日誌

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蒼森ミネ


セリナから、「先生に救護が必要です」という申し出を受けた

私はすぐにシャーレに向かおうとした、でも、詳しく話を聞いて欲しいと言われた

なので、話を聞くと、どうやら何かがおかしい気がした

でも先生の栄養状態等は非常に悪いことだけは事実であった為、セリナの提案に乗る

…決して、誓って私の欲望のために先生を監禁するような真似に協力するわけではない



先生を救護した、思っていた以上に健康状態が悪い、これは必要な事だった

…いつもあんなに遠くにいた先生が、こんなに近くにいるのかと思うとついつい気が緩む

基本的なお世話はセリナが買って出た、私も担当したかったけど、熱意に負けてしまった

…羨ましいと感じてしまった



今日もセリナがお世話をしている

お昼から通常食を出したいと言われ、健康状態から許可をした、夕ご飯を作りたいと思ったが、既にハナエの予約があった

なので次の朝食を私が担当する、そのついでに身体を拭いてあげてほしいと言われたので快諾した

……少し、楽しみになってしまっている



卵液150cc、みりん40cc、薄口醤油10cc、塩ひとつまみ、鰹節と昆布を一晩水につけた出汁30cc

全て混ぜ合わせて焼く、中火をキープする

お味噌汁、お豆腐半丁、わかめ、お味噌はおたま1/4をベースに味を見ながら調整

おにぎりはシンプルに塩

白菜のおひたし、白菜を…



何を作るか考えて、レシピを書き出していたらいつの間にか時間がなくなってしまった

気付くのが遅かったので色々と諦めてしまった

卵焼きとお味噌汁から優先して取り掛かったのが良かった

メインは焼き魚にしたかったけどウインナーにして、おひたしも諦めた

先生は美味しいと食べてくれた

卵焼きを美味しいと言ってくれて嬉しかった

私も大好きな味だけど、初めて作ったので上手にできていてよかった…

先生の体を拭いた、やはりあの傷は痛々しい

できるだけ気にしないようにしたけど、あの傷の周りだけは力を込めないように拭いた

…あの時のことを思い出すと辛くなる、私は居なかった

背中から切り開いた跡が痛々しい、私たちがメスを握ることは稀だ

縫い目が悪目立ちする、縫合の必要性なんて普段はなかった

……先生の目を見たいけど、目を逸らされた

…つい、そのことで頭がいっぱいで舌を脱がせようとしてしまった

いい誤魔化しの理由になった



セリナの考えを聞いてしまった

…ここに帰ってくるのなら、それも悪く無いと思っている

先生を守れなくて、何が救護騎士団団長なのか、危うく人を死なせるところだったのに

確かに私はやれることを全てやって、先生にまで手を回せなかったけど

でも、それは、仕方のなかった事で

こうして言い訳をしているのは辛い、セリナの考えは合理的だ、守り切れないのならカゴに入れて仕舞えばいい

先生をかごの中の鳥にして仕舞えばいい

…まだ私には決めきれない、セリナを止めることもできない

後悔はしたく無い




セリナは先生と何度も触れ合っている、ずるいと思う

パンケーキを喜んでくれた、人参も気づいてくれた、可愛いと喜んでくれた

…先生はシャワーを浴びたかったらしい、だけど、セリナを怒らせたからそうはならなかった

セリナを止めるべきだと思う

だけど、先生の体を拭く時間が無くなると思うと、苦しくなる

傷の話をした時、私にも傷をつけてみようかと思った

でもそれは先生を苦しめるだけだと思う

きっと彼の何かを理解することにはならないのだから、やめておこう

そう言えば、部屋を出る前にジュースの瓶を見かけたが、あれはなんのジュースなのだろうか

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