散らされる桔梗の花③
若ワイ×若葉様 「……んんっ……なっ?!」
目を覚まし身を起こした若葉は自らの着ている服に驚愕した。
何故なら桔梗を思わせる青と白の混交のそれは二度と纏うことはないと思っていた己の勇者としての戦装束だった。
「……おはよう、若葉」
穢れに蝕まれたとは思えないほど穏やかな雰囲気でワイはベッドの縁に座って若葉に寄り添っていた。
「ワイ! いったいどうやってこの戦装束を用意したんだ!」
若葉の問い掛けに、ワイは顎に手を添えながら答えた。
「……創った。いや、若葉に着替えを用意しようにも、オレのだとサイズが合わないから、どうしたものかと考えてたら、ふと閃いたんだ。かつての天の神との決戦で穢れや怨念を武器として具現化出来たのだから、その応用で服も生成出来るんじゃないかってね」
何でもないように、具現化を達成して見せるワイの器用さに、内心で若葉は驚嘆した。
しかし、それは今現在において不可能なことに気付き若葉は問い掛けた。
「……どういうことだ。ひなたから聞いた限り、お前の身体は穢れを蓄積することは出来ても、コントロールすることは出来なくなっていたはずだろう?」
「……こいつはあくまでも仮説なんだが、一霊四魂という概念が有るんだけど、オレの身体の中に宿った厄神の残滓が穢れを取り込んでオレの魂のバランスを崩して荒魂ばかり昂らせてるならば、他の魂を昂らせてバランスを取らせれば、正常な状態に戻るんだよ。オレ自身の理性や知性を司る奇魂にひなちゃんの周囲を和ませ調和させる和魂、そして若葉がオレを想ってくれる愛情の 幸魂が若葉を抱いて繋がることで供給されたことでバランスが戻ってコントロールが効くように成ったんだと思う」
理屈を聞いて納得しつつも何故、戦装束にしたのかと若葉は尋ねた。
「……それは分かったが、何故この姿にしたんだ?」
「オレの記憶の中で一番イメージしやすかったからかな? あるいは未練かもしれないな」
含みが有るワイの言葉に対して若葉は更に問い詰めた。
「……未練だと? 何に対してそんなことを感じているんだ?」
ぽつぽつとワイは語りだした。
それはまるで罪人が己が罪科を告解するようであった。
「最近ひなちゃんから、若葉の見合い話が複数来ているのを聞いてさ、オレはやっと若葉が幸せに成れるならばと安心した反面、同時にそいつらのことが憎くて堪らなかったんだ」
淡々とした語調でありながら、ワイの口から放たれた底冷えするような憎悪の激しさに若葉は絶句した。
「……まぁ怪我の功名ではあるけど、それでやっとオレも自分の中の感情を定義付けさせられたから、感謝しなきゃいけないけどな」
先程とは打って変わって、苦笑交じりにワイは感謝の意を示した。
そんなワイの様子を見て若葉は無数の感情がワイの中で荒れ狂っていることを実感していた。
若葉の内心をよそにワイは意を決したのか表情を引き締め居住まいを正した
。
「……御役目に不満が有るわけじゃない。……今の血と穢れに塗れたオレが相応しくないことも分かっている。 だけど、それでも若葉たちの傍に居たいと思っているんだ。だから言うよ」
「好きだ若葉。──お前が欲しい。だから、乃木若葉さん。オレと結婚してください」
若葉の手をしっかりと握り締めワイは求婚の意を告げた。
告げられた言葉は若葉にとって、青天の霹靂と言えるモノだった。
その言葉を理解した時、胸の奥から湧き上がる熱情に若葉の瞳から涙が込み上げて来た。
「……どうしてお前はこうも私の心を揺さぶることを言うんだ。……胸が苦しくて堪らない。責任を取ってもらうぞ────輪大朗」
若葉から返された両親を亡くして以来、久しく呼ばれることが無かった己の名を呼ばれてワイ──否、河合輪大朗は内心の喜びを隠すように照れ笑いを浮かべた。
「……まさかそう返すとは、一本取られたよ。──若ちゃん」
「しかし、諸々の交際の段取りを飛ばしていきなり求婚とは、破天荒にも程があるだろう。」
「そう言う若ちゃんだってさ、オレが丸亀城を出てから、御役目の合間の休みが重なる度に手料理を振る舞ってくれたり、変装してお忍びで一緒に買い物を楽しんだりと、やってること控えめに言って彼女か通い妻のすることなんだけど、自覚無かったのかい?」
「──!私だって、一人の女としてその手の台詞を言われたかったんだ。……言って欲しいと思って悪いか!」
軽口を叩きながらも、奥ゆかしい若葉からのアプローチに輪大朗は内心で感激していた。
そして、愛しい少女から求められて応えないのは男が廃るとばかりには想いを告げた。
「若葉──貴女を愛している。これまでも、そしてこれからも同じ道を並んで歩いて欲しい」
しかし、囁いた愛の言葉に対する若葉の返答は意外なモノだった。
「……それを言うならば私だけじゃなくて、私たちにだろう輪大朗?」
意図的だろう普段の若葉らしからぬ話運び。
それを聞いていた輪大朗はしかし、言われずとも理解している故に若葉の真情を知る為に問いかけた。
「……本当に若ちゃんはその選択で納得できるのかい?」
「当然のことだ。私自身の幸福とはお前とひなたが傍に居ることが前提なんだ。だからひなたの想いも受け止めてやってくれ」
迷いなく語る若葉の澄み渡った紫紺の瞳を見て、静かに輪大朗は頷いた。
「分かったよ若ちゃん。……なら次はひなちゃんと話を付けなきゃいけないな。」
「頼んだぞ。……なぁ輪大朗、もう一回抱いてくれないか?」
若葉からの意外な申し出に輪大朗は体調は大丈夫なのかと尋ねた。
「オレはいいけど、若ちゃんは初めてだったんだから無理はしない方がいいと思うんだけどな。……それでもやるかい?」
「私は問題無い。……それに私の身体にあれだけ烈しく刻み付けておいて今更言うことか」
「……だよなぁ」
なじるような口調の若葉だったが、その声色はどこか甘やかさを秘めていじらしさを感じるものだった。
「始めるよ若葉」
交合の始まりを告げると共に輪大朗は若葉を抱き寄せながら、唇を奪った。
「ん……ん、ちゅ……ん、はぁ、ふぅ、ん……っんぁぁ!」
───ちゅぱっ、ちゅるっ、じゅるっ、れりゅっ
啄むように唇を合わせ、舌を絡めて互いの唾液を交換してゆく。
さらに胸を揉みしだこうと手を伸ばしたら、若葉の勇者装束が変化していることに輪大朗は気が付いた。
青と白の混淆であったそれは青の部分が白く染まり、袖や首周りに青紫の花飾りが装飾され、不意に見上げれば、結ばれていたはずの若葉の髪が解けてベールで被われており、ティアラを付けたその姿は勇壮でありながら、優美さをも兼ね備えた花嫁そのものであった。
目を見張る艶やかさに感激しながら、アウターをずらしてインナー越しに形の良い乳房を揉みしだきつつ乳首を摘み上げ、反対側のインナーをずらし乳首を吸い上げ、時に甘噛みし舌で転がしていくだけで、触手で愛撫するまでもなく、スパッツの色が変わるほどに若葉の秘所は濡れそぼっていた。
「んっ、はぁ……ぁあん!」
───こり こりっ♡ぐにぃ♡ちゅうぅっ♡ぐりゅんっ♡
───じゅるるるっ!ちゅうう・・・・・・はみゅはみゅはみゅ!
勇者として鍛え上げられた少女の身体は、青年によって"おんな"として開花された結果、清廉さを保ちながらもなお隠し切れぬ艶やかさを秘めた肉体へと変化を遂げてしまった。
それを裏付けるように若葉は、悦楽を味わいながら更なる望みを叫んだ。
「はぁ、あぁんっ、りんたりょうっ!わらしのにゃかにいれてぇ、わたしをはらませてぇ♡」
「応ッ!何回だって孕ませてやるともよ!!若葉ぁ!!」
若葉の己を求める嬌声に吠えるように、輪大朗は返答と共に肉槍を若葉の秘所へと叩きつけるような勢いで貫いていった。そしてかつてなく高揚し、その昂りを示すかのように若葉の胎内に収まった肉棒が穢れを纏って行き、肉棒全体に穢れが変化した無数の肉瘤が形成されて、亀頭に至っては釣り糸を思わせる複数の極細触手が生えたその形は肉欲で作られた銛だった。
それは正しく西暦最後の勇者である乃木若葉を完膚なきまでに一人の女へと堕とし、孕ませ、己が虜にするために特化した肉の凶器と言えた。
子宮口に届いた肉棒から触手が伸びて行き若葉の子宮内部に侵入し敏感な子宮内壁を愛撫してゆく。
「ひいぃ、や、やめ……し、しきゅうのなかまで……くぁぁ……な、なでまわすなぁ……んぁぁ……くっ、ひぃぃぃんんっ!!」
有り得ざる場所を愛されてゆくことに若葉は恐怖を覚えながらもそれ以上の快楽に身体を震わせていく。
そして触手は遂に禁断の場所へと辿り着きノックを始めてゆく。
──そこは卵巣へと続く子宮卵管だった。
徐々に触手が卵管を通り抜けていき、若葉の身も心も魂さえも染め上げ、新たな在り方を定めていく。
遂に卵巣に辿り着いた触手は慈しむように愛撫し始めた。
「ひぁっ、ひゃあんぁぁぁっっ……っ!!し、しきゅうのおくまでぇ……んぁぁっ……とどいてるぅ!!」
それは排卵を乞い願う愛撫であった。若葉に己の子を宿して欲しいという愛欲が形を成して卵子を求めて繊細かつ大胆に攻めていく。
「んふぁっ、あふぁっ……な、なんれ……こんなのおかしいのに……あぁっ……なんで……しきゅうのおくぅ……さわられるのが……きもひいいぃんだ……っ!!」
肉槍を使った胎盤マッサージによって若葉の肢体は母胎として、確実に覚醒を迎え触手を通じて流れ込んでくる剥き出しの熱情に卵巣が反応し、排卵していくのを若葉は幻視した。
烈しさを増す肉棒の律動に射精の予兆を感じながら、自身もまた子宮が放つ疼きからの解放を若葉は感じていく。
「射精すぞ!!孕めぇ若葉ぁ!!」
「んあああぁぁあ─────────ッ!!!」
───どぴゅぅぅっ!!どぷうううぅぅ!!!
法悦へと導かれて若葉は絶頂の叫びを謳いあげた。
剛直から砲撃のように灼熱の激流が若葉の子宮を侵略し卵子へと、生まれ出るために精子の大群が雪崩れ込んで征く。
──その後行われた婚礼の儀より数か月後、かつて勇者だった厄神の花嫁は新しい命を産み落とした。
それは小さくとも彼らが手に入れた幸福だった。