晩酌に付き合って甘やかしてくれるエース概念
トレエスに脳ミソ焼かれまん民「はい、淹れるよ。」
そういってあたしは、旦那がこちらに傾けたグラスにビールを注ぐ。
「おう、ありがとう。」
旦那はウキウキした顔で、徐々に満たされていくグラスを見つめてる。
「んじゃ、今日も1日お疲れさん!」
「はい、エースもお疲れ様!」
そういって二人でグラスを合わせる。
子供達を寝かしつけてからの、夫婦の時間。
旦那が子供達から聞けなかった話をあたしがして、旦那は仕事や今のトレセンの事を話す。
今日は色々と有ったのか、旦那の酒も話も中々にハイペースだ。
あたしが自分のグラスを空にする前に、旦那は既に顔が赤くなってる。
それから程なくして、旦那は寝転がり始めた。
「ホラ、寝るなら布団に行きな。」
旦那の隣に寄り添い、体を揺さぶる。
旦那は、
「ん~?」
なんて言いながらあたしに抱きついてくる。
「おー、エースだー」
誰と話してるつもりだったんだ?
なんて事を考えてたら寝息が聞こえてきた。
はぁ、仕方ない。気持ち良さそうに寝息をたてる旦那の頭を膝に乗せる。
子供みたいに、気持ち良さそうに寝てる旦那の頭を撫でながら、思う。
あたしが卒業するまでの間は、この人に起きたこと、あたしに起きたことは、その多くが互いに見て、聞いて、感じたことだった。だから踏み込めたし、寄り添って、一緒に笑ったり、怒ったりもできた。
でも、今はこの人に起きたことも、あたし達に起きたことも、互いの言葉を聞いて、それを察して、ただ寄り添うことしか出来ない。
それは辛いし、寂しくも思うけど、同時に互いを信じて、互いに甘えられている。その証だとも思う。
今日はどんなことがあったのか、
今の子との三年間はどうなのか、
・・・浮気してないよな?
そんなことも、たまに思ってしまうけれど。
「エ~ス~、愛してるぞ~」
そんな寝言を言う、幸せそうな旦那の顔を見てると、この人なら大丈夫。そう思える。
──
「ほら、もう寝ろ」
旦那を引き摺って子供達の横に寝かせる。
布団を被せて、その頬にキスをする。
「今日もお疲れ様、…トレーナーさん」
幸せそうに大口を開けて眠る三人を、微笑ましく思いながら、あたしは、寝室のドアをそっと閉じた。