救済IF妄想メモ
きっかけは某所の過去スレだけど優しすぎるなら鏡に吸い込まれる王に手を差し伸べろとか王にとって本当に必要だったのは真実の愛で鏡から王様を救出するディズニープリンセスってレスから、そんなヒロインと本編通りだけどその後反省するアーシャ、黒幕王妃、和解して民主化、船乗りエンド妄想した
誰も取りこぼさないハッピーエンド出来たッ(出来てない)
あの本編王妃からどう禁書堕ちさせるかで無事死亡したので書きかけのガバ設定
語彙ちから壊滅的でいろんな所から概念借りても怪しすぎて消すかも
調べ始めてあにまん知った おかげでもうちょい踏み込んだ内容になったよ(なってない)ありがとう 大きな声で言えないけどお好きにどうぞ お役に立てたら幸いです
こんなだからROM専だけど これ知るまで二次小説の読み書きも初めてだったよスゴいね100周年。
ヒロイン( ):名前と容姿は任せた()アーシャの幼馴染。幼い頃、噂を信じて親子でロサスを目指して遭難し、助けられるが父を亡くす。アーシャ親子とはロサスに来てすぐ知り合う。生まれも育ちもロサスのアーシャ達とはギャップを持つ。王のような立派な魔法使いになるべく弟子入り志願。魔法の才能はない出来損ないだけど修行や雑務に真面目に励む。成人してるけどわけあって王に願いを差し出していない。
(オリキャラ視点で本編端折ったのでスターの出番は省略しますw)スターボーイにお姫様抱っこされたアーシャは夢見心地でいた。アーシャは顔を寄せ、二人の顔が急接近した時……突然フッと消えるスターボーイ。えっ?アーシャは一瞬の間を置いて落下し尻もちをついた。アーシャは彼はどこ?と探した。すると下でペシャンコになった星のスターが……。人の姿に戻ろうとつま先立ちしてはプルプルしてるスターに、アーシャが君は君だよ、と笑いかけ、スターもテヘヘと笑い本編通り。
( )は儀式の準備に向かう前に、ついでの用事を済ませるためにキッチンに顔を出した。面接前のアーシャとダリア達の、弟子になると願いを叶えて貰えるという話題に( )はうんざりしながら「噂は噂よ。どうしてみんな、そんな話を信じるの……」と否定した。( )は少し前に十八歳の誕生日を迎えていたが、まだ王に願いを差し出していなかった。だから根拠のない話に初めのうちは気にもとめなかったけれど、時間が経つにつれ、一つの不安がよぎった。
アーシャはともかく、ダリアやガーボまで信じ込むなんておかしい。これは、王の魔法なの?だとすれば、私の忠誠心を試してるんだわ!これは試練よ、もっと頑張らないと……!
表情をころころと変える( )に、ダリアがまるで不思議なものでも見るように顔を覗き込んだ。
「ううん、なんでもない。あ、はいこれ。ダリアに頼まれてた本」とダリアに本を渡すとアーシャに向かって、いつもの元気で明るいアーシャでいればきっと上手くいくから大丈夫。じゃ、待ってるからね!と言って足早に会場へ向かった。
途中でハッと思い出し、今日はサビーノおじいちゃんの誕生日だった!と気づくも遅く、アーシャを見かけた( )は目を伏せた。うなだれたアーシャは( )が声をかけても沈んだ顔で俯いて会場を去り、( )は胸を痛めた。
その日の夜──
突然、空から現れた光に国中の人が目を奪われる事件が起こった。
光を辿って森付近を調べていた( )は、明け方になりアーシャの家を訪ねた。そこで家族からアーシャが夕べ家を出たきり帰ってこないと聞いた。
息を切らして城に戻り、王の書斎にノックをするなり駆け込んだ。マグニフィコ王!大変です!森の生き物達が……と言いかけて咽た( )は、一度呼吸を整えてから森での異変を報告した。
王は徹夜で光の手がかりを調べていた。呆然と立ち尽くす( )を気にもとめず、苛立ちながら次々と本を読み漁っている。
慌てた( )は他も探してみます、と申し出ると、王は本から目を離さずに深追いはするなよ、とぶっきらぼうに答えた。
書斎を後にした( )は王のもとへ向かうアマヤ王妃にお辞儀をして、らせん階段を下りていったが急ぐあまり足を滑らせ転げ落ちた。
その足でキッチンに向かった( )は、ダリア達から家出娘の行方を聞いていた。
「──でね、帰って来ないらしくて……」
「心配しなくてもすぐ帰ってくるって!」ダリアは話を合わせた。
「思い詰めてないといいんだけど……」
──ゴトッ。
「?」
ふと、配膳用エレベーターから気配を感じて近づいた。
中で聞き耳を立てていたアーシャは慌てて息を殺した。ダリアは気のせいじゃない?としらばっくれた。扉の前に立った( )が手をかけようとしたその時、招集の合図がかかり踵を返してキッチンを出て行った。
ダリア達がほっと胸をなでおろし、アーシャがエレベーターで昇って行く。するとサイモンがぽつりとつぶやいた。
「( )には本当のこと、言ったほうがいいんじゃないか?」
「( )が知った所でもう手遅れだろ」
ガーボが、ガタゴトと音を立てて昇っていくエレベーターを目で追いながらため息交じりに言った。
アーシャの気持ちを尊重したいけど( )が悲しむ、とダリアの心が揺らいだ。
ダリアの適当な質問を皮切りに、民衆からの質問や要求攻めに遭う王は怒りを募らせる。( )は堪らず振り返って口を開いた。
「ちょっと言い過ぎでしょう!」
( )の一言に周囲は静まり返った。普段声を張らない( )にダリア達は驚いて見つめた。
「願いが心配な気持ちは分かります。でも、ロサスの外は貧困や戦禍が当たり前で、飢えに苦しみ、今日を生きることさえままならない人がいる。陛下はそんな世界で国を興し、多くの民を救ってきた。常に民のためを思い、衣食住の心配も無く、今日まで平和と幸福を享受させてくれた陛下のために、行動で示す責任が私達にはあります!」
そう言った( )の声にダリアは賛同し拍手を送り……
(「そうだ王様のおかげだ!」「ロサスのために俺たちがなんとかしなきゃ!」「俺たちが行動を起こす番だ!」「ありがとう王様!」と民が口々に言う感謝の言葉に王は感激した)……と( )は想像した。
緊張した空気はほぐれ、集会は無事お開きに……なるはずだった。
今度は( )に、魔法も使えない弟子のくせに、とか優先して願いを叶えて貰ったんだろとか詰め寄るロサス国民(の一部)
「待って、そんなことしてない!聞いて……」
歯止めの効かなくなった民衆に( )の声はかき消され、「何かまずい方向にいっちゃった」とダリアが慌てる。
ついに王が一喝し、怒りを露わにする。願いのことしか頭にない民に、王は失望した。裏切り者が分かるまで願いが叶うことは無いぞ!と集会を切り上げ『無礼者たちへ』
その頃( )は、願いを盗んだアーシャを見つけて説得していた(顔に突進してくる星を手で押し返しながら)
王は願いを叶える気もないのに奪ってる、と眉をつり上げて怒るアーシャに( )は「私たちみんな幸せだったじゃない、目を覚まして。こんな()力に頼らないで」と肩に手を置き、落ち着かせようとした。
(願い玉のおじいちゃんが二人を心配そうに見上げる)
「王は、出来るなら全ての願いを叶えたいと思っているはずよ。忙しすぎて余裕がないから、月に一つが精一杯だけれど、負担が減ればきっと……」
俯くアーシャに考え直してくれた?と( )は手を下ろし「だから私は修行して──」しかしアーシャは( )の言葉を遮った。
「お爺ちゃんにはもう時間が無いのよ!」と言うと同時に( )は倒れた。突然の暴挙に驚いたアーシャは、( )に(飛び)蹴りをお見舞いしたスターをたしなめた。それでもアーシャは気絶した( )を残して立ち去った。
「( )!( )どうした?しっかりしろ!」
「……!!マグニフィコ王!」
( )は王の声に飛び起きた。王は馬に乗り、兵士を二人連れていて、( )は只ならぬ空気を察した。
「大丈夫か。何があった?」
「大丈夫です。いえ、何でもありません!」
( )は首を押さえつつ恐る恐る聞いた。
「あの、どちらへ……?」
犯罪者を捕まえる、と短く答える王に( )は慌てて懇願した。
「あの子は星に心を奪われている。唆されているだけ……」
しかし王は耳を貸さず、馬を駆って走り去ってしまった。( )は、どうしていつも上手くいかないんだろう、と急いで来た道を戻った。
胸騒ぎが収まらない( )は馬を走らせてアーシャの家に向かったが、一足遅く、玄関先でもがいている兵士を二度見した。
王は( )が乗ってきた馬で城に帰る。見送った( )は深くため息を吐いて肩を落とすと、取り残されて慌てて追従する兵士たちをスルーして、一人家の中へ戻った。
まるで泥棒に入られた跡のような室内を改めて見渡した。ふと、床に目を留めた。……ノートだった。アーシャが落としたものだろうか?
他人の日記を勝手に読むのは気が引けるけど、としつつノートを開いた。( )は、アーシャ親子が"願いの木"から星空を眺める絵を見て、昔を思い出す。
──幼い頃、母を病で亡くし家も失った( )は、船乗りだった父と『願いが叶う』と言う噂を信じてロサスを目指した。ところが途中、嵐に見舞われ遭難してしまう。
凍える寒さの中で父は( )を抱きしめ眠らないよう声をかけ励まし続けたが、嵐を抜ける頃には父は息を引き取っていた。
遠くから声が聞こえ、( )は薄目を開いた。手当を受けて運ばれ、数日寝込んだ後、目が覚めると、ベッド脇に王妃がいた。「ここはロサス、願いが叶う国──」
両親を想い、どうしても胸が苦しくなる。そんな時、アーシャ親子から声をかけられた。
「あの子、どうしたんだろう……?」
寂しそうに海を見つめている( )にアーシャが気づき、アーシャの父トマスが声をかけた。
「こんばんは。迷子かな……?見かけない顔だなぁ、どこの子だい?」
( )は名前を答えると、わたしはアーシャ。どこから来たの?と聞かれ、困っていると王が来た。
「あぁ、そこにいたのか( )」
マグニフィコ王!王様!とお辞儀をする親子に王は説明した。
「この子は親を亡くしてね、可哀想に……。わたしの城で暮らしているんだ。そうだ、この機会に色々教えて貰うといい」
"願いの木"に向かうところなの、とアーシャが言うと、"願いの木"…って?と首を傾げる( )にアーシャは、あれあれと指をさして「星空を眺めるんだ」と言った。
王はトマスから星の話を興味深そうに聞いていた。
別れ際、アーシャはまたね!と元気に手を振り、トマスおじさんは優しい笑顔で言った「いつでもおいで、待ってるよ──」
指名手配されたアーシャは物陰から広場を見渡した。( )はダリア達に背を向け舞台を見上げていた。その目は虚ろでどこか遠くを見ているようだった。サイモンのおかげでダリア達まで指名手配される。
( )は様子を覗い、一人のアーシャに「あなたを助けたいの」と協力を申し出た。「あなたなんて必要ない。私一人で十分よ」と突っぱねるアーシャだったが、( )はめげずに食い下がった。
「王妃様の頼みでもあるけど本心からよ。友達を助けるのは当たり前でしょ!」
囮役を買って出た( )は茂みに隠れて王を待ち伏せし、走り出す。すかさずアーシャが王の背後から杖を向け、魔法を放ったが当然のように外した。
作戦がばれて逃げ惑う二人は、あっ、ちょうどいいところに荷車がある!と荷車に飛び乗り、坂道を勢いよく下っていった。
( )は魔法を繰り出そうと手をかざした。王はハッとして身構えたが……しかし見習いの魔法は王の頬を軽く弾いた。ささやかな抵抗に王は笑みを浮かべその程度か、と面白がった。
アーシャは杖をふって、放った魔法は明後日の方向に飛んでいき、蜂の巣に当たり荷車に落下。コロコロと転がって「……ウソ?またなの?キャーッ」王は、ピンチを煽ってどうする……と呆れた。
魔法の力で崖を登る荷車。涼しい顔のアーシャと隣で必死にぶら下がる( )…を下から見たサイモンは目を丸くした。
荷車大破後、捕らわれた( )。サイモンが背後から回した腕が首を絞め上げている。( )は身を捩って逃れようとするがサイモンの腕はぴくりとも動かない。
放しなさい!とアーシャはサイモンに杖を向け威嚇した。するとサイモンは、そんな『枝』でどうしようって?とからかうように言った。アーシャはハッとして折れた杖を投げ捨てると、捨て身で挑んだ。
威勢よく体当たりしたものの、その巨体に跳ね返されたアーシャは小さく呻き声を上げて地面に突っ伏した。サイモンは勝ち誇ったように笑った。
アーシャ!( )は無我夢中になってサイモンの腕を振り解き、渾身の力を込めて魔法を放った──
突風のような衝撃を受けてサイモンは吹っ飛んだ。ひっくり返ってのびたサイモンに謝り、二人は先を急いだ。
城に来たアーシャ達。( )は、王の魔法によって拘束され、手繰り寄せられるアーシャに咄嗟にしがみついて塔の天辺へ連行された。アーシャは王の手元で急停止し、力尽きた( )は振り落とされてしまった。
王はご苦労だったと一瞥すると、( )は目を泳がせて俯いた。その様子に、アーシャは失望と怒りが入り混じる目で( )を見た。( )は顔を上げることができなかった。
王はアーシャを皮肉ると振り落とした。アーシャは、心配して寄り添おうとする( )に騙したわね、嘘つき!と怒りに任せて吐き捨てるように言った。
( )は、違うの、信じて……と力なく答える他何も言えなかった。
スターに一つ問いかけた後、王は杖に封印する「これで皆の願いを叶えられるぞ!」
アーシャは、制止する( )を振り切って王に歯向かった。アーシャを庇い、王の前に立ちはだかった( )は突き飛ばされて気を失った。
小説版のヴィランしてる王と皆の前で懺悔するアーシャ。
歌によって願いが輝き出し、( )は目を覚ました。視界に広がる輝く願いに目を奪われていると、鏡に吸い込まれそうな王に気づいた。慌てて駆け寄り手を伸ばしたが、間に合わず封印されてしまった。
なんだかんだアーシャと和解した。スターは( )に気付くと再び敵意を向けてきたが、アーシャが間に入りスターを制止した。大切な人だから、と言い、なら仕方ないかと特に気にしないスター。
王妃に見限られ、地下牢送りにされる鏡の中の王を見て青ざめる、所在無げな( )をよそに女王即位。アーシャはスターから餞別がわりに新しい魔法の杖を貰った。
役目を終えたスターは、スターボーイの姿に戻るとニコニコとアーシャ達の周囲を飛び回って、空へ帰っていった……。
「キャー、イケメン!」ダリア達ははしゃいだ。「えっ、俺達あいつとつるんでたの……?」ガーボ達は口をあんぐりさせた。あれなら心を奪われるのも無理ないか……と腑に落ちた( )だった。
それから数か月後──
王妃、アーシャ、( )の三人は、王のが任されていた仕事を分担して、表向きの政で忙しくも平穏な日々を過ごしていた。
二人は王妃に見守られながら修行に励み、王の足元には及ばないものの魔法使いと呼べるほどに成長した。
魔法の杖の力を借りて、いくつかの困難も乗り切った。ロサスの穏やかで幸せな日々はきっとこれからも続いていく……かに見えた。
突如として謎の病が流行し始め、アーシャ達はその対応に追われた。空は厚い雲に覆われ、魔法の杖を使ってもその場凌ぎにしかならず、やがて大地は枯れ始めた。
アーシャは杖を空に向け、魔法を放った。放たれた金色の光が雲に届き、一瞬だけ澄み切った青空が広がった。しかし、その光景も束の間、再び厚い雲に覆われてしまった。
( )はアーシャの両肩に手を添え、力を込めた……それでも結果は変わらなかった。
二人はへたり込み、「なんで」「どうなってるの」と肩で息をしながら、どうしよう……でもこのまま何もしないわけにはいかない、と解決策を探し始めた。
原因を突き止めようと、二人は手分けしてロサス中を調べ回ったが、何の手立てもなく途方に暮れた。
王妃は、他国への外交の旅から戻って以降、以前にも増して部屋に籠もる時間が増えた。長旅で疲れ、お休みになられているのだろう、とアーシャ達は思った。
二人の周囲では次第に体調を崩す人も出始めた。「ダリア、大丈夫?」咳込むダリアを心配する二人に「うん、大丈夫」と健気に明るく答えるダリアだが二人は心を痛めた。
「こんなのおかしいよ。今までこの杖が何とかしてくれたのに」
「スターの魔法の力を借りてもどうにもならない事、と来れば……天……罰……」
( )がつぶやくとアーシャは、血の気の引いた顔で杖を落として頭を抱えた。
「そんな!神様が怒ってるの……?私たちに罰を与えようとしているの?何がいけなかったの……?」
どうして……私たちは間違ったことをしたの?と恐怖に震えるアーシャに、( )は「例えばの話よ」と慌てて一言付け加えた。
確かに私たちは杖に頼り過ぎていた。考えるより先に杖を振るって、問題を解決したつもりでいた。
「きっと何か原因が、見落としている何かがあるのかもしれない、もう少し探してみましょう。……王なら、何か知っているかもしれない」
「でも王妃様が……」アーシャは口ごもった。
( )は、広場の王の彫像を見上げ思い返していた。
あの日から数日経っても王は解放されず、我慢できなくなった( )は王妃に直談判した──
「もう十分反省されていると思います。そろそろお赦しになられても……」
「なりません」
王妃はピシャリと言った。
そんな……!罰と言ってもせめて2、3日の謹慎で済むだろうと思っていた。( )はすがる思いで訴えた。
「……せめて鏡から出していただけませんか?罪を償う方法は他にもあるはずです」ボランティアに勤しむ王を思い浮かべた。
しかし、王妃は首を横に振った。
「あの人は禁じられた書を使って変わってしまったのよ。あの本にはこうありました『闇の魔法に囚われた者は二度と抜け出せない』と。何をするか分からないわ」
「気持ちは解るわ。でもここは我慢よ」
鏡に閉じ込められたあの時、王は正気に戻られていたはず、と食い下がる( )をアーシャがなだめようとした。
それでも( )は必死に訴えた。
「王は罰を受けるべき過ちを犯しました……しかし王は、ロサスを守るために、やむをえず禁じられた書を使った。それをお忘れになってはなりません!」
「………」
まっすぐ見つめて言う( )を見る王妃の顔がわずかに曇った。
( )はその後も説得を続けたが、とうとう王が解放される事はなかった。王は無事だろうか……。
そんななか、 おじいちゃんが 天国へ旅立つ。
お墓にリュートが立てかけられ、先に結ばれたリボンが風にそっと揺れていた。
「あんなに元気だったのに。……お母さんも、みんなの前では明るく振る舞っているけど、この頃……」落ち込むアーシャと二人で森を歩く。すると突然、アーシャの頭に一羽の小鳥が落ちる様に着地した。
慌てふためく小鳥を落ち着かせて、アーシャの手に小鳥を乗せた。
二人の頼みで王妃の様子を窓から見てきた小鳥は、とても恐ろしい緑色の目をした王妃がいたと話す。
恐ろしい……緑色の目……。聞いた二人は耳を疑った。
「まさか……!禁じられた書?」
「でも、あの本は王妃様が破壊したはずでしょう……?」
破壊が不完全だった?呪いを受けた?どうして今になって……国中に広がる病と関係があるのだろうか。
「とにかく王妃様に会ってみるしかなさそうね」
ところが、城に向かって走っていた二人は足を止めた。「アーシャ!」「ちょ、なんなのよ、これは!」城の周囲をぐるりと囲むように、茨の蔓が遮っている。
「こんなの、さっきまでなかったのに」ふいに、声がして振り向いた。「アーシャ、( )!」ダリア達だった。お城を締め出されたらしい。「無事だったのね」
「あなた達の他に、城の中にいた人たちは」「俺達だけだ」
二人は茨の結界を破り、城門を開いた。王妃は玉座について二人を迎えた。
「王妃様、この魔法をかけたのはあなたが……?」
「ええ、楽しませてもらったわ。わたくしの魔法に天罰だと恐れ慄くあなた達の姿にね」
「あなたほどの方が何故このようなことを……!」
王妃は玉座を立ち上がると、緑色に目を変えた。その目は、狂気をはらんでいた。
アーシャが時間を稼いで、( )は地下牢へ急いだ。外では仲間達が住民に避難を呼びかけている。ダリアは仲間に背負われて避難した。
王妃は甘い言葉でアーシャを引き入れようとした。「わたくしはあなたを推しているのよ、アーシャ」しかしアーシャはその手には乗らない、と拒否した。
その頃、地下牢では( )が王の封印を解くために必死になっていた。鏡の中で意識を失っていく王に「マグニフィコ王!マグニフィコ王……!」と呼びかけた。しかし王の目が開くことはなかった。
( )は先に見つけていた魔法の杖の柄で鏡を叩き付けた──ガツンッ。ハッとして王が目を見開いた。
「マグニフィコ王!私が何とかします、もう少しだけ耐えて下さい!」
しかし何度叩いても、魔法を当てても、鏡は傷一つ付かず、外そうとしても梃子でも動かない。
それなら壁ごと破壊してでも、と魔法をぶつけた。だが、壁の傷はまるで何事も無かったかのように消えていく。
「どうなってるのよ、もう!」
必死になって手間取っていると、王が叫んでいた。後ろだ!鏡に、何かの影が映り込んだ。
「!」
鏡に気を取られ、遅れを取った( )は魔物に斬りつけられた。足元がふらつく。早く逃げろと王が叫ぶ。
それでもふらつく足で鏡に歩み寄る( )。王が叫ぶ。
( )は息も絶え絶えになりながら両手で鏡を包み込み、顔を近づけた──
その時、鏡から強烈な白い光が放たれた。魔物は光を浴びて消え失せた。王は鏡から飛び出し、そのまま倒れ込む( )を抱きとめた。
( )は、すまない。わたしのせいでこんな目に、と傷を癒そうとする王を、この程度の傷、大したことないから、、と遮り、アーシャのもとへ行き、王妃の暴走を止めロサスを守るよう告げた。
地上では、異変に気づいた王妃とアーシャ。王妃の攻撃がたたみかけるように激しくなり、その猛攻でアーシャは城の外まで追い詰められた。
絶体絶命のピンチに王が割って入った。それから王は魔法をかけると、広場にあったマグニフィコ王の彫像が動き出し、跳び上がって着地した。それを嘲笑う王妃は魔物を召喚した。
その頃、自力で傷を癒した( )は、恐る恐る鏡を覗き込んだ。ただの鏡は手を掛けると簡単に外れた。
杖の柄と合わせてみると、不思議に光ってくっついた。( )は魔法の杖を抱えてアーシャ達のもとへ走り出す。
魔物の最期の反撃からアーシャを庇って崩壊するマグニフィコ像。王妃は笑いながら王を痛めつけた。そこへ駆け付けた( )が、杖を掲げた。
杖から光が放たれ王妃を包み込んだ。よろける( )をアーシャが支える。二人で杖をしっかり握った。
その時、アーシャ達の脳裏にある光景が飛び込んできた。
──王の秘密の部屋で、王妃とダリアが禁じられた書を読んでいる。……これは、王妃様の記憶?
杖を破壊する方法を探しページを捲っていたその時、『不老不死』の章が目に留まり、王妃は気付けば数ページ先まで読み込んでいた。ハッとして目を離すと、時が止まっていた?
その後、怖ろしくなった王妃は禁書を破壊したが、その内容は目に焼き付いて離れなかった。鏡の王を地下牢へ。と命じた直後に王妃の瞳の色が緑に変わり、王妃は慌てて取り繕った。
外交に出向いた先で王妃は、直接的な言動は避けつつも王を追放したのでは?と疑われる。その度に王妃は、王は病で臥せっておられる、と微笑みながら否定した。
アーシャ達の修行を見守る王妃は、立派に成長した二人を誇らしげに見つめていた。しかし禁書の闇が不安をあおり、めまいを起こす。
精神的に不安定になった王妃は、気を抜けば目の色が緑色になる錯覚に怯え、日に日に憔悴していった。そして、数日後には禁書の誘惑に負けてしまった。
その結果、国土を覆い尽くす呪いが発動し、大地が枯れ、民の命が脅かされる事態が発生した。一時の気の迷いで、闇の魔法を使ってしまった王妃は、部屋で一人泣き崩れた。
これまで王妃は定期的に地下牢に訪れ、王の監視と生存確認を行っていた。
「頼む。ここから出してくれ!」
「それは出来ません」
即答した王妃は王に背を向けた。
「わたしが居ないとロサスは回らんだろう?」
王が言うと王妃は振り向いて、微笑みを浮かべながら言った。
「お生憎さま。上手くやっているわよ、弟子達のおかげでね」
「弟子達?」
「ええ。( )とアーシャよ」
アーシャ。それを聞いた王の頭に、能天気なアーシャと無邪気に王を笑うスターが浮かんだ。
「あの小娘が……」
王は苦々しい顔でブツブツ言いながらプイッと背を向けた。
……と気まぐれに訪れては話をしていたが……しかしある日の王妃は、去り際に「あなたと会うのはこれで最後かもね」と言いその瞬間、目がキラッと緑色に光った。王は目を疑った。「その目は……まさか……!」
そしてある夜──
王妃は鏡の前に立ち、鏡の中の王に向けて手をかざした。
「アマヤよせ!やめろ!!」
かざした手に緑色の光が吸収されて行く。王は思わず苦痛で顔を歪ませた。やがて光が緑色から青色に変わると、王妃は手をサッと引き、王の様子をうかがった。
王はぐったりしていたが、無事を確認した王妃は背を向け、そして──覚悟を決めた。
玉座に座っている王妃はゆっくりと目を閉じる。二人ならきっとロサスを守っていける──……
アーシャと( )は、あの時闇に囚われた王妃を、疲れて休まれているだけと思い違いをしていなければ……
本当はもっと前から苦しんでいたのに、それに気づきもせずただ見守るだけで寄り添っている気でいた、こんなことになったのは自分達のせいだ、と悔やんだ。
膝から崩れ落ちる王妃を、王が抱きとめた。王妃は穏やかな顔で王を見つめた。王妃の体が光り出す。
「わたしは間違っていた……何でも一人でやれると思いあがっていた。みなを信じて互いに支えあっていけば良かったんだ」
「ふふ、似たもの夫婦ね、私たち……」
「また二人で旅に出よう、どこか遠くへ……」
「……そう……ね……」
王妃は静かに目を閉じ、王が額にキスをすると光になって消滅した。雲の隙間から光が射し込み、天を仰いだ「アマヤ……」と呟く王の頬を一筋の涙が伝う。
空を覆っていた厚い雲が晴れて、光が国中に降り注いだ。離れた場所から見守っていた仲間達は空を見上げた。枯れた大地に草花が生い茂り、元の風景を取り戻していった。新鮮な空気を胸いっぱい吸い込んだダリアはハッとして松葉杖を放した。
後日談──
みんなで復興作業に取り組む(像と壁画は新しくなった)アーシャ、( )、王の三人で魔法をかける(一人ゲッソリする王)
民主化した国に満足した王は船乗りになる夢を叶える。アーシャ達数人に見送られながら船で旅立つ。
仲間と一緒に見送っていた( )は、やがて船が岸から離れると名残惜しさに、いてもたってもいられなくなり意を決して船に飛び乗った。そして王に駆け寄り抱きついた。
飛びかかるように抱きついた( )は王の鳩尾に頭突きをお見舞いさせ、状況をのみ込めないアーシャ達と王は目を白黒させて驚いた。
その時、杖から光が放たれ、辺りを包んだ。脳裏に浮かび上がった──
幼い頃、( )は遭難して王に助け出された。
目覚めた時に父の姿は無く、父は助けられなかった、と申し訳なさそうに話す王に( )は涙を流して嘘つき!叶えてくれるって信じてたのに!と部屋を飛び出した。
人で賑わう広場を脇目も振らず走り抜け、父の姿を探して森に出た。それでも結局、行く当ても無く、崖で佇んでいた。
王に伴われ城へ帰る道すがら、かつて王も家族と故郷を失い、王にも魔法では叶えられなかった願いがあると知った( )は謝り、救ってくれたことに感謝する。
弟子入り志願して「助けられたご恩を一生かけてお返しします」と誓い、輝く願いをデュエッ
魔法の修行中、人形の服を剥いで、誤って王にドレスを着せ目を丸くする( )と微笑む王妃。
休日の王に同行し、ボランティアに勤しむ。
禁書の闇に囚われる王と、王の打倒を謳うアーシャ達の間で葛藤し、涙がこぼれる。
王の攻撃から、アーシャを庇い薄れる意識の中、変わり果てた王を憂いている。
鏡に吸い込まれる王に両手を伸ばして間に合わず、肩を落とす。
傷を負いながら鏡にキスし──王に介抱され──……
……ぎゅっと閉じた目から涙がこぼれる( )を、王は優しく抱きしめた。
アーシャ達は笑顔で手を振り、二人は涙を浮かべながら笑顔で応えた。
さらに後日談──
時空を越えて色々な世界を旅している二人は子供を連れてアーシャのもとへ立ち寄った。
アーシャはビビディ・バビディ・ブー、と杖を振り、魔法を見せて子をあやした。放った魔法は船に当たり、クジラに姿を変えた。そのまま悠々と大海原を泳いで……「ちょ、待ちなさいよ!!」
子供は手を叩いて喜び、二人は顔色を変えて、去っていくクジラとアーシャを交互に見た。
王は晴れやかな顔で口笛を吹きながら舵を取る。
一隻の船が地平線を行く──
──こうしてロサスは、真に願いが叶う国になって、人々は末永く幸せに暮らしましたとさ──めでたしめでたし。