新婚旅行“東の海”肆ノ壱
ここだけゾロがルナーリア族Part2の145※閲覧注意
※【ここだけゾロがルナーリア族】のスレより
※ゾローリアの更にIFネタ
※ファンタジスタした幼少ゾロがキングに拾われ百獣海賊団所属√
※幼少ゾロはくいなと約束する前
※くいな生存
※麦わらの一味がゾロの配下√
※CPはゾロ×日和、ウソップ×カヤ
※IFネタの派生⇒麦わら配下√(百獣√分岐)
※〝月〟を冠するワノ国大名家の先祖がルナーリア族
※キャラエミュが微妙
※文才なしの駄文
※捏造設定あり
※それでも良い方のみ、お読み下さい
“おれの”になったウソップとカヤ…“ワノ国国民”とした、にんじん、ピーマン、たまねぎ。
この五人の生まれ故郷を出航したのは、殺された島民達の弔いが終わった後だった。
そして、航海途中に、ヨサクとジョニーという賞金稼ぎを拾った。
ヨサクとジョニーは、くいなの事を“アネキ”と呼んで慕っており、賞金稼ぎを始めた最初期の頃には色々と手助けしてくれていたらしい…その為、壊血病に罹ってしまっていたヨサクを助けてやったら、おれの事も“アニキ”と呼び始めた。
助けたのは船医だが、助ける様に命じたのはおれだからだそうだ…まぁ、壊血病で死ぬ二歩手前くらいだったので、仕方無いんだろうが。
そんなヨサクとジョニーから“海上レストラン・バラティエ”の話を聞いて、行ってみる事にした。
色々と騒動に巻き込まれてはいるが、本来の航海の目的は日和との“新婚旅行”だしな。
それに…絶対安静の子供達は無理だが、ウソップとカヤの気分転換にも良いだろう。
そんな風に考えていた。
実際に着いた“海上レストラン・バラティエ”は、海賊に襲撃されている真っ最中で。
ウソップとカヤは子供達の所に行かせてたから良かったものの…。
「…神には祈った事は無いが…ナニカに憑かれてるのかと思うくらいに、騒動に巻き込まれて無いか??」
思わず真顔で呟いてしまった。
「……帰国後、せめて刀神様の所には行きましょう」
「そうですな。ゾロ様の御先祖様の所ですし」
そんな配下達の言葉を聞きつつ、襲撃されている船を観察する。
薄っすらと霧の様な、靄の様なモノが船を覆っていて。
動きが鈍くなっている気配と、全く鈍っていない気配の二種類があり…あの霧は、通常の物では無い事が分かる。
「……何か、薬か毒を使ってるな。今回は、おれだけで行く…念の為、船医に解毒剤や中和剤等の用意をさせておけ」
おれやキングは平気だし、まだ、動物系“古代種”なら何とかなるかも知れないが…普通の“人間”には無理はさせられないか。
「ゾロ様!!?」
「お待ち下さいッ!!!!」
「我等にお命じ下さいッ!!」
おれが一人で行くと言うと、くいなや傳ジローと河松は眉を顰めたが毒耐性を自身が持っていないのを自覚していたからか、何も言わず…ルフィは一瞬だけ何かを言おうとしたみたいだったけど、おれの言葉には否は言わない。
だが、他の配下達は口々におれを止めて自分達が行くと言い出して…。
「下手したら死ぬ所に、お前等を向かわせる訳ねぇだろう…馬鹿か。決定事項であり、命令だ」
必要も無いのに死ねとは言わないし、最低限の被害で抑えるのが上に立つ者としての心得だしな。
「……あなた」
「…“人間”が“死ぬ程度”の薬や毒じゃ、“死ねない”から安心しろ。直ぐに戻る」
不安気に呼び止める日和に、安心させたくて言葉を紡ぐ。
「…ッ……御武運を」
まだ不安気な表情だったが、それでも武運を祈り、送り出してくれた。
霧の中に入ると、呼吸をする度に違和感を感じる。
おれが違和感を感じるという事は…人間には、薬だろうが毒だろうが…死ぬ可能性が高いだろう。
死んでいる人間が血を吐いている様子から、配下達には待機を命じて良かったと考えつつ、霧の奥に向かう。
「…毒か。それも“人間”には“猛毒”になるタイプの…」
こうして襲い掛かって来るガスマスクを着けた人間を斬り殺しながら歩いていると、クイーンのバカが作った毒を無断で持ち出しやがった裏切り者を思い出す…あの頃は、まだ悪魔の実の能力が覚醒してなかったからなぁ。
倒れているが他の人間より多少は生存の可能性が高そうな者を見つけて、その男の側へと寄る。
「…カハッ……誰、だ。逃げ、ろ…」
おれの気配に気付いたのか、おれへと逃げろという様子に、お人好しだという印象を受けた。
「…此処の、料理人か。まだ息があるなら、助けてやる」
「…おれは、良い…ウチの、クソナス…コック、共…を」
コック服を着た特徴的な髭をした男は義足を壊されているが故に動けなかったのだと想像出来て…“おれの”の精神安定の為にも助けようとするが、男は自分の事よりも他の料理人達の事を優先するような言葉を紡ぐ。
「…はぁ。あんたを助けた後で、息がある奴は助けてやる。チッ…鬱陶しい」
言葉には“真実”しか無くて、思わず溜息を吐く。
ガスマスクを着けた人間が毒霧の中で、また襲い掛かって来るのを斬り殺しながら舌打ちする。
「……海賊共は、消せば良いか」
目の前にいる男の望みと海賊共を霧の中で探す面倒を考えて、毒霧を風で散らす事に決める。
おれの船には向かわない様にするくらいは簡単で、全ての毒霧を遥か遠くの上空まで吹き飛ばした。
「何だ!?」
「首領の毒が?!!」
「急に、風が…」
いきなりの事で驚愕するガスマスクを着けた海賊共を視界に入れながらも、生存者を確認していく。
普通の服装の人間は死んでいる様だが…コック服の男達は生きている人間もいる上に、毒よりも怪我の方が重症な者もそれなりにいるらしい。
そして…二人だけ、良く分からない事になっていた。
比較的軽装でもう片方の男に馬乗りになりながらガスマスクを押し付けている男に…黒いスーツを着ていて、ガスマスクを押し付けられている男。
「…基本的にはガスマスクを着けていたのが、海賊なんだろうが…」
「…グッ…この、人は…サンジさんは、此処の…コックだッ」
おれの声が聞こえたのか、軽装の男は血を吐きながらおれへと告げる。
「……そうか…」
“真実”だな…敵の筈だが、助けたのか。
「…テメェ、何者だ?!」
海賊共に“首領”と呼ばれている男に誰何される。
答える義理も無いし、答えてやるつもりも無い。
まだウソップ達の故郷が滅ぼされてから数日も経ってないのに、傷を抉る様な事をしている者共を赦すつもりは無い。
百獣海賊団として動いている時には非道も外道も…島ごとの殲滅を行う事もある。
だから〝これ〟は、おれの自己満足だ。
“一番”に“特別”、“唯一”そして“おれの”…その人達を傷付ける事だけはしないし、させない。
「…逃さない様にしないとだな」
ポツリと呟くと、三代鬼徹に武装色の覇気を纏わせる…流石に覇王色の覇気を使う必要も無い。
既に襤褸船だったとは言え、軽い一振りで真っ二つになり沈んでいく海賊共の船。
海賊共が騒ぐのを聞き流して居たが、“鷹の目”という言葉が聞こえたのでその言葉を発した者に目を向ける。
「…“鷹の目”…王下七武海のジュラキュール・ミホークに会ったのか?」
「あぁ、そうだ!!あの男の所為で、多くの船が部下と共に斬られた!!!!貴様も、あの“鷹の目”と同じ妙な能力を使いやがって!!」
妙な能力?
“鷹の目”は覇気使いであって、悪魔の実の能力者では無い筈だが……あぁ、そういう事か。
「成程。雑魚過ぎて見逃されたのか」
「ッ!!き、貴様ァッ!!!!」
どうせ、“暇潰し”か何かだろ…それで飽きて放置か。
今度会ったら文句言って…文句ついでに、一戦するか……いや、キングに叱られるか?
「…ひぃ…ふぅ、みぃ…よぉ…いつ、む、なな…や、ここのたり…」
「…ゾロ」
生存者に近い順から首を斬り落としていき…取り敢えず生かすと決めた一人以外で最後の首を落とした頃、声を掛けられた。
「ん?来たのか」
「霧は晴れたみたいだし。ねぇ、ルーシー」
「おぅ!!」
振り返れば、くいなとルフィが居て…。
「…まぁ、もう毒霧も無いから構いやしねぇが。くいなは兎も角、ルーシーがなぁ……珍しい」
本当に珍しい…あぁ、でも。
そういえば…くいなと暫く一緒に行動してやってくれと言ってあったな。
そっちの方が“先”だったから、そっちを優先したのか。
「…一人、態と生かしている者以外は生存者だから、船医達に解毒剤を投与させろ。後、治療も」
「りょーかい」
“首領”と呼ばれていた男を殺す時に攻撃して来たから気絶させている軽装の男を示しながら、ルフィへと指示を出す。
ルフィも気絶している男をチラリと見た後に頷いて、救助の為に船医達を呼び始める。
「ところで…ゾロ。さっきの言い方なんだけど、どういう意味かな?」
さて、おれも…と思った時、くいなが問い掛けて来る。
「…?…さっきの、言い方??」
さっき…くいなとルフィが此方に来た時か?
それとも、おれが一人で此方に来る前の時のか?
でも…おれ、何か言ったか?
「…無意識なんだ、“アレ”」
「??」
くいなが何を言っているのか理解出来なかった。
おれが不思議そうにしていると、くいなの機嫌が少し悪い気がする…。
「……後で日和さんと相談だなぁ」
「日和と?」
「何でもないから、気にしなくて良いよ」
「……そう、か?」
気にしなくて良いって言うなら、気にしないけど……女性同士の話かな?