星降る夜に

星降る夜に

有馬記念お疲れ様!

「「かんぱーい!!!」」

有馬記念も終わり一段落ついたある日

同期で集まり、送別会や年越しパーティーも兼ねた忘年会が繰り広げられていた。

「いや〜惜しかったな!お疲れさん!」

「お゛れ゛は!お゛前゛ら゛に゛!か゛って゛ほ゛し゛か゛っ た゛!!」

「立派だったよ!よく頑張った!」


「何やお前ら揃いも揃って有馬で5着とか仲良しやな〜!ま、俺は4着やけど!ダハハハ」

「うるせぇよ」

口々に有馬の事を振り返る…正直負けたレースの事をあまり掘り返して欲しくないんだが その上変な共通点でイジられるし。

エフの奴は潰れて使い物にならんし、タイホは囲まれて胴上げされるし、さっきからグレナが横で号泣している。


…なんだこの空間 超逃げてぇ

そんな思いを抱えながらチラリと隣を見やると

女子グループも酒が進み盛り上がっており

盛られた料理を皆美味そうに食べていた。

中でも一際大量に皿に盛り付けてある席があった…見ずともわかる。間違いなくあの席の主はユーバーレーベンだ…引退してから食べっぷりに磨きがかかった気がする。


相変わらずよく食うなと眺めていたら目が合った。ここ最近は有馬に突如参戦を決めたからあまり話せなかったな…酔っ払い共の相手をしたくないし移動するか。


そっと近寄り耳打ちする

「抜け出そうぜ 久しぶりに話したいし」

「え、でも…」

「このどんちゃん騒ぎだ 今更2人抜けようが気づかねぇよ」

手を繋いで連れ出す 外は雪が降っていた


行先も無く歩きながら話をする

「そういえば、シャフ君来年も現役続けるんだよね?」

「あぁ、まだ走れそうだしもう1年やってみるかって思ってな」

「凄いねぇ…あ、有馬記念格好良かったよ!」

「そりゃどうも…って今かよ」


「でも海外かぁ…また会えなくなっちゃうね」

「んな顔すんなって 土産たんまり買ってきてやるから」

しょんぼりとする彼女の肩を抱く 

夜風の影響かひんやりとしていた。

「じゃあ、今のうちにシャフ君チャージしなきゃ!!」

「なんだそれ…」


「ほら 立って!たって!」

促され立ち上がる、すると突然抱きしめてきた。

「ぎゅ〜〜〜!!」

…酔っているのか腕に力が入って少し痛い

だが弱みを見せないのが偉大なる王の姿

余裕もって頭を撫でてやることにした。

「シャフ君もっと撫で撫でして〜?」

「お前結構酔ってるだろ」



すると彼女は頭を肩に埋めたまま、ぽつりと呟いた───

「…さみしいな」

消え入りそうな声だったが、はっきりと聞こえた言葉は本心を吐露する物だった。

今年は海外を飛び回っていた為、共に過ごせる時間は限られていた…おそらく来年も同じ様なローテーションになるので彼女には随分と寂しい思いをさせてしまうことになる。

「悪いな、もう暫く待ってくれ。一区切りついたら必ず迎えに行くから」

「…ほんと?約束だよ?」


「ああ、約束な」



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