救難信号
モブ視点/雰囲気しかハート出てきません
、
、
、
、
「助けてくれェ!!!!!」
泣き出す電伝虫から響いた悲痛な叫びが船内に響き渡った。
「な、何を言ってるんだ?」
尋常で無い叫びを聞いたクルーが次々に電伝虫の近くに集まってくる。
受話器の向こうは島の反対側にいる、同盟を組んだ海賊で間違いないだろう。見渡す限りの海は静かで、それがまたこの状況を混乱させた。
「おいおい、何が起きたんだ?」
なにやら騒音がすごく聞き取り辛い。島の略奪は済んでいるし、ただの同盟相手に面倒ごとを持ち込まれては厄介だ。おれは至極めんどうくさそうに聞き返した。
「急に…海中から…!あああ、沈んじまうよォ!助けてくれェ!!!みんな…!引き摺り込まれちまう!!」
「落ち着いて話してくれよ、海王類にでもやられたのか?」
おおかた何かヘマをやらかし海王類でも刺激したのだろう。思ったよりも深刻そうな事態に、口では心配しながらも略奪の取り分が増えたことに思わずニヤリと口角を上げる。
「違う!!!あれは、、、!"黄色い潜水艦"だ!!!!」
ガチャリ。
言い終わるや否や、電伝虫は突然おとなしくなった。
「「「ギャッハハハハハハハハハ!」」」
船内は爆笑に包まれた。
「船長!これでこの宝も俺たちで独り占めってわけだ!」
「いやァ運がいいぜ俺たちはよ!」
「しかしあいつもアホだよなあ!わざわざ海王類を怒らせるなんてなァ!」
「…!?」
その時、大きく船が揺れた。バランスを崩したクルーが数人よろけ、悪態をつき、それを見て他のクルーがゲラゲラと笑っている。
なんだかおれは笑う気になれなかった。嫌な予感がするのだ。
慌てて俺は船のヘリに寄りかかり、望遠鏡を覗いた。
あたり一面、海は静かだ。どこかから大砲を撃たれたわけでも、嵐が起きそうな天候でもない。
空も海も、静かだ。
ガタン!
一段と大きく船が揺れた。何かに捕まっていないと立てない程に。
ふと、おれは海を覗き込んだ。
ぽちゃん
震える手から望遠鏡が海へと落ちる。だか、もう望遠鏡は必要無かった。
黄色い潜水艦はすぐそこまで迫っていた。