支配と欲
私はβだ。
その事を知った人は大抵が驚く。
「オーターさんはαだと思っていた」
神覚者になってからはそんな事を言われることが多かった。
私は自分がβで良かったと思っている。
Ωだったらαに支配されるかもしれない。
αだったらΩを支配してしまうかもしれない。
私はどちらも嫌だった。
それにαだったら、ファーミンさんとこんな関係になることはなかっただろう。
双頭ディルドの片方を自分の膣に入れる。
この関係を初めたばかりの頃はなかなか入らなかったのに、今はすんなりと入るようになってしまった。
そしてもう片方をファーミンさんの後ろの穴に入れた。
私はβの女なのに、Ωであるファーミンさんを抱いている。
ファーミンさんと奇妙な関係になったのは私の我儘が原因だった。
ヒートで苦しむファーミンさんに何か手伝えることはないか聞いた。
ファーミンさんの苦しみを軽減させたかった。
ファーミンさんは抱いてくれと私に願った。
私はβの女だからファーミンさんのフェロモンを浴びても暴走することは無い。
ファーミンさんを無理やり孕ませることも番になって支配することもない。
だからβで良かったとそう思っていた。
……そう思っていたのに。
「αに性転換しかけていますね」
「えっ」
健康診断を受けた時にメリアドールさんにそう言われた。
スタディングと言われる現象らしい。
βがΩやαを繰り返し抱くと、体内にあるαフェロモンが活性化してαに転換ことがあるそうだ。
「……αにならない方法はありますか?」
「まだ完全にαになったわけではないですからね。3ヶ月ほど抱くことを止めてαフェロモンの活性を抑えるか、もしくは長い期間継続的に誰かに抱かれることでΩフェロモンを活性化させることでαへの転換は抑えられると思います」
「……そうですか。分かりました」
「……あの、もし答えにくかったら言わなくてもいいのですが一つ質問があります」
「なんですか?」
「普通スタディングは男性のβに起こる現象なのですが、なぜ女性である貴方に起こったのか分かりますか?」
「……」
私は無言で誤魔化した。
「……しばらくセックスはやめませんか?」
ファーミンさんはキョトンとした顔をした。
「えっなんで。オレとするの気持ちよくなかった?もうちょい手加減減らす?」
「やめてください。これ以上気持ちよくなると日常生活に支障をきたすくらいに快楽堕ちしてしまいます。……健康診断でαになりかけてると言われました」
「えっなんで?オーターはβだろ?」
「ファーミンさんを抱いていることでαフェロモンが活性化しているそうです。そのせいで私はあるになりかけている。……αになるのは嫌です」
「……そうか。じゃあどれくらいセックスをやめたらいいんだ?しばらくということは期間が決まっているんだろう?」
「3ヶ月くらいだそうです」
「……他の方法はあるか?」
「……継続的に抱かれてΩフェロモンを活性化させたらαにならなくて済むそうです」
「なんだそうなのか。じゃあベッドに行こう」
「話聞いてました?」
「オレがオーターを抱けばαにならなくて済むんだろう」
「いやまあそうですけど……。ファーミンさんって私で勃つんですか?」
「もちろん勃つけど。あっ抱かれるの嫌だった?」
「いえそういうわけでは……」
「じゃあいいな。ほら服脱いで」
「えっちょっと待っ」
たくさん抱かれた。
次の健康診断でフェロモンの数値がβに戻っていると言われた。
───────
オーター
βの女性。
αの父親とΩの母親から生まれた。
だいたい父親のせいで誰かを支配することが嫌。
αになるのを嫌がっていたのも一番身近なαである父親のようなαになりたくなかったから。
ファーミンは私の身体に興味が無いと勘違いしていた。
主にファーミンがヒートの時にファーミンを抱いていたがめちゃくちゃ開発されている。
抱かれる側になってももちろん開発される。
恋はしていないけど愛はある。
ファーミン
元αで現Ωの男性。
イノゼロに快楽堕ちさせられてビッチングでΩになった。
オーターのことは支配する気もないし、支配されたいとも思ってない。
抱かれるのも抱くのもどちらも好き。
ただ一緒に気持ちいいことをしたい。
気持ちいいことは楽しいことだからオーターとも共有したい。
恋はしていないけど情はある。
このファーミンさんは多分Ωになってからはイノゼロに抱かれる側扱いされてきたので、エッチな調教からの人身売買とかはしていないと思います。
そういうことをしていたら多分オーター♀さんを抱けていないと思うので。
2人とも恋はしていませんがうっかり避妊失敗して子どもが出来たら交際0日婚すると思います。