太氏が若い頃彼の護衛を一時期務めていた。

極道でありながら趣味は人助けと俳句を読むこと。

「お嬢、もし俳句を読みたくなったら私を呼んでください。娯楽室にいますので」

「うん!ありがとう、ウッキー!」

「ウキキキ!嬉しいウッキー!!

…君達、笑うのやめたまえよ」

ムッとした顔で言ってくるけど中々の変顔だったぞ?だってほら

「あはははははは!ウッキー、面白い!!」

お嬢ご満悦だし。

「お嬢が喜んでいるから、良いかな?私も」

猿原は照れながら奥に引っ込んで言った。

ーーーー

「ッ!!」

カカカッ!と的木にクナイと手裏剣が刺さる。

お嬢が好きな手裏剣撃ちだ。

「やっぱりワンワン凄いね!カッコいい!!」

「いや、まあ……若い時は劇団に居たんで…」

「そこはカッコいい、というところを謙遜しなさいよ。手裏剣の腕前凄いけど」

「褒められたら素直に受け取る、俺の心情だ」

「日本人の美徳どこ行ったのよ」

なんとでも言え。神木プロダクションにも所属していた元俳優ではあるんだよこれでも。

…社長がクソ野郎なの見抜けなかったから面だけの情け無い奴だが。

「はるかさんに犬塚さんにあきらさん!お疲れ様です。お土産のバームクーヘンです。いかがですか?」

「「雉野」」

「きじのさん」

「ははは…晶さんには前の一件で怖がらせてしまってますね…すいませんね。怖いところ見せてしまって。申し訳ない」

頭を下げる雉野。お供の最後の1人だ。潜入から狙撃、ナイフ、格闘なんでもござれの男。

場当たり的に晶お嬢を誘拐しようとした半グレを偶然居合わせたこいつがその場で捕縛。その尋問する様子が余りにも怖かったのかお嬢は苦手にしている。

…それまでは懐いていただけに可哀想なところがある。

「きじのさんは悪くないよ。私を助けてくれたんだし…」

「晶さんは優しいですね…バームクーヘン、多めにあるからご両親や親戚の方々とも食べてください。

…僕は報告があるので。では」

「きじのさん…」

「お嬢の気遣いはあいつ分かってるから気にしないで?お土産受け取ってくれただけでも嬉しい顔してたから」

「ああ。今度来た時に美味しかった、と言ってやってください」

「…分かった!そうする!!」

お嬢は優しいし、天使かな?

鬼頭はとにかくお嬢を撫で回していた。

「…っとそろそろご両親のご歓談も終わりますね。いきましょう、晶お嬢」

「桃さんと何のお話だったのかな?私も桃さんとお星様の話をしたかったのに」

ーーーー

「晶が姉になる訳か、めでたいな。後で懐妊祝い渡すよ」

「いや、まだ早いですよ桃さん。まだまだこれからどうなるか分からないのですから」

「そうですよ。むしろ娘の遊び相手に側近の方々に務めて貰って申し訳ないです龍珠さん」

僕とフリルは龍珠桃さんにフリルの2回目の妊娠の報告と久しぶりの挨拶に来ていた。

お世話になった方なのでお歳暮のやり取りや季節の挨拶は欠かさない。

だが繋がりがバレるとフリルの今後に関わるので訪ねる際は十重二十重に準備と偽装を重ねて向かっている。

「気にするな。晶は可愛い姪みたいなものだよ。星が好きな子で私も楽しいからな

…さて、晶誘拐を企んだ半グレは幸いにも場当たり的な馬鹿で間違いない。裏はなかったよ。そこのタロウと雉野が尋問したから間違い無い。

まあ報復として小島の課に垂れ込んで潰したがな」

そう。晶は学校帰りに連れ去られかけた。幸いにも彼女に護身術を教えていたこともあり無事逃げ出したのと、偶然いた雉野さんが追う半グレを捕まえてその場で尋問という名の拷問をしたらしい。

娘が無事で良かったが、その話を聞いてカミキと貝原の手のものかと警戒していたのだ。

「…なら良かったです。今は知り合いの子が送り迎えしてくれたり、兄や姉達が見てくれたりしてましたから」

「私は私でウチへの報復か?と警戒したけどな。まあ…目下の安全は確保できた。

硬い話は終わりにして晶と遊んで良いか?あの子に話したい星の話がたくさんあるんだ」

「桃さんが晶を可愛がってくれて私も嬉しいです。気軽に会えない立場なのが残念ですけど、LINE通話とかでいつでもあの子にお話してくださって大丈夫ですよ?」

「ええ。晶は龍珠さんのことも大好きですから」

「やめろ。照れるから」

そっぽ向く、龍珠さんは少し顔が赤かった。

ーーーー

「晶、アレがオリオン座だ。分かりやすいよな?」

「ベルトみたいに3つ連なってる!」

晶は龍珠さんの膝に座りながら縁側で星座の観測をしている。和気藹々と楽しそうだ。

「晶お嬢、トラウマになっていなくて良かったな硝太」

「タロウさん。ありがとうございます。副業の配達を放り投げてまで晶を保護して送り届けてくれて…感謝します」

お供のリーダー、タロウさん。

嘘をつけない実直な方で、龍珠の側を常に守っている剣の手だれ。

銃刀法を逃れるため何かしの長物にドスを仕込んでいる。晶と遊ぶことは少ないが護身術に棒術を指南したりしてくれていた。

「礼にはおよばん。おまえとの縁がある。その縁があの子を救った。それだけだ。俺はこれからシノギの会議があるから席を外す。じゃあな」

「ええ、また」

晶は龍珠組の方々に大変気に入られている。

愛されている姿を見て父としては嬉しい限りだった。

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