揺籃
⚠️注意書き⚠️
クルーたちがくうくうされてるし、コラさんとかが中身空っぽで生き返ってる
オマケに四皇とエースも白化してサーヴァント化してる
ローはクルーくうくう事件で完全に心ぶっ壊れて幼児帰りしてる
あとこの世界線だとド畜生ワーテルくんがローに優しめ(当社比)
Fateについてそこまで詳しくないからもしかしたら本家Fateとズレてる可能性あり
「あぁ……たのむ、やめてくれ……」
自分の意思とは関係なく愛しい愛しいクルーたちが飲み込まれていく
だが、そんな様子を見ていたローは久しく感じることのなかった満足感に満たされていた
クルーも黒ひげ海賊団も無作為に食い荒らしても、足りない、まだ足りないと貪欲に周りのものを取り込んでいく
涙に濡れ、絶望しながらもローは恍惚そうに笑っていく
「きゃ、ぷ……てん……」
ついに、残っていたペンギンも飲み込んでしまったその瞬間
パリンッ!!と何かが割れる音がした
─────ハートの海賊団と黒ひげ海賊団が完全崩壊した数週間後
新世界の大海の何も無い場所に唐突に出来上がった島
世間の話題はそこに気を取られていた
ログポースにも反応せずに唐突に出来上がったその島は全体を白に覆われ、何十年も昔に滅びたフレバンスを思い起こさせるような外見だった
そうしてその島に立ち入った人間は二度と帰って来れないという都市伝説じみた噂話があった
誰よりも強い好奇心を持つ四皇と呼ばれた青年"モンキー・D・ルフィ"は当然の如くその島に興味を持った
「この島!行こう!!」
「言うと思った!でも、ログポースも何も無いのに辿り着けるのかしら……」
「まぁなんとかなるんじゃねぇの?」
「これだからマリモ野郎は!そんな簡単な話じゃねぇんだよ!!」
「なんだとエロコック!!!」
何時ものように喧嘩をし始めた両翼コンビ
麦わらの一味はいつもの事なので気にしてはいない
「ヨホホホホ!!面白そうですねぇ。私、胸がドキドキしてます!あ、私、高鳴る胸、ないんですけどね!!ヨホホホホ!!」
「ホントに行くのか?その島、入ったら二度と出られないんだろ……?」
「びっ、ビビってんのかチョッパー!!そんなの嘘に決まってるだろ!!」
「……足、震えとるが……」
いつものブルックのジョークを華麗にスルーしたチョッパーは不安に声をあげていた
ウソップは強がっていたがその足は産まれたての子鹿よりも震えていてビビっていることは一目瞭然だった
まだまだ新参者のジンベエは慣れていないのか呆れためでウソップを見ていた
「でも、私も気になるわ。突然できた孤島……とても、気になるわ」
「ロビンちゅわんが行くなら俺も行くよぉ〜〜〜〜♡♡♡♡♡」
体をくねらせながら目をハートにしてロビンに近づくサンジにゾロは引いたように見たが、すぐに溜息をついて船長に尋ねる
「で、ほんとに行くのか?」
「ああ!!絶対に行く!!……」
「……?どうした?」
急に黙りこくった己の船長に目を瞬かせたゾロは疑問のまま問いかけた
「……それに、なんだか胸騒ぎがするんだ」
─────────〖白い孤島〗
「こらさん……」
「どうしたロー?」
「おれ、すごいしあわせだ……みんなもいて、こらさんもいて、ふればんすも……もどってきたんだ」
「ああ」
「こんなしあわせが、えんえんにつづけばいいのに……」
そこには天の杯と呼ばれる衣服を身にまとい青みがかった黒髪を白銀に変え、青年を彩っていた美しい琥珀色の瞳をハイライトの消えた血のように真紅の瞳に変えた"死の外科医"と呼ばれた"トラファルガー・ロー"又の名を"トラファルガー・D・ワーテル・ロー"
教会の祭壇に大好きな恩人の"コラさん"に抱えられ死の外科医と恐れられた海賊とは思えない幼さで周りを自身のクルーに囲まれて、もはや神々しい陽の光に照らされたローは誰がどう見ても"異常"でしかない
クルーを1人残さず取り込んでしまったローは完全に心を壊してしまい、聖杯の力を暴走させてコラソンとクルーたちを中身も何も無い状態で蘇らせてしまった
その証拠に周りにいるクルー、そしてローを抱き抱えるコラソンの瞳には光が無かった
既に聖杯として覚醒してしまったローは体の身体機能が完全に止まってしまった
だがそんなことも分からなくなるくらいにローは自分が壊れたことに気がついていなかった
そして、その安寧はついに破壊される
「……だれ?」
──────〖麦わらの一味side〗
「うわぁ!!きれぇ!!」
「……こんな島、あったのか」
「美しいわ……」
白い孤島に降り立った麦わらの一味はあまりにも神々しく美しい景色に口を開け唖然と眺めていた
「……おかしい」
「どうしました?ウソップさん?」
「この島、なんかおかしいぞ!!人どころか生き物の気配がしないんだ!!」
「……言われてみれば確かに……チッ!不気味だな」
「そもそも人が暮らした形跡もないな……」
「おかしいのぉ……」
見聞色を使える者たちはウソップの言葉でようやくこの島の異常性に気がついた
「……?ルフィ?ルフィ!!!」
「?ルフィ?」
ナミがルフィの様子がおかしいことに気がついた
ルフィは目を見開きある一点をずっと見つめていた
ルフィが見つめている先を見てみると全てを白で彩られてた美しい教会が佇んでいた
「……ワーテル?」
「え?わー、てる?……って!ちょ!?ルフィ!?」
「おいどこ行くんだルフィ!!!」
ルフィは一言"ワーテル"と呟き、仲間の静止を聞き入れることなく一直線に教会への走り去った
船長の突然の奇行に驚愕しながらも急いで追いかけた
──────バクッバクッ
心臓の高鳴りが止まらない
汗がとめどなく流れてくる
俺はこの気配を知っている
どこで知ったのかは覚えてはいない
それでも"体の奥底に"その気配は刻み込まれている
___なぁ、そこに居るのか?『 』
バン!!!!!!
「はぁはぁ……」
ルフィは教会の前に辿り着き、勢い良く教会の扉をこじ開けた
「おい!ルフィいきなりどうしたんだ!!」
「いきなり走り始めやがっ……?」
サンジは不自然に言葉を止めた
「……トラ男?」
そこには麦わらの一味と嘗て同盟を結んでいたローの姿があった
だが、一味の知るローとは明らかに違う
「トラ男!!!!」
「わっ!?ルフィ!?」
ルフィはすぐ様ローの元へ飛び出した
「おい!!どうしたんだよトラ男!!」
「むぎやらや……?」
ローはぼんやりとした焦点の合わない瞳をルフィに向けた
そこでルフィは得体もしれないナニカが背筋に走る
これは恐怖から来るものか、絶望から来るものなのか、それとも……喜びから来るものなのかはルフィには分からない
「トラ男!!そいつら、どうしたんだよ!」
「トラ男くん!?どうしてここに……それに、その格好は……?」
「おい!お前らどうしちまったんだよ!」
ナミたちもようやく事の異常性に気が付き周りにいたクルーに声をかけていく
「……?おい……こいつらなんか可笑しいぞ!!」
「頼む!!反応してくれ!!」
「どうしたのみんな!!」
クルーたちは何も答えない
みんな虚ろな瞳をして微笑んでいるだけだった
その様子を見た麦わらの一味は得体の知れない恐怖に背筋が凍った
「なぁむぎわらや」
「なんだトラ男!」
「みてくれよ。こらさんも、おれのなかまたちも、かえってきてくれたんだ」
「……?」
まるで子供のような舌足らずの声で、でも確実に言葉を放っていく
「このしまだって、ふればんすがもどってきてくれたんだ」
「フレバンスだって……?」
チョッパーとロビンはフレバンスと聞いてピクリと手を動かした
フレバンスとは確か……
「おれ、いますごいしあわせなんだ!!みんな、みんな!もう"にどと"!!おれからはなれていかない!」
「みんな、しんじゃったのかとおもったけど、おれがもどってきてくれってねがったらみんないきかえってくれたんだ!」
「……は?」
今まで見た事もないような邪気のないローの笑みを見て麦わらの一味はゆっくりとローの発した言葉を何とか理解しようとした
「みんな、死んでしまったけど生き返った」……?
麦わらの一味はゆっくりとハートのクルーたちを見つめた
そして、全員"死体"だと気がついたら
「ヒュッ!」
ゾロやサンジが1歩後退した
ナミのウソップとチョッパーは余りの恐怖に腰を抜かし、その場に崩れ落ちた
ロビンは余りの凄惨さに口を押えた
フランキーはペンギンの肩に置いていた手をゆっくりと下ろして距離を取った
ブルックはただ幼子のように無邪気に笑うローを見つめるしかできなかった
ジンベエは冷や汗をかきながら顔を顰めた
ルフィはそんなローの肩を揺さぶり何とか正気に戻そうとしていた
「どうしちまったんだよトラ男!!正気に戻れ!!」
「なに、いってるんだ……?」
「こいつらはもう死んでんだろ!?死んでるのに、こんなことしてどうすんだ!!!」
「……?ちがう……ちがうっ!!みんな、しんでない!!いきてるんだ!!」
「目を覚ませ!!トラ男!!こんなところ早く出ていこう!!」
ルフィは必死にローに呼びかける
ここにいては自分まで狂ってしまうとルフィは本能でそう察していた
今も、気を抜いたら自分以外の"ナニカ"に自我を乗っ取られてしまうと思っている
「なんで……?なんでそんなこというの……?みんな、いきてるのに……」
「トラ男!!!」
「いやだ……いやだ!!!ずっとここにいたい!!!おれは、もううしないたくない!!!」
そうローが叫んだ瞬間、周りの空間が歪んでいく
「!?なんだ!?!?」
「床が!!」
「一体なんだってんだよ!!」
「トラ男!!」
床が、壁が、天井がぐにゃぐにゃとまるでゼリーのように疼いていく
そうしてもう立ち上がることの出来ないはずのローがダラりと立ち上がった
『なぁ。全部壊してしまえ。なぁに大丈夫さ。俺が全部何とかしてやる』
「……そうだ。ぜんぶ、ぜんぶ……こわしちゃえばいいんだ……」
ローの後ろに巨大な影が浮かび上がりローに何かを吹き込んでいく
「なんだ、あれ……」
『さぁ。願いを言ってくれ、聖杯のお前ならばどんな願いも叶えられる』
『 』はローに何が望みかを尋ねた
そうして緩りと顔を上げたローの顔は
「!?トラ男くん!?」
狂気に歪み、笑っていた
「あいつらを、ころしてやる!!!」
その言葉に影は口角を吊り上げ、ローに宿っている"魂"を呼び起こす
『ああ。それが、お前の望みなら俺は……"俺たち"はお前の望みを叶えよう』
____さぁ、目覚めろ。我らが主の、"サーヴァント"よ
そうしてローの"影"がドロリと溶けていった
そうしてその影がいくつもに分裂し、そこから生まれたものとは
「うそ……」
「なんで……」
「なんで……ビッグマムとカイドウが!!」
あの時に死んだはずのビッグマム、カイドウの姿がそこにはあった
「ウォロロロロロ!!久しぶりだなぁ!麦わらァ!!」
「ハハハハマーマッマッマッ!!窮屈なところからいきなりこんな広いところに引きずり出すとは一体どういう了見だい!?」
そう笑いながら2人は麦わらの一味を鋭く睨んだ
「!!おい!まだ出てくるぞ!!」
「一体どうなってるんですか……っ!」
フランキーの言う通り、まだまだ影の唸りは止まらない
そうして生まれてきたのは
「白ひげ……!?それに、黒ひげまでっ!」
頂上決戦で死亡したはずの四皇エドワード・ニューゲート
そしてその息子だった黒ひげ、マーシャル・D・ティーチ
「グラララララ!!まさか、またこの世に出れるとはなぁ!」
「ゼハハハハハハハ!!人生何があるか分からねぇな!!」
もう二度と肩を並べることは無いと思われていた2人が麦わらの一味に立ち塞がった
そうして……
「う、そだろ……?エース……?」
「……久しぶりだな!ルフィ!!」
あの日、あの時ルフィの目の前で力尽きたはずのエースがニカッ!と笑った
「どういう、こと……?」
死んだはずの白ひげたちが今、麦わらの一味の前に相対した
だが、生前とは違い白銀の服をその身に纏い病的な程に青白い肌
そして、以前のローのような琥珀色の瞳に変わっていた
「ハハッ」
「「「「!!!」」」」」
「……なんじゃあ、あれは……」
ジンベエは喉を引き攣らせた
その視線の先には全身を不気味な赤い紋様に包まれた異形の姿へと変わったローが居た
「ははははは!!!そうだ!!ぜんぶ!ぜんぶ!!壊しちまえばいいんだ!!!」
『そうだ。こんな世界に価値なんてない……全部壊しちまえ、ロー』
「さぁ、何が望みだ?"マスター"」
ローの"サーヴァント"と化した白ひげたちはローの命令をずっと心待ちにしていた
生前の記憶はあれど、もう既に魂は"ワーテル"の手によってローのためだけのサーヴァントに作り替えられた魂だ
目の前の人間に何かしらの思い出はあれど、あくまでもそれは"生前"のものだ
サーヴァントとなったエースたちは、マスターが第一である
そんなもの、気にする心なんて既に壊されている
「全部壊して、壊して、壊してくれ!!」
「やっちゃえ!!!おれの"サーヴァント"!!」
「「「「「仰せの通りに!!我らがマスター!!!」」」」」
そう言ってサーヴァントたちは武器を構えた