🆚日車
『虎杖悠仁は2018年10月31日、渋谷にて大量殺人を犯した疑いがある』
ジャッジマンの感情の無い声が領域内に響き渡り、日車の手に証拠が渡る。
日車は知っていた。___虎杖悠仁は、無罪である。
しかし、被告が、15歳の少年の出した答えは、日車の想像とは遠くかけ離れた物だった。
「あぁ、俺が殺した」
「これは嘘でも否定でもない」
___笑っている。
日車の見た虎杖の表情は、今まで法廷で見てきたどの被告人の顔とも違っていた。
刹那、日車の表情が固まる。
今、この少年の気持ちはどうある?
覚悟?狂気?____違う、愉悦だ。
冤罪の、大量殺人の疑いを突きつけられた哀れなはずの少年は、この状況を心の底から楽しんでいる。
日車の脳内に、最悪の可能性が走る。
___両面宿儺と虎杖悠仁が、グルである可能性
予想が確信に変わるのに、時間は必要なかった。
激昂の一歩手前の日車に呼応するように、怒り狂ったような表情のジャッジマンの口から判決が下される。
『“有罪”』
『“没収”』
『“死刑”』
「処刑人の剣」を手に取った日車の心に一点の曇りはない。
今ここで、呪いの王を祓う。